プロ野球の全日程が終了した後に話題となるのがFA(フリーエージェント)です。
プロ野球ファン注目の的となるFAですが、どのような仕組みか正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
今回は、FAの意味や仕組み、資格が取れる条件を調査しました。
【野球】FA(フリーエージェント)の意味
FA(フリーエージェント)は、その名前からも分かるように、どの球団とも選手契約が結べる権利を持つ選手のこと。
なぜこのような言葉があるのかというと、野球選手と来季に契約する権利は現在の球団が所有しているから。
本来は他の球団に自由に移籍することはできないのですが、FA権を行使することで他球団と交渉して移籍できるようになります。
一見似ている言葉に「自由契約」がありますが、FAは日本プロフェッショナル野球組織が定める資格条件を満たすことで権利を得るもの。
戦力外通告などで自由契約となった選手はフリーエージェントとは呼ばれません。
2種類のFA
FAには、「国内FA」と「海外FA」の2種類があります。
「国内FA」は、日本のプロ野球のどの球団とも選手契約を結べる権利。
「海外FA」は、外国のどのプロ野球組織の球団も含め、国内外のどの球団とも選手契約を結べる権利を持ちます。
メリット
FA権を行使すると、希望する球団に移籍できる可能性があるのがメリット。
また3年総額◯億円などの複数年契約によって、安定した契約を結ぶこともできます。
さらに自分が所属していた球団とも複数年契約など有利な条件で交渉を進められる可能性があります。
デメリット
大きなデメリットは契約年俸の上限が昨年の年俸となること。
FA権を行使せずに同じ球団で交渉すれば年俸アップの可能性があっても、FA権を行使すると年俸アップは見込めなくなります。
またどの球団も獲得に名乗りを上げなかったら自由契約となってしまい、プロ野球選手ですらなくなってしまう可能性もあります。
【野球】FA(フリーエージェント)の条件
前述のようにFA権は誰でも行使できるものではありません。
FAの資格条件とはどのようなものでしょうか。
資格取得に必要な期間
日本プロフェッショナル野球組織の定める条件は、以下のようになっています。
FAになるには
セ、パ各リーグの年度選手権試合期間中に145日以上出場選手登録されたシーズンを1シーズンとして計算し、合計8シーズンに達したときに「国内FA」となる資格を取得する。
(ただし、2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手は、7シーズンで資格を取得する)
合計9シーズンに達したときに「海外FA」となる資格を取得する。
(ただし、それ以前に国内FAの権利を行使した場合を除く)
出場した試合数ではなく、1軍に登録された日数で数えるのがポイント。
シーズンのおよそ4分の3以上1軍に登録されていれば1シーズン分になる計算です。
出場選手登録日数が145日に満たないシーズンがある場合は、それらのシーズンの出場登録日数を合計して145日分で1シーズンとすることになっています。
また注意が必要なのは、海外FAとなる資格を取得する前に国内FAの権利を行使した場合。
こちらは契約した国内球団での出場選手登録が4シーズンに達したときに「海外FA」となる資格を得ることができます。
このため海外FAを狙う選手の多くは国内FA権を行使しません。
資格取得期間に関する特例
上記の145日間については選手の不利にならないよう、2つの特例が定められています。
1つめは故障して1軍登録を抹消された場合。
2月1日から11月30日まで(球団との契約期間)にグラウンド上での故障やケガによって登録を抹消された選手は、登録抹消日から2軍の公式試合に出場するまでの日数を1軍登録日数として加算することができます。
これは前年の1軍登録日数が145日以上の選手に限った特例です。
2つめは投手の特例制度。
先発ローテーション投手が開幕日から7日以内に1軍登録されたときは、開幕日から1軍登録されたものとして加算します。
また先発ローテーション投手がオールスター戦のために登録抹消、再登録されたときも、その間の日数が加算されます。
FA宣言する方法
FAの資格条件を満たしても、選手はいつでも自由にFA宣言できるわけではありません。
宣言できるのは日本シリーズが終了した日の翌日から。
土・日・祝日を除いた7日間以内に表明する必要があります。
その7日間の翌日に、正式に「FA宣言選手」を公示。
さらにその翌日から全ての球団と交渉ができるようになるのです。
交渉を行える球団には、これまで所属していた球団も含まれます。
【野球】FA(フリーエージェント)の補償
球団としては選手がFA権を行使して出て行ってしまうのは痛手。
そこでFAには補償制度が存在します。
この補償の基準となるのは、チーム内での日本人選手の年俸ランキング。
Aランクはチーム内の外国人選手を除いた年俸ランキング1位から3位の選手。
Bランクは上位4位から10位で、Cランクは11位以下。
そのランクによって、前に所属していた球団は移籍先の球団から補償を受けることができます。
補償内容は前に所属していた球団が選び、移籍先はそれに従うという形。
ただしCランクの選手には補償はつきません。
選手補償
AランクまたはBランクの選手が移籍したとき、前に所属していた球団は、移籍先の球団が定めた28人と外国人選手以外の中から選手を選んで獲得できます。
選手補償+金銭補償
選手補償に加えて、選手のランクによって金銭補償を受けることもできます。
Aランク=前年俸の50%
Bランク=前年俸の40%
金銭補償
選手の補償を望まない場合は、金銭をアップして補償を受けることもできます。
Aランク=前年俸の80%
Bランク=前年俸の60%
【野球】FA(フリーエージェント)獲得上限
FA権を行使した選手を球団が獲得できる人数には上限があります。
AランクまたはBランクの選手は、各球団2名まで。
ただしFA宣言をした選手の数が21名から30名になったら各球団3名、31名から40名になったら4名、41名以上になったら5名まで契約することができます。
Cランクの選手は上限なく獲得できる決まりです。
まとめ
FAは長く1軍に登録された選手だけに与えられる特権。
しかし行使することで長年在籍したチームを出ることや、最悪の場合どこのチームからも声がかからないリスクもあるシステムです。
FA宣言は選手にとってまさに究極の選択。
その人間ドラマにも注目です。
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