パリオリンピックで懸念されているのが、異常な暑さ。
本来のパリは夏でもあまり暑くならない地域でしたが、近年は地球温暖化の影響で気温が上昇。異常な熱波の襲来で夏には40度を超えることもあります。
そのようなパリで行う真夏のオリンピック、選手たちは大丈夫なのでしょうか。
今回は、パリオリンピックの気象状況について調査。
パリで選手たちが特に気をつけなければならない点と、その気象への対策法についてもご紹介します。
【パリオリンピック】期間中の天気と注意点は?
過去の気象データによると、オリンピックとパラリンピックが開催される期間のパリの気象は90%が晴れか曇りで、平均気温が30度を超えるくらいになりそうだと言われています。
気温は東京オリンピックとほぼ同じ。30度を超えるということは多くの競技で暑さ対策が必要となります。しかし同じように暑かった東京とはまた違った注意点もあるようなのです。
日照時間が長い
パリの北緯は、北海道の稚内よりも3度北となる北緯48度。
それでも涼しくないのは大西洋の暖流の影響ですが、東京と比べて湿度が低いのは選手にとっては朗報です。
しかし一方で問題となるのは日照時間の長さ。緯度が高くなるほど、夏の昼間は長くなり、大会期間中のパリでは日没が午後9時以降となります。
その影響で最高気温を記録するのは夕方。夜でもなかなか気温が下がりません。
夜の競技は東京よりも暑くなる上、コンディションの調整も難しくなるのです。
また乾燥した状態で日差しを浴びる時間が長くなるため、脱水症状にも注意が必要だと言われています。
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寒暖差が激しい
朝と昼の寒暖差が激しいことにも注意が必要です。
朝の気温は6度前後まで下がることがあるのに、最高気温が40度近くまで上がることも。そのため体調管理はさらに難しくなります。
またパリは天候の予測が難しく、天気予報が当たらないことでも有名な街。選手たちは天気予報が外れても対処できるようにする必要があります。
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【パリオリンピック】暑さ対策はどうなっている?
パリ大会は史上最もサステナブルなオリンピックを目指す大会。
そのため選手村には基本的にエアコンを設置しないなど、省エネにも勤めています。
少し不安になってしまう暑さ対策、どのようになっているのでしょうか。
地下水と川の水で冷房
パリが行おうとしている暑さ対策の目玉は水を使ってエアコンに頼らない冷却システムです。
これは地下水やセーヌ川の水を活用する仕組み。建物の床下に長い水道管を配置し、地下水やセーヌ川の冷たい水を流します。ルーブル美術館やデパートで導入したところ、屋内を23度から26度に保つことに成功。パリは温暖化対策の1つとしてこの冷却システムの規模を拡大すると発表しています。
水を使った冷却システムは選手村でも導入。またバドミントンや車いすバスケットボールなどの競技会場の一部でも利用することになっています。
選手村で行った実験では、外気温が41度の日でも室内を28度ほどに保てたそうですから、効果は期待できそうです。
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川からの風で部屋を冷やす
選手村をセーヌ川の近くに建設したのも暑さ対策の一環。
セーヌ川の水で冷やされた涼しい風が建物を通り抜けるよう配置を工夫することで、室内の気温を下げる工夫を取り入れています。
パリはエアコンなしが当たり前
こうした対策を行う一方、選手村の部屋には基本的にエアコンを取り付けないと決めたのは、パリにはそもそもエアコンを使う文化があまりないから。
今までパリでは夜になると涼しくなったため、部屋にエアコンをつける習慣がなかったのです。
ところがパリ市民にとっても辛かったのがここ数年の熱波の襲来。そのため最近になってエアコンが必要だと感じる人も増えているそうです。
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【パリオリンピック】日本選手団の天候対策
ヨーロッパの天候に慣れていない日本選手にとっては、パリでの天候対策はとても重要。
どのような対策を立てているのでしょうか。
エアコンを設置
選手村にエアコンを設置しないことに関しては、世界各国から不安の声が噴出しています。そこで選手村ではオプションとして希望すれば各部屋にエアコンを付けると発表。
2年前の視察でパリの熱波を体感した日本チームのスタッフはさっそくオプションのエアコンを全ての部屋に付けることを決定しました。
ウエアでも対策
単純な暑さと共に心配なのが、朝と昼の寒暖差。その対策として日本選手団の公式ウエアは通気性の良さを保ちつつ肌寒さを感じないように工夫。幅広い気温に対応できるような作りになっているそうです。
専用アプリMiCATA
日本の気象情報会社ウェザーニューズにはスポーツ気象チームという部門があって、2016年のリオ大会から選手や競技団体をサポートしています。
その内容は、よりよい戦いができるように試合会場の詳細な気象データを提供するというもの。
パリオリンピックでは、アスリート向け天気予報サイト「MiCATA(みかた)」のオリンピック版も用意されます。
これは選手がそれぞれの競技に合わせた予報を確認できるサイト。
天気だけでなく、例えばマラソンコースならコース上の時間帯による風向きなども一目で分かるため、天気を味方につけることができるということです。
まとめ
東京大会では選手からの「暑さで死ぬかもしれない」という声を受けてテニスの試合が夕方からの開催に変更されるという事態がありました。
アスリートたちにとって、真夏の暑さは天敵。
さまざまな対策が用意されていますが、それに加えてパリ大会の開催期間が少しでも涼しくなるよう、願いたいものです。
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