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【パリオリンピック】なくなった競技は?廃止になった五輪種目を解説

パリオリンピックで実施される競技は、32競技329種目。ブレイキンが採用されるなど、新しく登場した種目もありますが、逆に消えてしまった競技もあります。なぜオリンピックから競技が消えてしまうのでしょう?
今回は、パリオリンピックからなくなった競技、そして過去にオリンピックから消えた競技について解説。10年ほど前に廃止を検討されたことがある驚きの競技についても紹介します。

オリンピックから競技が消える理由

オリンピックの競技は増えていくことはあっても消えることはないのが常識でした。実施競技で廃止されたのは、ごくわずかです。

廃止された実施競技

オリンピックの実施競技というのは、公開競技などのように1大会限定ではなく定期的に行われることが決まっている競技のこと。
この実施競技で最後に廃止されたのは、2008年までで廃止された野球とソフトボール。その前は1948年の大会までで廃止された芸術競技まで遡ります。
芸術競技の種目は絵画、造形、文学、建築、音楽。スポーツを題材にした芸術作品を制作し、採点により順位を競うという競技でした。
廃止となった理由は客観的な採点が難しく、偏った判定が起こりがちだから。また参加選手の多くがプロの芸術家で、展示された作品を転売することがアマチュア精神に反するという批判もありました。その結果、1952年のヘルシンキオリンピックで主催者側が実施を拒否。1912年から7回開催された競技でしたが廃止となりました。
それ以前で廃止されたのは、1936年までで廃止となったポロや、1920年までで廃止となった綱引きといったところ。実は廃止された競技はあまり多くないのです。

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近年廃止が多い理由

一方で近年は廃止される競技がとても多いという印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
それは追加種目という制度があるからです。追加種目は正式競技ではないものの、その大会に限り正式競技と同じように実施され、公式のメダルが授与される競技。その意味では従来のお試し的な公開競技よりも意義のある競技となります。
この追加種目は前回の2020年東京大会から種目の提案をする権限が開催国に与えられるようになりました。日本は野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目を提案。
正式種目と同じように扱われたのでパリオリンピックで実施されなくなったときには驚いた人も多かったのですが、開催国が選ぶ競技なので、1大会限りで消えることがあるのも当然なのです。

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パリオリンピックから消えた競技

パリオリンピックで消えた競技は3種目野球、ソフトボール、空手です。これらは前述のように東京大会で追加種目となったもの。だから厳密には廃止になったのではなく、パリ大会では追加種目に選ばれなかっただけということになります。
しかし同じ追加種目の中でもスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンはパリでも実施されます。なぜ野球とソフトボールと空手は選ばれなかったのでしょうか?

野球とソフトボールが選ばれなかった理由

野球とソフトボールがパリ大会で選ばれなかった理由は、実は簡単。まずはフランスでは野球やソフトボールがマイナーだからです。
実は野球は世界的にみてもマイナーな競技。南北アメリカやアジアなど一部の地域を除いては競技人口も少なく、人気はあまりありません。
フランスもそんな国のひとつ。そのため国際大会を開催できるような球場もほとんどないのです。つまり野球やソフトボールを開催するためには球場を新設する必要があり、しかも観客動員はあまり見込めないということ。赤字になる可能性がかなり高いのです。
さらにフランスは野球が弱いというのも理由。勝ち上がって盛り上がる可能性もほとんどないので、野球は採用されなかったのです。
ソフトボールはさらにマイナー。東京大会には206の国と地域が参加しましたが、ソフトボールに参加したのはわずか6カ国でした。しかもヨーロッパはイタリアのみ。これでは採用されるのはかなり難しいといえます。

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空手が選ばれなかった理由

一方、フランスでは空手は人気のあるスポーツ。柔道ほどではありませんが高い人気を誇っています。
そのため野球やソフトボールとは違ってパリ大会でも実施されるのではないかと予想されていました。それが落選となった理由は、公式には発表されていません。
しかし世界的にはまだ他の競技と比べて普及率が低いことや、採点基準が複雑で盛り上がりどころがわかりにくいという問題が理由ではないかと言われています。そのためエンターテインメント性や若い観客の関心を引きつける力が不足しているとパリ五輪組織委員会が判断したというのが定説。
再びオリンピック種目になるためにはルールをわかりやすく整理することが必要だと言われています。

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廃止が検討された競技

2013年にある競技の廃止が検討され、スポーツ界に衝撃が走るできごとがありました。それはレスリング。古代オリンピックでもメイン種目だった伝統的な競技がまさかの廃止危機に陥ったのです。

IOCがレスリング廃止を決定

2013年2月12日、国際オリンピック委員会(IOC)は理事会で、2020年大会で実施する25の中核競技を選定。従来の26競技から1競技減らし、レスリングを廃止することを提案しました
同時に廃止候補に上がっていたのは、近代五種、テコンドー、ホッケー、カヌー。これらの比較的マイナーな競技と比較した投票でレスリングが選ばれたのです。

世界中が反発

オリンピックの歴史でも最も伝統的な競技が廃止されるという決定に、世界中が猛反発しました。スポーツ界だけでなく各国の国家元首国会も反対するコメントを発表。各国で署名運動が起こる事態になりました。

レスリングの廃止が決まった理由

IOCはレスリングが中核競技からはずれた理由は、統括団体の国際レスリング連盟(FILA=現UWW)の運営があまりにまずかったからだと説明しました。
 理事会に選手がいない
 選手が一切の投票権を持たない
 幹部に女性がいない
 ルールが一般人に分かりにくい
 女子にグレコローマンがない
 テレビ観戦に適したスポーツへの変革に後ろ向き
これらの改善点をIOCがFILAに何度伝えても反応が鈍かったことが廃止決定の理由でした。

廃止決定後、新競技に採用

2013年9月8日、IOCの理事会でレスリングの廃止の可否と新競技の決定投票が行われました。その結果は、賛成77票、反対16票、棄権2票で、レスリングの中核競技からの除外がIOCとして正式に決定したのです。
そして続けて行われたのが、追加1競技を選ぶ会議。3競技のプレゼンテーション・質疑応答のあと投票が行われ、野球&ソフトボールスカッシュを退けてレスリングが新競技に採用されました。
結果だけを見るといったい何だったの?という感じですが、この騒動でFILAは改革の必要性を痛感したといわれています。

まとめ

近年ではオリンピックから消える競技はほとんどなく、前回の追加種目が採用されないことがあるだけ。その意味では競技が消えたとは言えません。
実際、パリで不採用だった野球とソフトボールは次回のロサンゼルス大会では復活が決定。逆に今回のパリ大会で新採用されたブレイキンはロサンゼルス大会では実施されないことが決まっています。
とはいえレスリングの例が示すように正式競技も安泰ではないのは事実。時代に合わせてアップデートしていかないと廃止ということもあるかもしれません。

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