柔道や剣道と同じように、弓道にも段位があります。
剣道は段位が上がっていくと難易度が跳ね上がり、各段位で長い期間修行しなければ昇段試験を受けることもできない世界。
では弓道も同じように昇段はとても難しいのでしょうか。
今回は、弓道の段位一覧をご紹介。
昇段審査の内容や級位、称号についても解説します。
【弓道】何級からスタートする?
弓道の級位や段位は、全日本弓道連盟の審査によって認められます。
履歴書などには「弓道◯段(全日本弓道連盟)」と書くのが正式な名称。
その級位と段位は、五級からスタートします。
ただし、級位については飛び級をすることも可能というのが、弓道の特徴です。
級位に求められるレベル
弓道のそれぞれの級は、全日本弓道連盟の審査規定で定められたレベルをクリアすれば認められます。
五級 | 弓道修練の初歩的階層にある者 |
四級 | 秩序ある指導を受けており、弓矢の扱い方に進歩があると認められる者 |
三級 | 射の基本動作及び弓矢の扱い方がやや整い、 秩序ある指導のものに修練を得たと認められ者 |
二級 | 修練の程度三級に比して著しく進歩を認められる者 |
一級 | 射型・体配概ね正しいものと認められる者 |
表現が少し曖昧で、素人には基準がよく分からないかもしれません。
ではこの級位はどのように審査されるのでしょうか?
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【弓道】級位と段位の審査
弓道の級位や段位を得るためには、全日本弓道連盟の審査会に参加して合格する必要があります。
審査会の内容は行射と学科の2つです。
行射
行射試験は審査員の前で行う実技試験です。
受審者は2本の矢を射て、射法八節と呼ばれる弓道の一連の動作が正しくできているかなどを評価されます。
この審査は的中率を競うわけではないところがポイント。
審査員は立ち居振る舞いなどを見て、総合的な弓道の修練結果を審査するのです。
学科
審査会では学科試験も行われます。
一般的な学科試験と違うのは、出題される問題が公表されていること。
全日本弓道連盟発行の弓道教本に出題される問題と答えが全て記載されているため、その内容を理解して暗記すれば合格できます。
弓道教本は全四巻。級位のうちは第一巻だけでも十分とされています。
とはいえ実は第一巻だけでも全てを把握するのは難しいレベルの内容。
しっかり予習をしておくことが重要になります。
【弓道】段位と称号
弓道では級位のうちは飛び級も可能ですが、段位になると一つずつ昇段していく必要があります。
一方で級位を全て飛ばして段位から挑戦することも可能。
そして剣道や柔道のように、一つの段位を認められてから数年間の修行を積まなければ次の段に挑戦できないという決まりもありません。
段位に求められるレベル
級位と同じように、段位も全日本弓道連盟の審査規定で定められたレベルをクリアすれば認められることになります。
初段 | 射型・体配共に適って、矢所の乱れぬ程度に達した者 |
弐段 | 射型・体配共に整い、射術の運用に気力充実し、矢所の乱れぬ者 |
参段 | 射形定まり、体配落ち着き、気息整って、射術の運用法に従い、 矢飛び直く、的中やや確実な者 |
四段 | 射形定まり、体配落ち着き、気息正しく、射術の運用法に適い、 離れ鋭く、的中確実の域に達した者 |
五段 | 射形・射術・体配共に法に適って射品現われ、精励の功特に認められる者 |
六段 | 射形・射術・体配共に優秀にして射品高く、精錬の功顕著な者 |
七段 | 射形・射術・体配自から備わり、射品高く、練達の域に達した者 |
八段 | 技能円熟、射品高雅、射芸の妙を体得した者 |
九段 | 弓道の真体に透徹した者 |
十段 | 明確な定義は無く、推薦と話し合いによって与えられる称号 |
やはり素人には難しく曖昧に見える表現となっていますが、審査員にとってはかなりはっきりとした基準。
審査会ではこの基準に従って合否が判定されます。
合格率
段位ともなると合格率はかなり低いのではないかと思われがちですが、実は初段や弐段(二段)はそれほど難易度が高いものではありません。
というのも例えば初段の場合、合格基準は「射型・体配共に適って、矢所の乱れぬ程度に達した者」となっているから。
週1、2回の練習を1年ほど行えば、正しい所作は身につくはず。
あとは矢があちこちバラバラに飛ばない限り、ほとんど合格できるのです。
これは弐段でもほぼ同じです。
難しくなるのは参段(三段)から。
「的中やや確実な者」という基準が加わるため、命中させる必要が出てきます。
そのため命中させることに集中しすぎて動作がおろそかになってしまうことが多く、合格率は会場によって10%から30%に低下。
そして四段は10%以下、五段は数%程度と合格率は下がっていくのです。
一般的には五段に到達するためにかかる期間は10年以上。
しかし5年もかからず学生のうちに到達できる人もいるのが、他の武道にはない弓道の特徴です。
称号
弓道には級位や段位とは別に称号というものもあります。
称号は下から順に、錬士、教士、範士の3段階。
称号は五段以上の段位を持っている弓道の指導者が審査を受けるか、推薦されて得ることができます。
錬士の審査では行射試験、学科試験に加えて面接試験を実施。
教士の審査では行射試験のほか、面接試験と論文試験が行われます。
範士は審議会の選考のみ。
これは九段と十段も同じで、選考基準はかなり厳しいものとなります。
令和4年3月31日の時点で、錬士は全国に4598名、教士は1928名で、範士はわずか64名しかいないのです。
まとめ
全日本弓道連盟の発表によると、令和3年度の初段合格者は1万8456人。
弐段は7966人です。
これに対して範士の合格者は、わずか1名。
九段の合格者も1名で、十段の合格者はなんと0名です。
弓道でも最高位はまさに雲の上の世界だといえます。
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