長い歴史を持つオリンピック。毎回のように新競技が追加されますが、その一方で、消えてしまった競技もたくさんあります。
お馴染みのスポーツではラクロスやポロなども、かつてはオリンピック種目でした。そして過去には、さらに驚くべき競技や、運動会の定番になっている身近な競技もオリンピックの種目のひとつとして行われていました。
ここでは、昔のオリンピックに実在した珍競技の数々をご紹介します。
陸上
競技の数が多い陸上ですが、その中にも消えてしまった珍競技がいろいろとありました。
立ち幅跳び・立ち高跳び・立ち三段跳び
その名の通り、いずれも助走をせずにその場からいきなり跳ぶ競技でした。
立ち幅跳びと立ち高跳びは1900年のパリオリンピック(第2回大会)から1912年のストックホルムオリンピック(第5回大会)まで、4回実施されました。
立ち三段跳びは、パリオリンピックと1904年のセントルイスオリンピック(第3回大会)で、2回だけ実施されています。消えてしまった理由は、助走がないゆえに記録が伸びないことと、瞬発的な筋力以外に技術を必要とせず、地味だったから。
とはいえこの3種目では、アメリカのレイ・ユーリーという選手が大活躍して、金メダルを独占し合計8個の金メダル(1906年の中間大会を含めると8個)を獲得しています。
綱引き
運動会でお馴染みの綱引きも、実はオリンピック種目でした。パリオリンピックから1920年のアントワープオリンピック(第7回大会)まで実施されています。
綱引きは、かつて船乗りにとって必須だった綱を引く技術がスポーツ化したもの。その時期が近代オリンピック開始と一致したため、人気競技となりました。
とはいえ、出場選手は綱引き専門ではなく、他競技の選手がついでに出ることが多かったそうです。その後、増えすぎた競技を減らすために消滅してしまいましたが、国際綱引き連盟は今でもオリンピック復帰を目指しています。
競泳
競泳は消えてしまった種目が多いジャンル。少しばかり危険ではないかと思えるような競技が、かつては存在していました。
距離飛込
距離飛込は、1904年のセントルイスオリンピックでのみ実施された種目。飛込種目の一種ですが、競うのは飛び込んだ後に水中を泳ぐ距離でした。
潜水したままなので、観客からはほとんど見えない状態であり、あまりに地味なためか一回限りでなくなってしまいました。
潜水競泳
こちらは1900年のパリオリンピックで一度だけ実施された種目。選手は、潜水して泳ぐ距離1mごとに2ポイント、潜水時間1秒ごとに1ポイントを稼いで、合計ポイントを競います。
泳いだのはプールではなく、濁ったセーヌ川。あまりに危険なためか、こちらも一回限りで消滅してしまいました。
障害物競泳
1900年のパリオリンピックでは、セーヌ川で障害物競泳も行われました。ポールをよじ登り、ボートの下を潜って200mを泳ぐという過酷な競技。
金メダルを獲得したオーストラリアのフレデリック・レーン選手は、なんと通常の200m自由形でも金メダルに輝いています。
パリオリンピックのその他珍競技
ここまでお読みいただいた方はお気づきかもしれませんが、1900年のパリオリンピックは珍競技が多いことで知られています。
それは、この大会が万国博覧会の付属大会として行われたからであり、そのため会期が5ヶ月にも及ぶ今ではあり得ないような競技が行われました。しかもあまりにも競技の種類が多すぎたため、どれが公式でどれが非公式かもはっきりしない状態となっています。
熱気球レース
万博の付属大会ならではといえる競技が、熱気球レースです。飛行距離と飛行時間、決まった場所に正確に着陸する技術を競いました。
動力を使った競技はオリンピックに相応しくないということで消滅しましたが、当時はかなり盛り上がりをみせたそうです。
鳩射撃
生きた鳩を撃つ、というなんとも酷い競技。しかし、当時はこれが大会の目玉競技の一つだったそうです。
優勝者は21羽の鳩を撃ち落とし、全体では300羽もの鳩が犠牲になりました。
馬幅跳びと馬高跳び
その名の通り、馬に乗って幅跳びや高跳びを行う危険な種目です。
人間よりもすごい記録が出そうですがそれほどでもなく、馬幅跳びは6.10m、馬高跳びは1.85mが優勝記録となっています。
釣り
その名の通り、川で魚を釣る競技。600人が参加しましたが、うち外国人は5カ国40人。
つまり560人は地元フランス人だったという記録が残っています。
芸術競技
1912年のストックホルムオリンピックから1948年のロンドンオリンピック(第14回大会)までは、芸術競技も正式競技として実施されていました。種目は、音楽、絵画、彫刻、文学、建築の5つ。近代オリンピックの理念が「肉体と精神の向上の場」であることから採用されました。
ただし、内容は「スポーツを題材としたもの」のみ。採点によって順位を決めましたが、その基準が難しいこと、そして作品を転売することがアマチュア精神に反するという理由でオリンピック競技から外れることになりました。
まとめ
過去のオリンピックを調べてみると、その他にもウエイトリフティングの片手ジャークや綱登り、タンデム自転車など珍競技が目白押しです。
とはいえオリンピックの競技は流動的であるため、再び人気を集めれば正式種目に復活するということもありえるかもしれません。
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