どこよりも熱くお届けするスポーツコンテンツ

NEW POST

スポスルマガジンの最新記事

「子供とスポーツ」を考える

部活動の新たな可能性・3【くぼっちコラム】

「部活動の新たな可能性」として、初回は「せっかく多種目の専門家が集まっているのだからそれをもっと有効活用しよう」そして前回は「マネージャーを真の意味でのマネージャーに」という内容で書きましたが、今回は「部活動の新たな可能性」の最終回として、部活動の「これから」について書いたみたいと思います。

【部活動の新たな可能性シリーズ1~2の記事はこちら】⇩
・部活動の新たな可能性・1【くぼっちコラム】
・部活動の新たな可能性・2【くぼっちコラム】

学校から地域へ。総合型地域スポーツクラブへの移行

何もここで改めて書かなくても、すでに国の取り組みとして、数年以内には現在の部活動の形は大きく姿を変え、総合型地域スポーツクラブへの移行を前提とすることが決まっています。部活動は、大きな変革期に来ているわけです。

これまでは学校の先生が主となって動いていたものを、外部コーチをはじめとして民間からの人材を活用して、先生の負担を減らすこと。

そしてせっかくの街の「文化財」でもある学校施設をもっと地域に還元しようという動きですね。それが良い形で実現すれば、部活動だけでなく、この国のスポーツ文化そのものが大きく変わっていくことでしょう。

実は⋯日本は世界一のスポーツ大国?

前回も少し触れましたが、日本中の、そこにある街中に、あらゆる「学校」が存在します。

小学校〜高校、その学校のほとんどにグランド、体育館、プールがある。そう考えると、学校ってもうすでに立派な「スポーツ施設」なんですよね。

これほど街中に「ハイブリッド型スポーツ施設」があるのって、日本だけではないでしょうか。ヨーロッパでは、ほとんどの国がスポーツは地域のクラブでやるものという文化があります。

だからなおさらのこと、日本の「全ての学校にスポーツ施設としての要素が備わっている」というこの現状は決して恥ずかしいことではないし、むしろ、めちゃくちゃ誇るべきだと思うのです。

施設だけで言えば、日本は世界一のスポーツ大国。僕はそう思ってます。

だからこそ、せっかくあるそんなスポーツ施設を、学校現場だけで消費して持て余してしまうのは実にもったいないじゃないですか。

地域や民間への開放、そして運営の移行も含めて、部活動から総合型地域スポーツクラブへの発展はいずれ避けては通れない道だったと思いますし、そうしていかなければ実にもったいない・・・!という話なんですよね。

学校・地域・民間、うまくやっていこうぜ

しかし、いくら総合型地域スポーツクラブへの移行をしていきますよといっても、今あるものをチャラにして、部活動も廃止して全て地域や民間に任せてしまうと、それはそれで大きな軋轢や衝突を生んでしまうのではないか、とも危惧しています。

例えば民間のクラブなどが指定管理者になってそこの学校施設を運営するようになれば、そのクラブだけが優先的に多くグランドを使うようなことになったり、部活動までもきれいにクラブ化してしまったら、それこそ、スポーツを気楽に楽しみたい生徒達の居場所がなくなってしまうとか、そんなことも実際起きてしまうところは少なくないと容易に想像できます。

部活動をやりたい先生もいますしね。学校のことは先生や生徒が一番よくわかってるので、あくまでも管理や運営は先生や生徒が行う形にするのがベストなのではないかと、部活動の外部コーチを長々とやってきた自分としては、強く思うところです。
(運営・・・マネージャーの出番かも!)

部活動を受け持つ先生には別途報酬もしっかり出す。民間から招聘する外部コーチには、自治体が(私立ならば学校法人として)しっかりと契約書をつくり、報酬も出す。

学校、地域、民間のそれぞれがタッグを組み、その学校の生徒だけでなく他校の生徒も、そして地域のスポーツしたい人をも巻き込んで、せっかくの「ハイブリッド型スポーツ施設」である学校をうまく活用していけたら、日本は真の意味でのスポーツ大国になっていけるはずだし、そのことで、国全体がもっともっと豊かになれるのではないかと思います。

スポーツを楽しむ人が増えれば、健康な人が増え、医療費も減らすことができますしね。

その地域にある、総合型地域スポーツクラブに移行したいくつかの学校を跨ぐ形で、それを俯瞰的に見ることのできる存在も必要かもしれません。体罰や暴言、その他何か不公平な事象が起きた時にそれを指導できる立場として、そして運営がしっかりなされているかをチェックできるような。そんなGM?的な存在も、今後はきっと必要になってくるはずです。

最後に

部活動に関するコラムは今回で終了です。

これまでの部活動は、良くも悪くも日本のスポーツ文化をつくってきました。部活動なくして、日本のスポーツは語れません。でもだからこそ、そこで多くの問題も発生し、心を痛める生徒も多く、先生の負担も大きくなってきてしまった結果、実際に不幸な事件や事故も多く起きてしまいました。

そんな悪かった部分はしっかりと是正した上で。部活動の持つ良さは失わないようにうまく残しながら、新しい形へと移行していければいいですね!

スポーツを通じて多くの人がハッピーになれるような仕組みを、きっとつくれると思います。

読んでいただき、ありがとうございました。

人気の「くぼっちコラム」 他の記事はこちら】⇩
・園児は僕らの先生【くぼっちコラム】
・女子サッカーのこれからについて【くぼっちコラム】



  • この記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
くぼっち

くぼっち

見方と考え方が変われば違う景色が見える。違う自分になれる。現実の殻を破るのだ

20年以上サッカーのプロコーチをしてきましたが、サッカーよりも好きなものがたくさんありすぎて、その影響か、サッカーを別の角度から見たり、疑ったり、これまでの見方を変えてみるという悪癖があります。でもそうすると、これまでとは全く違う景色が見えたり、新たな興味も湧いてくるんですよね。理想が現実を塗り替えていく、そんな世の中にしたいです。

  1. サッカーにおける「攻撃」とは・1【くぼっちコラム】

  2. 指導者と選手の素敵な関係性【くぼっちコラム】

  3. 育成年代においての試合の「やり方」【くぼっちコラム】

PAGE TOP