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【愛工大名電】令和の3連覇に挑む強豪校の夏|その新たな戦術とは

激戦区愛知県で、2021年、2022年には夏の甲子園に出場し、今年も3年連続の県大会優勝を狙う愛工大名電。

夏の甲子園ベスト8に入った昨年と比較して戦力的にはどうなのか、倉野光生監督と金森洸喜主将に話を伺った。

インタビュー:高須啓睦

【修正分】ザナックス様_リニューアルバナー

【愛工大名電高校】

1955年の創部以来、春夏の甲子園出場21回、2005年春の選抜では全国優勝を果たしている愛工大名電は愛知が誇る名門。
東海地区の選手を中心に各学年16名、合計50名以内で編成しているチームは全員が寮生活を送っている。
現在の部員は、選手49名、マネージャー6名、アナリスト3名の58名。

倉野光生監督

愛工大名電の前身である名古屋電気高等学校出身。1976年度には主将を務めた。
愛知工業大学卒業後、母校のコーチに就任。コーチ時代には工藤公康投手や山﨑武司選手、イチロー選手の指導に当たり、1997年から監督に就任した。
2004年の選抜大会で準優勝、2005年の選抜大会では優勝を果たしている。

金森洸喜選手

3年生。甲子園ベスト8となった昨年からベンチ入りし、二塁の固い守りと2番打者としてのバッティングに定評のある主将。

今年は守りのチーム

ーーーまずは監督、今年のチームを一言で表すと、どのようなチームですか?
倉野監督
愛知を3連覇するという、意気込みと気合のチームですね。仕上がりは……まだまだ。私の理想を10とするならば、今はまだ6くらいかな。
つい先日、多くの選手がインフルエンザに感染しちゃって練習ができなかったり、春の県大会の後に、思ったようにペースが上がってなくてちょっと苦しむようなところがありました。
でもこれから県大会の決勝まで考えると2ヶ月ありますから、あんまり早くに急ピッチで頂上を目指す必要はないよと。今はまだ登山口に立ったところですからね。

ーーー今年のチームの特徴は?
倉野監督
守りのチームですね。非常にディフェンスはしっかりしてます。ピッチャーも複数いるし、相手に余分な点を与えないというゲームはできると思うんです。
自分たちが前半しっかり守って、終盤から後半の少ないチャンスをモノにして、接戦で勝つと、そんなタイプのチームですね。

ーーー打撃についてはいかがでしょうか。
倉野監督
あまり打って打ってとか、一方的、横綱相撲的なパワー野球ではないですね。そう、打撃がね。昨年の秋からこれが課題なんです。
長打力も欲しいし、打って繋ぐ打線を目指してるんですけど、なかなかこれは急にはいかないんで。打ち込み振り込み、しっかり練習しているので、これから夏に向けて自信をつけて、上がっていけばいいなと思いますね。

感覚だけじゃなく、それぞれのバッターに合った数値分析も

ーーー監督こだわりの練習などはあったりしますか?
倉野監督
バッティングではたくさん球数を打って感覚を上げていこうとするんですけど、感覚だけじゃなくて数値とか映像を使って、打球の角度とかボールとバットのコンタクトの角度とか、そういったものを分析しながらやってます。

ーーーそれぞれのバッターに合った分析を行っていると。
倉野監督
そうですね。自分自身のバッターとしての特質、特性を知るということ。そしてそれを自分で考える。
いろんなタイプのバッターがいるので、それぞれの特徴に合った打撃ができるようにということでやっています。
このやり方で去年のチームがしっかり結果を出してます。甲子園でベスト8に入った先輩たちを見て、「こういう風にしていけばこうなるんだ」という経験がありますからね。
今年の選手はそれを習って、自分のものにしていくということですね。

ーーー投手陣は、去年12月時点で140キロ台を投げられる投手が5人ほどいたそうですね。
倉野監督
この春入った1年生も含めると、投手陣に厚みが出てきました。速さだけに頼らずに、自分の持ち味を出せるピッチングをして欲しいですけど、投手陣としての厚みはありますね。
ただ全員がベストコンディションではないです。それをこれから夏の大会、さらに決勝に向けて、みんながベストという状態に持っていくにはどうしたらいいか、というところですね。

キーマンは1人じゃない

ーーー監督から見た今年のキーマンは?
倉野監督
やはりまずピッチャーですね。キーマンは1人、2人じゃないです。ピッチャー3人、4人……この複数のピッチャーがキーマンになると思います。
昨年も一昨年も、強豪ひしめく愛知の中で、ベスト8、ベスト4、決勝……どんどん厳しい試合が続いていく。連戦の中で勝利を考えたときに、投手起用というのはすごくウエイトが大きくなると思っていますから。
1人のピッチャーが6試合投げ切るというのは不可能だし。複数のピッチャーでいかに上まで行って、最後、頂上に挑めるかという…。
ですから、3人、4人のピッチャーがキーマンになってきますね。
エースの笹尾(日々喜投手)であったり、あとは2年生に大泉(塁翔投手)とか伊東(尚輝投手)とか下級生のピッチャーもいますし、他にも2人、3人、夏に向かって準備しているピッチャーもいますから。
この投手陣を中心に、固い守りで、しぶとい野球。こういったゲームをしないと、愛知では勝てないと思います。

