人生100年時代と言われるようになって日本でも注目されている言葉が「ウェルネス」。
でもその意味を正確に言える人は少ないのではないでしょうか。
ウェルネスは直訳すると「健康」。
ではヘルスとの違いは?
具体的にはどういうこと?
今回は、ぜひ知っておきたいワード「ウェルネス」を解説します。
ウェルネスとは
ウェルネスはアメリカの医師ハルバート・ダン氏が1961年に提唱した概念。
健康を身体だけでなく、より広く総合的にとらえたもので、その最初の定義は「輝くように生き生きしている状態」でした。
その後1977年に全米ウェルネス協会が設立されると、ウェルネスは一般にも広く知られるようになっていきます。
それに合わせて定義も再解釈されて変化。
現在は、生活の質の向上や前向きな気持ちで生きていくための行動を大切にして、豊かな人生、輝く人生を目指すことというような意味になっています。
ヘルスとの違い
では同じ「健康」と訳されるヘルスとの違いは何でしょうか?
ヘルスが表しているのは、病気ではない、肉体的に健康な状態。
それに対してウェルネスはさらに範囲が広くなります。
ウェルネスは肉体的に健康であることに加えて、精神面でも前向きで健康な状態であること。
まずは身体の健康であるヘルスがあり、ヘルスを基盤として豊かな人生、輝く人生を目的・ゴールとしていくのがウェルネスなのです。
ヘルス産業とウェルネス産業
ヘルスとウェルネスの違いは、ヘルス産業とウェルネス産業の違いを見ればよくわかります。
ヘルス産業の代表的な例は、病院です。
病院はできれば行きたくはないところ。
人々が顧客となるのは何かの病気になったときで、受け身の産業となります。
これに対してウェルネス産業は健康に対して前向きなビジネス。
例えばフィットネスジムやスパなどのように、より健康に、美しく、輝く人生を目指して取り組むものとなります。
さまざまなウェルネス市場
心身の健康をベースに豊かな人生を送るウェルネスには、さまざまな産業も注目しています。
日本の市場規模は経済産業省の試算では10兆円規模。
世界では2020年は4.4兆ドルで、2025年には7兆ドルになると言われています。
では具体的にはどのような市場があるのでしょうか?
ウェルネスツーリズム
ウェルネスツーリズムは、一般的な「観る」旅行ではなく、心身の健康や精神的な幸福を目的とする旅行のことです。
これまでにも「ヘルスツーリズム」というものはありましたが、そちらは医療を目的としたもの。
楽しさがなく、実際の効果も見えにくいのが難点でした。
それに対してウェルネスツーリズムでは治療は行わないのが特徴。
病気の予防、生きがいや生活の質の向上にポイントが置かれていて、スパやヨガ、レクリエーションやリラクゼーション、美容、食事療法、森林療法などで楽しく健康を目指します。
このウェルネスツーリズムは日本ではまだあまり馴染みのない言葉。
しかし温泉医学研究で世界をリードしている日本ではウェルネスツーリズムが大きく発展するのではないかと期待されています。
ウェルネス不動産
今後最も成長すると言われている分野が、ウェルネス不動産です。
これは健康に配慮した建物のこと。
近年の建築物は省エネ性能や地球に優しい資材などに力を注いできましたが、今注目されているのは、そこに住み、働く人々の健康への配慮です。
実はこれまでの建物の中には省エネ性能を高めるために換気不足になっていたものも多く、アメリカでは室内の汚染物質が屋外の2倍から5倍になっているという研究もありました。
そこで健康とウェルネスに焦点を合わせたWELLという建築の認証制度が登場。
睡眠環境の研究や室内の日光の影響に関する研究なども進んでいます。
これからは健康と快適さを売りにする建物が急速に増えるかもしれません。
ウェルネスフード
ウェルネスフードは、おいしく食べて健康増進にもなる食事のこと。
栄養やダイエットと合わせて世界で104兆円規模の産業になっています。
ウェルネスフードと呼ばれるものは、例えばナッツやオリーブオイル、ドライフルーツなど。
他にもさまざまな食品がウェルネスフードとして注目されています。
その他のウェルネス産業
ウェルネス産業には、「パーソナルケア・美容・アンチエイジング」、「フィットネス・マインドフルネス」「予防医学・公衆衛生」「伝統医学・代替医療」「職場ウェルネス活動」などもあります。
中でも市場規模が大きいのは「パーソナルケア・美容・アンチエイジング」。
この分野だけで105兆円産業だと言われています。
スマートウェルネスシティ
日本では厚生労働省が進める「健康日本21」がウェルネスの考えを取り入れた施策として知られています。
具体的には、一人一人が豊かで満足できる人生を全うできるよう、健康づくりに必要な環境整備を進めるというもの。
その代表がスマートウェルネスシティという取り組みです。
これは地域の人々が健康で元気に幸せに暮らせることを目指すまちづくり。
そこでは例えば、緑道や歩道など、歩きやすい道づくりを積極的に行っています。
これはただ健康のために歩こうというものではありません。
地域の人々のつながり力「ソーシャルキャピタル」が高いほど健康度は高いという研究結果に基づいた施策。
歩く機会が増える → 顔見知り同士の偶然の出会いが増える → ソーシャルキャピタルが向上する という狙いなのです。
まとめ
ウェルネスは、健康を基盤としてよりよく生き、輝く人生を目指すもの。
さまざまな産業や街づくりがウェルネスを後押ししています。
でも大切なのは、まずは自分が健康に前向きになること。
ウェルネスを意識して、より充実した生活を目指しましょう。
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