凛とした所作も美しい弓道。
多くの人が憧れる武道ですが、実は弓道にはうれしい特徴があります。
それは数ある武道の中でも特にルールが単純だということ。
基本動作を身につけるのは簡単なことではありませんが、競技のルールに戸惑うことはほとんどないはずです。
ここでは、弓道のルールや基本的な動作、弓道着の着用方法をご紹介します。
弓道入門の参考に、ぜひご一読ください。
【弓道】ルール 基本
弓道は的に矢を当てる武道。
個人戦と団体戦があり、競技には的までの距離別に近的競技と遠的競技があります。
的の距離と大きさ
的までの距離は、最も一般的な近的競技では28m。
的の直径は36cmです。
遠的競技の距離は60mで、的の直径は100cmとなります。
競技方法
一般的な弓道の近的競技は「的中制」で行われます。
これは的のどこに的中してもよいというルール。
アーチェリーと比べて精度が低い弓道は、的に当て続けるだけでも大変なことなのです。
勝敗や順位は的中した数によって決まります。
一方、実業団の大会などで行われる遠的競技は、主に5色の輪に塗り分けられた色的を使い、当たった色で点数が決まる「得点制」。
こちらは総得点で勝敗や順位が決まります。
また「採点制」で行われる大会もあります。
これは的中した数に加えて、審査員が射形、射品、態度なども採点する方式。
その総合点で勝敗や順位が決まります。
的中のルール
「あたり」と「はずれ」の判定は、矢が的の面を射抜き、的の枠内にとどまっていれば「あたり」、そうでなければ「はずれ」となります。
つまり明らかに的を貫いても、その後に跳ね返って落ちたら「はずれ」です。
4射して全て当たることを「皆中(かいちゅう)」、1本も当たらないことを「残念」と表現します。
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【弓道】ルール 基本動作
弓に矢をつがえてから射るまでの一連の動作を弓道では射法と呼びます。
流派によりさまざまなスタイルがありますが、全日本弓道連盟が制定している「射法八節」は以下の流れになります。
①足踏み:的に向かって足を踏み開く
②胴造り:腰を据えて上半身を構える
③弓構え:弦をゆがけ(手袋)にかけて弦と矢を保持し、弓を握り、的を見る。
④打起し:弓矢を持った両拳を上にあげる
⑤引分け:弓を押して弦を引きながら両拳を下ろす
⑥会:引分けが完成し、弦を引き切った状態になる
⑦離れ:弦を離し、矢を射る
⑧残心:離れによって矢が放たれた姿勢を保つ
武道である弓道では、的に当たること以上に、この8つの動作のすべてが正しく行われることが重要です。
【弓道】ルール 競技の流れ
弓道の競技大会に出るためには、射法八節を身につけていなければなりません。
それは弓道では射るタイミングが射法八節に則って決められているからです。
個人戦の競技の流れ
基本となる個人戦は、3人立(3人1組)または5人立(5人1組)で行われるのが一般的。
並び順に1番の射手から順に矢を引いていきますが、その手順は5人立の場合、このようになります。
・1番が射る
・2番は1番の胴造りが終わる頃に立ち、1番の弦音(射る音)で打起し、射る
・3番は1番の打起しで立ち、2番の弦音で打起し、射る
・4番は2番の打起しで立ち、3番の弦音で打起し、射る
・5番は3番の打起しで立ち、4番の弦音で打起し、射る
・1番は3番の弦音で準備、4番の弦音で立ち、5番の弦音で打起し、射る
(以下続く)
途中で矢を落としたときは失敗となり、その矢は無効になります。
タイミングがかなりシビアに思えて焦りそうですが、普段の練習で射法八節を身につけていれば難しいものではありません。
一般的な大会では合計20射して、命中本数を競います。
団体戦
団体戦は一般的に5人1組のチームで行います。
個人戦の5人立と同じ流れとなり、的中制では合計の的中数、得点制では合計得点で競います。
この5人の並びは以下のような呼び名。
1=大前
2=2番
3=中
4=落ち前
5=落ち
大前はチームのリズムを作る役割、落ちは勝敗が決まるプレッシャーがかかった状況になりやすいなど、順番はかなり重要。
また団体競技には制限時間がある場合が多く、時間を超えるとそれ以降は無効となります。
5人がリズム良く射る練習も必要です。
反則
弓道では反則の数はとても少なく、まとめると以下のようなものになります。
・途中で矢を落とす
・順番を間違える
・審判の注意を聞かず、決められた位置から離れた場所で射る
・他の射手を妨害したり、迷惑をかけたりする
・審判に従わない
・怒号や暴力行為
矢を落とすという技術的な失敗以外は、マナーがしっかりしていれば起こるはずがない反則ばかりだと言えます。
【弓道】弓道着の着用方法
弓道を始めるとき、最初に困る人の多いのが、弓道着一式の着用方法。
たいていは師匠や先輩が教えてくれますが、いきなり家で着ようとする難しいかもしれません。
弓道着を着るときに重要なのは順番です。
最初は、足袋を履きます。
それは弓道着を身につけた後にかがんで足袋を履こうとすると、着付けが崩れてしまうからです。
次は上着。
紐がついていますので、右側を中、左側を外で結びますが、きつく縛らず、ゆとりをもって結んでください。
その次は帯。
右から左に巻く関東巻きと左から右に巻く関西巻きがありますが、どちらも間違いではありません。
締め上げる必要はなく、緩まない程度に巻いて結び目だけをしっかり締めるのがコツ。
結び方には一文字、神田結びなどさまざまな種類があります。
最後は袴。
袴は男性用と女性用で形が違います。
紐の締め加減や位置を間違えると呼吸がうまくできなくなるため、紐を締める高さと強さに注意。
それ以前に袴が長すぎると裾を引きずることになってしまうため、ジャストサイズを選ぶことがコツです。
まとめ
弓道の競技ルールが単純なのは、他の多くの武道とは違って他人と直接競わないから。
主なルールは他の射手の邪魔をしないことだけで、究極的には自分自身との戦いになります。
弓道が持つそのストイックさと静謐さが多くの人を惹きつけるのかもしれません。
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