野球のバッターが行うバントの中には、大きく分けると送りバントとセーフティバントがあります。
この2つのバントの違いは何でしょうか。
今回は、野球のセーフティバントについて徹底調査。
セーフティバントの正しいやり方や8つのコツをご紹介します。
【セーフティバント】定義
セーフティバントとはどのようなバントなのでしょうか?
まずバントは、打者がバットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートすることです。
その中で送りバントは、バッター自身はアウトになることを前提にして、1塁や2塁にいるランナーを進塁させるためのバント。同じように打者自身はアウトになることを前提にして、3塁にいるランナーを生還させるものはスクイズバントと言います。
これに対してセーフティバントは、自分自身がアウトにならずに1塁に出塁することを目的としているバント。
送りバントは1塁か2塁にランナーがいる状況、スクイズバントは3塁にランナーがいる状況でしか行いませんが、セーフティバントはランナーがいない状況で行うこともあります。
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記録上の違い
送りバントとセーフティバントで大きく違うのが、バッターの記録です。
送りバントは失敗するとただの内野ゴロですが、成功すると「犠打」と認定されて打席数は増えません。
これに対してセーフティバントは、打者自身が出塁することが目的ですから、成功でも失敗でも記録として打席数は1つ増えます。
送りバントとの見分け方
では、送りバントとセーフティバントはどう見分ければ良いのでしょうか?
実ははっきりと見分けるポイントがあるわけではありません。
そもそも送りバントの定義は「自分自身がアウトになることを前提として」いるもので、セーフティバントの定義は「1塁に出塁することを目的として」いるもの。
「〜のつもり」というニュアンスが入るため、例えばランナー2塁の場面でセーフティバントを行ったとしたら他人には見分けがつかないことになります。
そのため実況が「セーフティ気味のバントです」や「結果として送りバントになりました」などと表現することがあるのです。
記録上も本人はセーフティのつもりだったとしても結果として送りバントになったのなら、犠打になります。
【セーフティバント】やり方とコツ
セーフティバントを成功させるポイントは、なんといっても守備側の選手にバントだと気づかせないこと。
そのためのコツがいくつもあります。
フォーム
相手に気づかせないために、まずはフォームに工夫が必要。
できるだけ長くヒッティングのフォームを維持してからいきなりバントをしなければなりません。
そのためのコツ①は、ヒッティングするときと同じように足を動かしながら、バットを前に出してバントすること。
そして送りバントならゆっくり落ち着いて行いますが、セーフティではミートの瞬間には前傾姿勢になって走り出していることも重要です。
狙いどころ
セーフティバントはどこに転がすかが非常に重要。
ピッチャーやキャッチャーに捕られる位置ではアウトになる確率が高くなります。
コツ②はこの狙いどころ。
ずばり3塁線ギリギリを狙ってダッシュが遅れた3塁手に捕らせるのがベストです。
右バッターで3塁線に打つのが苦手な場合や3塁手の守備力が高い場合、1塁線ギリギリに打ってベースカバーの遅れを狙う方法や、プッシュバントで内野手の間を抜く方法もあります。
ミートのコツ
バントと同時にダッシュするためにはミートの瞬間には前傾姿勢になっている必要があります。
しかしこれは体勢が崩れているということ。
そこで右バッターの場合は右手で、左バッターの場合は左手でボールをキャッチするイメージでバットを出すのが、コツその③です。
こうすれば走り出して目線がぶれていてもミートしやすくなるはず。
そしてコツ④は、ミートの瞬間にはなるべくバッターボックスの前にいるようにすること。
こうすればフェアゾーンをより広く使うことができます。
相手の確認
打ち方を解説したところで時系列は戻りますが、セーフティバントでは打つ前の準備がとても大切になります。
コツ⑤は、相手の守備位置の確認をすること。
3塁手が前進守備でホームベースに近いようなら、セーフティバントはまず不可能になります。
コツ⑥は、相手の能力やクセを調べておくこと。
例えば投球の後に体が流れるピッチャーなら守備がワンテンポ遅れる傾向があります。
また3塁手や1塁手のダッシュが遅い場合もチャンス。
試合前のノックや投球練習をよく観察して、セーフティバントができそうな相手かを判断するようにしてください。
警戒されない場面を選ぶ
相手がバントを予測していたらセーフティバントはまず成功しません。
その逆がコツ⑦で、相手が警戒しにくい場面を選ぶことが重要です。
例えば2ストライクに追い込まれたとき。
スリーバント失敗の危険性はありますが、それだけ相手の警戒は薄れます。
ノーアウトかワンアウトでランナー2塁の場面も有効。
3塁手は2塁ランナーの盗塁も警戒しなければならないため、バッターへの注意が薄れやすくなるのです。
警戒されない場面を作る
警戒されない場面を選ぶだけでなく、自分から警戒されない場面を作ることも重要です。
つまりコツ⑧は、相手を騙すということ。
例えばバッターボックスに入る前にはバットを何度も振って、打つ気満々に見せるようにします。特に右打ちを狙っているかのようなスイングをすると、サードが油断しやすくなるはず。
そして最初のボールをわざと空振りするという方法もあります。
こうすることで「やはり打ちにきている」と相手に思い込ませるのです。
まとめ
セーフティバントを成功させるには、走り出しながらバントする技術や、セーフになる位置に正確に転がす技術、相手の虚をつく技術が必要となります。
しかもこれは基本的なバントがかなり上手くできなければ難しいこと。
それだけに成功すれば相手へのダメージは大きく、敵からも味方からも一目置かれることになるはずです。
足の速さとバント技術に自信がある方は、今回ご紹介したコツを駆使して、ぜひ見事なセーフティバントを決めてください。
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