スケルトンやリュージュという競技に耳馴染みのある日本人は少ないかもしれません。
冬季オリンピックを観戦した経験のある方も、この二つの競技の違いや詳しいルール、細かい概要を理解している人も、そう多くは無いかと思われます。
今回はスケルトン、リュージュの歴史やルール、日本における歴史、派生したスポーツなどについて解説します。
スケルトン・リュージュの起源・歴史について
スケルトン・リュージュの始まりはスイスからと言われています。
スイス・サンモリッツのホテル経営者であるカスパー・パドラッツは冬の観光者向けに娯楽を提供したいと考えていました。そんな中、イギリスからの観光者が物資運搬用のソリで競争して遊んでいるのを見て、冬季観光者向けの娯楽になると考えたのです。
これがそり競技の起源となります。
日本におけるスケルトン・リュージュの歴史について
日本でのソリ競技が認知されたのはボブスレーの存在が大きいです。
1993年に公開されたアメリカ製作の映画「クール・ランニング」の影響で日本でも馴染みが深い競技となりました。本作は1988年カルガリーオリンピックに出場した南国ジャマイカのボブスレー四人組男子チームの実話を元にした作品で、当時ブームだったレゲエをサントラにしており、日本での配給収入は10億円のヒット作です。
スケルトン・リュージュと関連のあるスポーツ
日本ではスケルトン・リュージュよりボブスレーの方がメジャーなスポーツかと思われます。
ボブスレーはスイスのアルプス地方で発祥しました。ボブスレーは氷上のF1レースとも呼ばれており、鋼鉄製のボディをしたソリに乗り、全長1400メートルの氷の壁を猛スピードで駆け抜けていきます。
1924年のシャモニー・モンブラン冬季オリンピックから正式競技になり、当初は男子のみの競技でした。2002年ソルトレークシティー冬季オリンピックから女子2人乗りが新種目となり、男子2人乗り、男子4人乗り、女子2人乗りの三種目となります。
スケルトン・リュージュの競技人口について
日本国内のスケルトン・リュージュの競技人口は少数で、スケルトンは60人程度、リュージュは20人程度とされています。ボブスレー人口を含めても、競技人口100人程です。
スケルトン・リュージュのルールについて
スケルトンは2本から4本を滑走した合計のタイムで競い合います。
なぜ2本から4本と差があるかというと、スケルトンはオリンピック、世界選手権、ワールドカップ、ジュニア選手権と何種類かの大会があります。
大会によって規定が異なり、また天候など左右される要因により4本が3本、2本と変更する可能性があるからです。大会によって滑る本数に違いはありますが、基本的に4本か2本が通常となります。
4本の場合、1本目は1番から最後まで。2本目は1本目で20位から1位。その後21位からラストまで。
3本目は2本目終了時点の1位からラストまで。4本目は20位から1位まで。21位以降は4本目には進めず、3本目終了までの順位になります。2本目の場合、1番目から最後までの順位となります。
大会当日、ソリは決められた場所に置き、整備等でソリに触れる時間も決まっています。選手の用具の条件を合わせる為、直前に滑走部のパーツであるランナー、スパイクを審判に見せなければなりません。
ランナーは温度を測り、氷との温度差がある場合、氷の上にランナーを置いて温度を下げます。スタート時にはコースに誰も立ち入ってない状態を確認し、選手に対して合図ブザーが鳴り、30秒以内に決められたラインを通過し、自分のタイミングでスタートを切ります。
ゴールラインを通過するとヘルメットの先端でタイムが計測され、ゴール先にクッション状の物が置いてあり、それに捕まって止まります。
そしてゴールしてすぐに、ソリごと乗れる体重計に乗りオーバーウエイトしてないか調べます。用具にもルールがあり、ソリと選手の重量を足して男子は115kg、女子は92kg以下にしなければなりません。
次はリュージュについてです。男子1人乗り、女子1人乗り、性別は問わない2人乗りの3種目で、1人乗りは2日間で4回、2人乗りは1日で2回滑走しタイムを競います。スタートは両手でハンドルバーを握り、前後に振って反動を付けソリを押し出します。
スタート直前はスパイクの付いたグローブで氷を引っ掻き加速します。ソリは仰向けで寝て、水平にフォームを保ちながら両足でクーヘと呼ばれる刃を先端で挟み、押し込むように操縦します。
リュージュは重い方が有利になる為、ソリの重さには規則があります。
スケルトン・リュージュの国際的な大会について
スケルトンの主な国際大会は冬季オリンピック、世界選手権、ワールドカップ、インターコンチネンタル、ヨーロッパカップ、北アメリカカップの6大会。
リュージュの国際的な大会は主に冬季オリンピック、ワールドカップ、ジュニアワールドカップ、アメリカンパシフィックチャンピョンシップ、ヨーロピアンチャンピョンシップの5大会となります。
世界から見たスケルトン・リュージュ日本女子、日本男子の強さについて
先述にもあるように、スケルトン・リュージュ共にソリ競技の日本人口は100人程度と少数になります。日本人としては両競技とも冬季オリンピックでのメダル数は未だ獲得経験がありません。
リュージュの日本人最高戦績は、1972年札幌オリンピックで荒井理選手と小林政敏ペアの男子2人乗りで4位、女子では同大会で大高優子選手が5位に入賞しています。
スケルトンは、2002年ソルトーレオリンピックでの越和宏選手が8位に入賞しました。両競技、男女代表とも今後の活躍に期待したいです。
まとめ
世界的には北欧を中心に盛んなスケルトン・リュージュですが、日本での競技人気は発展途上といったところです。
観戦しても迫力があり、競技としても戦術や駆け引き、そして猛スピードで滑走する勇気も必要なやりがいのある競技です。
競技の魅力を伝え、日本での競技人口を増やしていくのが今後の課題となるかもしれません。
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