プロ野球や高校野球の試合を観戦していると、監督やコーチ、選手が腕や体を触り、複雑な動きをしている姿をよく目にします。
これはサインと呼ばれる合図が出ていることを意味しており、現代野球では欠かせない作戦のひとつです。
この記事では、野球におけるサインの仕組みや種類について詳しく解説します。
野球におけるサインの仕組みは?
野球の試合で常に使用されるサインは、ベンチから選手へ、あるいは選手同士で、チームの戦術を伝えるための仕組みを意味します。
野球ファンならよくご存知のとおり、野球の試合では攻撃中にバントや盗塁、またヒットエンドランなど、様々な作戦があります。こうしたそれぞれの作戦を、ベンチから選手にサインという仕組みを使って伝達するのです。
このサインは、当然ながら相手チームに見抜かれては意味がありません。作戦が相手チームにわかってしまうと、その作戦は失敗する可能性が高くなります。
例えば、サインを出さずにベンチから大声で「次はヒットエンドランだ!」などと叫んでしまうと、相手は簡単に対策が取れてしまいます。
そこで、サインを活用し、味方の選手にだけわかるチームの作戦を伝えるのです。
野球におけるサインの分類
野球の試合では、常にサインが飛び交っています。
そして、野球のサインは次に挙げる3つに分類されます。
・攻撃のサイン
・守備のサイン
・投球のサイン
それぞれのサインについて解説します。
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攻撃のサイン
攻撃チームは、打者や走者に対してサインを出します。
細かい違いとしては、高校野球などのアマチュア野球では監督が、そしてプロ野球ではサードコーチが選手に伝えることが一般的です。
主なサインは以下の場面で出されます。
・打て
・待て
・バント
・ヒットエンドラン
・バスター
・スクイズ
・セーフティーバント
・進塁打
・盗塁
上に挙げただけでもかなりの数になりますが、他にもたくさんあります。チームやレベルにもよりますが、さらに複雑なサインを指示する場合もあります。
守備のサイン
守備の場合も様々なサインが存在しますが、攻撃よりも守備の方が複雑ともいえます。大きく分けると次の2種類となります。
・牽制の指示(ショートやセカンドがピッチャーへ)
・守備位置の指示(キャッチャーから各野手へ)
観戦しているファンにもイメージしやすいのは、バントシフトの指示です。
相手がバントすることが容易に想定される場合、ファーストが前に突っ込むのか、サードが突進するのか、二塁手や遊撃手、捕手の動きと合わせて指示が出されます。
守備のサインミスは失点につながる可能性が高いので、間違いのないようにしっかりと伝達する必要があります。
また、守備位置のサインは難易度も高いので、少年野球や中学野球レベルの試合では、ベンチから直接声をかけで指示することも多いです。
投球のサイン
ピッチャーの投球は、一球ごとに出されるキャッチャーからのサインで成り立っています。
こちらは野球ファンもTVなどで常に確認できますね。
投球サインは、プロ野球レベルになると次のような細かいレベルで指示されます。
・コース(インコース/アウトコース)
・高さ
・球種
・走者への牽制球
サインの種類と出し方
ここからは、サインの分類を受けて実際に出されるサインの種類と出し方について解説します。
主なサインの種類は次の3つがあります。
・フラッシュサイン
・ブロックサイン
・投球サイン
サインの意味を理解できると、監督やコーチのな複雑な動きの理由が理解できます。
フラッシュサイン
フラッシュサインは、主に少年野球や中学野球などで用いられるシンプルなサインで、現在では高校野球やプロ野球では使われません。
フラッシュサインは、ある動作に対して1つのプレーが連動しています。
フラッシュサインの具体例を挙げると、次のようになります。
・帽子のツバを触ったらバント
・胸に手を当てたら待て
・右肘を触れば盗塁
このように、シンプルなサインなので、見落とす可能性が低く、自軍の選手に伝わりやすいのがメリットです。
その反面、相手チームにも見破られやすいというデメリットがあります。
ブロックサイン
ブロックサインは、フラッシュサインを複雑化したものです。
フラッシュサインの中に 「ダミー」の動きが入ることで、相手に解読される可能性が低くなります。
ブロックサインを出すポイントは次のとおりです。プロ野球を観戦している際に見かける複雑な動きは、全てこのサインです。
・キーとなる動きをひとつ決める
・キーの後の●番目がサインと決める
・ダミーの動きを交えて選手に伝える
ブロックサインの基本的な使い方の例をみていきましょう。たとえば、あるチームのブロックサインが次のように決められていたとします。
・キー:鼻
・耳をさわる→バント
・口をさわる→ヒットエンドラン
・サインの発動条件 :キーの後にさわった場所
上記の場合、以下の3つのケースでは、それぞれ次の作戦が選手に伝えられます。
ケース1:帽子→鼻→耳→胸、の順番で体に触れた場合は「バント」
ケース2:耳→口→鼻→口、の順番で体に触れた場合は「ヒットエンドラン」
ケース3:帽子→口→耳→帽子、の順番で振れた場合は「何もなし」
なお、サインを受けた選手は、必ず返事をする必要があります。例えば、了解しましたという意味で、帽子やヘルメットのツバ、ベルトにさわるなどして、意思を表示します。
投球サイン
投球サインは、基本的にはキャッチャーがピッチャーに対して指や腕で指示することで出します。指の本数や、腕の触る位置で球種やコースを指定します。
投球サインの出し方は前述のおりですが、
・サインはピッチャーごとに全く別々
・同じ投手に対しても、試合途中でサインのパターンを変える
など、特に 野球の最高峰であるプロ野球の試合では、想像以上に複雑な投球サインがあるようです。これは、相手の打者にサインを盗まれないよう警戒している証拠でもあります。
まとめ
野球におけるサインの仕組みや種類について詳しく解説しました。
みてきたように、野球のレベルが上がるほどサインも複雑になります。サインが複雑になることで、試合時間が延びるといった問題点も指摘されており、プロ野球では時間短縮のために様々な試みも行われています。
こうした状況を踏まえた上で、サインの種類や出し方が理解できると、ファンとしては野球観戦がさらに楽しくなることでしょう。
また、実際に野球をしている小中学生の選手などは、サインについて詳しく学ぶことで、実際の試合にも活かせると思います。
是非、この記事を参考にして、野球のプレーや観戦に役立てていただきたいものです。
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