ヒルクライムで使用されるロードバイクは、一般の自転車に比べて坂道を走る際に強い自転車ですが、モデルや機能によって性能には大きな違いがあります。
この記事では、今回はヒルクライム用ロードバイクの選ぶポイントと注意点について詳しく解説します。
ヒルクライムとは
ヒルクライム(hill climb)とは、ロードバイクなど、スポーツタイプの自転車を使用して、主に峠や山道などの坂道を登ることを指します。
ヒルクライムコースとして予(あらかじ)め設定されているような専門の道(ロード)はもちろんですが、普通の山道や峠でも、その坂道を登ればヒルクライムとなります。
ヒルクライムの自転車競技レースやサイクルイベントは全国各地で数多く開催されているので、ヒルクライムを楽しむ人(サイクリスト・クライマー)にとっては、非常に恵まれた状況にあります。
ヒルクライムの魅力
ヒルクライムの最大の魅力としては、何といっても山を登り切ったときの達成感と爽快感が挙げられます。
登坂の途中で、苦しいからもう離脱してしまおうかと考える瞬間も多々あります。それでも自分と戦ってバイクを漕ぎ続け、目的地に到着した際に得られる達成感と爽快感は、ヒルクライムでしか味わえない感覚です。
また、ヒルクライムでは山道を登るため、豊かな自然と対峙する中で、道中や頂上で眺める美しい景色も魅力のひとつです。
走りながら市街地を一望したり、頭上に広がる雲海を眺(なが)めたり、目の前に突然大きな山が現れたりなど、経験者にしか味わえない絶景を堪能できます。
圧巻の自然の雄大さを肌で感じられるヒルクライムは、心身ともにリフレッシュできる効果もあり、大きな魅力となっています。
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ヒルクライムでロードバイクを選ぶポイントと注意点
ロードバイクを使ったロードレースで重要なポイントとなるのが、山岳区間のヒルクライムです。
昨年開催された2020東京オリンピックでも、獲得標高4,800m以上の過酷な峠道がレースの結果を大きく左右しました。
ロードバイクは、ほかの種類の自転車に比べると坂道に強い自転車ですが、実際にはロードバイクの選び方次第で、ヒルクライムに強いサイクリストとして活動できるかどうかが変わってきます。
坂道をより速く走りたい人や、坂道を登る際に機材の力を最大限利用したい人も、以下に解説するロードバイクを選ぶポイントと注意点をよく確認し、自分に合った最適のバイクを選んでいただきたいものです。
ロードバイクを選ぶポイント①トータルでの予算配分
ヒルクライムに挑むサイクリストは、体力面での負担軽減を目的として、ロードバイクを少しでも軽くしたいと考えます。
ロードバイクを購入する際、完成車の状態でヒルクライムに挑む方が多い状況ですが、「軽さ」を手に入れるために、その投資をバイク購入時に併せて行うか、購入後に色々とパーツなどを検討しながら追加投資を続けていくか、選択と予算配分に目を向ける必要があります。
自分の予算に応じてバイクを選ぶ際には、購入後のカスタムにかかる費用を抑えるために、最初からグレードが高い、各種パーツを備えたものを選ぶか、まずはフレームだけを重視して選ぶ方法に大別されます。
ここでのポイントは、>後から軽い素材に交換するのは手間がかかる上に、費用も嵩(かさ)む場合が多いので、可能であれば。
ロードバイクを選ぶポイント②フレームの性能の高さ
峠や山道などの坂道を登るヒルクライムは、重力に逆らって上へ上へと登るため、それに使用されるロードバイクは単純に重量だけで比較すると、当然ながら軽いほうがスピードも速く、負荷も少ないのは当然です。
そのため、なるべく軽いロードバイクを選んでおきたいところですが、必ずしも「ただ軽ければいい」という訳でもありません。
軽さと同様に重要なのが、人がバイクを漕(こ)ぐ力を推進力に変換できるフレーム性能の高さ(ボトムブラケット周辺の剛性)です。
フレーム性能の高さは推進力を高め、登りの速さや負担軽減に大きな影響を与えます。
ロードバイクを選ぶポイント③変速機は11段変速以上
様々な走りの局面や場面に合わせて、ロードバイクをスムーズに運転できるようサポートする機能(変速機)は、L11段変速を選択するのがベストです。
ヒルクライムでは、長時間にわたてロードバイクを運転する必要があり、変速機を活用することで走りの快適さが高まります。初心者の方でも、快適走行のためには、なるべく変速機のグレードは落とさず、ベストなものを選ぶことが重要です。