ーーー去年の秋から今にかけて、チームとしてどこが伸びてきていると感じますか?
倉野監督
これはもう、あらゆるところが伸びてます。冬の間、しっかり練習してますから。
まず、体力的な基礎ができました。そこに柱となる技術ですね、バッティング、守り、投手、あらゆる技術を上乗せして。
今、大きな屋根を作って、昨年より立派なお家になってきてるなあという感じですね。全て総合的に上積みしています。
課題のバッティングはね、長打率ですとか、好投手との勝負の場面で一本出せるかというしぶとさ。これをモノにできるか。一生懸命やってます。

一戦必勝で「スリーピート・ウィン」を目指す!

ーーーチームの雰囲気も上々とみてよろしいでしょうか?
倉野監督
はい!やっぱりね、愛知の夏を3連覇!平成に3連覇してるんですけど、令和でも3連覇!
3連覇はスリー・リピート・ウィンですけど、略して「スリーピート・ウィン!愛知の夏を3連覇!」
これがチームのキャッチフレーズです。

ーーーやはり激戦区の愛知で3連覇というのは選手にとっても大きいですよね。
倉野監督
そう!もうこれは夢じゃないですから!
目の前にある、目標よりもっと近いものですね。実行すべき、あとはもうやるしかないというものになってますから。
甲子園で結果を残しているチームもあるし、全国的にも好投手と言われる投手を擁するチームもある……力のあるチームがひしめき合っています。
今我々が見落としている、力のあるチームもあるはずですからね。

一戦必勝です!
一戦一戦、先を見ずに、その一戦をモノにするという風に大会を進んでいかないと勝てないと思います。
一歩一歩、一戦一戦、試合を決めていきたいですね。

ーーー3連覇がかかった夏、甲子園に向かって、監督の意気込みをお願いします。
倉野監督
はい! スリーピート・ウィン!
絶対に甲子園に、選手は連れていってくれると思います。

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仲の良さを活かして一丸となって戦う

倉野監督からとても力強い言葉をいただいたところで、監督が「総合的に非常にいい選手、いいキャプテンです」と太鼓判を押す金森主将にも話を伺った。

ーーー去年のチームと比べると、今年のチームはいかがでしょうか。
金森選手
去年のチームは打線に爆発力があって攻撃力があったんですが、今年は守備からリズムを作って攻撃に活かすチームです。まず守備でしっかり守ってリズムを作ることが大切だと思っています。
今年はいい投手がたくさんいるので、投手陣と守備陣には自信がありますし、みんな仲がいいので、一丸となって戦えるところがいいところです。

ーーー仲がいい秘訣を教えてください。
金森選手
自分たちは全員が寮生活をしていて、丸一日野球部が一緒にいて、どの時間でも会話をしているので、それで仲がいいんだと思います。
ずっと一緒にいると、普段と違って試合で緊張しているとかすぐに分かりますから。みんなで声をかけたりして、いい雰囲気で試合に臨めるようにできますね。

ーーーでは、今のチームの雰囲気はいかがでしょうか。
金森選手
練習でも全員で声を掛け合って、いい雰囲気で練習ができていると思います。エースの笹尾がまず元気で、選手ひとりひとりに声をかけてくれるので、そこから盛り上がってますね。
試合中のベンチでも全員が声を出して、出ている選手を後押しできていると思います。
去年は3年生に攻撃力があり、エースの有馬(伽久投手)さんたちがしっかり抑えていて、いい雰囲気で試合に臨めていました。それを自分たちも身近に見られたので、いいところを自分たちも吸収して、夏に挑めればと思っています。

3連覇へ挑む

ーーー今年は愛知県大会3連覇がかかっていますが、選手たちはどう感じていますか?
金森選手
3連覇に挑めることも素晴らしいことですし、先輩たちが作ってくれたチャンスですから、自分たちは絶対に達成できるようにしたいです。
投手を中心として、しっかり守備からリズムを作って、チャンスを活かし、点を取って……勝ちます。
愛知で3連覇、甲子園で昨年のベスト8を超えられるように、やるだけです!

取材後記

激戦の愛知で2度目の3連覇という偉業に挑む愛工大名電。
百戦錬磨の監督にはその道筋がしっかりと見えているようです。
豊富な投手陣を中心に守備でリズムを作り、チャンスを活かして勝つと言い切る愛工大名電の新たな戦い方に注目です。

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