11段変速の機種は、素材も剛性が高くなるため、ヒルクライムで最大の力を込めてバイクを漕(こ)ぐ際にもパワーロスを最小限にすることが可能です。
バイクの将来的なアップグレードを考えた場合でも、11速以上がおすすめとなります。
ロードバイクを選ぶポイント④登坂に適したギアを搭載
ヒルクライムに適したロードバイクとは何かを考えたとき、上述した変速段階機能に加え、バイクにどこまで軽いギアが付属しているかも大きな検討のポイントとなります。
具体的には、フロントのクランクとしては50-34T(コンパクトドライブ)と呼ばれる、一般人の脚力に最適化された軽めのギアタイプを選択すると効果的です。
ロードバイクを選ぶポイント⑤下りでのブレーキ性能
ヒルクライムでは、当然ながら、上った分と同じだけ下り坂を走って戻る必要があります。
下り坂は、体力勝負の上り坂とは逆に、体力を使わなくても自然と速度が上がっていくため、万一の事故などを防ぐ意味でも、ブレーキ性能は非常に重要です。
ここ数年の傾向として、油圧ディスクブレーキを搭載したバイクのモデルが主流になっています。このモデルは、最小の力でもしっかりブレーキが効くため、長い下り坂でも疲れにくいメリットがあります。
下りでのブレーキ使用について、技術的にはブレーキングや車体コントロールに慣れていないと、すぐには制御不能な速度域に達してしまう危険性があります。
下り坂のコーナーで滑ってしまったり、気持ちが焦ってまっすぐにしか走れなくなり、最悪ガードレールに激突して大事故につながった事例も多くあります。
油圧ディスクブレーキを搭載したモデルは、レバーのタッチが軽く、少ない力でブレーキ操作が可能となるため、長い下り坂も、初心者でも安心して対応できます。
従来のリムブレーキ(ホイールのリムを挟んで止めるタイプ)と比較しても、雨による制動力が落ちにくかったり、ホイールシャフトも太くなることで剛性が高まったりと、下り走行の安定感につながる多くのメリットがあります。
ロードバイクを選ぶポイント⑥上り坂に適したアップライト
ヒルクライムの醍醐味は何と言っても上り坂での走行ですが、その際にバイクの漕(こ)ぎやすさを重視するには、上体を起こした形で走行できるアップライトを取り入れたロードバイクがおすすめです。
通常のロードバイクは地面に対して平行な形状に作られているものが大勢ですが、ヒルクライムでは坂道を前傾姿勢で長時間走るため、アップライト構造でないと酸素を取り込みづらく、体力を消耗してしまいます。
酸素を取り込み、負担の少ない体勢で坂を登れるアップライトを採用しているかどうかは、ヒルクライムを効率よく楽しむ上で重要なポイントです。
ロードバイクを選ぶポイント⑦コンポーネントは105以上
コンポーネントとは、ロードバイク用に提供されるフレームやタイヤ、ハンドルやフォーク、サドルといった多岐にわたるパーツをまとめた概念です。そして、コンポーネントは105以上を目安に選ぶことがポイントとなります。
国内で有名なブランドメーカー製のコンポーネントは、そのグレードを数値で示しており、105以上であればパワーのロスが発生しづらく、また軽い車体を選択できる指標としています。
具体的に挙げると、「アルテグラ」と呼ばれるコンポーネントはコスパが高く、評価されています。
ロードバイクを選ぶポイント⑧ホイール性能の違い
ヒルクライムに取り組むためには、さらなる軽量化のために、ロードバイクのホイールをグレードアップするのもポイントとなります。
完成車の中でも軽量なアルミを使った製品や、カーボンリムを使ったホイールを装着している製品があります。こうした点についても考慮の必要があります。
まとめ
ヒルクライムで使用されるロードバイクを選定するポイントや注意点について詳しく解説しました。
峠や山道などの坂道を颯爽(さっそう)と登り、大自然と融和しながら楽しむスポーツであるヒルクライムですが、最も大切な要素は、自分の相棒であり、伴侶ともなるロードバイクの総合的な機能です。
この記事を読んで、ロードバイクの様々な機能を分析・検討し、ベストなバイクを選定した上て、ヒルクライムを最大限に楽しんでいただきたいものです。
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