剣道や書道、そろばんなどと同じように、将棋にも「段」があります。
これは将棋の実力を表すものですが、いったい誰がどのような基準で認定しているのでしょうか。
そして私たちも試験を受ければ段位を取れるものなのでしょうか。
今回は、将棋の段位について徹底調査しました。
【将棋】段位とは
将棋の段位と級位は実は単純ではありません。
まず、日本将棋連盟が認定する段と級は棋士・女流棋士・アマチュアがあり、それぞれが違った体系で認定されています。
つまりアマ5段と棋士5段は同列ではないのです。
棋士の段級位
棋士の最高位は9段で、4段以上が正式な棋士となります。
3段以下は養成機関である奨励会。
一番下は6級で、例外的に7級もあります。
女流棋士の段級位
女流棋士の最高位は7段。
女流3級からあり、女流2級以上が正式な女流棋士となります。
アマチュアの段級位
日本将棋連盟公認のアマチュアの段級位は、6段が最高位で一番下は10級。
7段以上は特例として出ることがあり、過去には9段の免状が発行されたこともあります。
またアマチュアには非公認の段級も存在。
将棋道場や教室で認定されただけの段級や、ネット将棋での段級、ただ自称しているだけの段級もある程度はOKとされていて、自称4段や自称5段の方もたくさんいます。
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【将棋】棋士4段までの昇段
3種類の段級位の中で圧倒的に厳しいのは棋士。
プロの棋士を目指す子どもは、小学校高学年から中学生の時期に日本将棋連盟の「奨励会」に入会します。
奨励会とは棋士になるための養成リーグのようなもの。
誰でも入れるものではなく、試験でかなりの成績を上げることや、該当する大会でベスト4以上に入るなど、高いレベルが求められます。
この奨励会は、下は6級から上は3段まで。
ひとつひとつの対局を勝ち抜いて、昇級、昇段していきます。
リーグ戦は半年単位で行われていて、プロ棋士となる4段に昇級できるのは、最上位の3段リーグの上位2名だけ。
26歳までに4段になれなかったら、退会となってしまいます。
将棋のプロになるのは東大に入るより難しいと言われるほどの難関なのです。
【将棋】棋士4段以上の昇段条件
プロ棋士になった4段以上の昇段の方法は、大きく分けると5つあります。
公式戦勝ち数での昇段
公式戦で勝ちを重ねれば、その数によって昇段できます。
累積ではなく、その段位になってから規定数を勝てば昇段という条件。
しかも段位が上がるにつれて条件は厳しくなっていきます。
・4段昇段後、公式戦100勝すれば、5段へ
・5段昇段後、公式戦120勝すれば、6段へ
・6段昇段後、公式戦150勝すれば、7段へ
・7段昇段後、公式戦190勝すれば、8段へ
・8段昇段後、公式戦250勝すれば、9段へ
順位戦での昇段
プロ入りした棋士は順位戦C級2組からスタート。
順位戦で勝てばより上のクラスに昇級できます。
そして順位戦で昇級すると、合わせて昇段することができるのです。
・順位戦C級1組昇級 = 5段
・順位戦B級2組昇級 = 6段
・順位戦B級1組昇級 = 7段
・順位戦A級昇級 = 8段
竜王戦での昇段
竜王ランキング戦で昇級すれば、それに合わせて昇段することができます。
・竜王ランキング戦連続昇級 または通算3回優勝 = 5段
・5段昇段後、竜王ランキング戦連続昇級 または通算3回優勝 = 6段
・竜王ランキング戦2組昇級 = 6段
・6段昇段後、竜王ランキング戦連続昇級 または通算3回優勝 = 7段
・竜王ランキング戦1組昇級 = 7段
タイトル戦での昇段
7大タイトルに挑戦やタイトル獲得すれば昇段できるという制度もあります。
・タイトル挑戦 = 5段
・5段昇段後タイトル挑戦 = 6段
・竜王挑戦 = 7段
・タイトル1期獲得 = 7段
・竜王1期獲得 = 8段
・名人1期獲得 = 9段
・竜王2期獲得 = 9段
・タイトル3期獲得(かつ8段に昇段している) = 9段
棋戦優勝での昇段
7大タイトル戦ではありませんが、全棋士参加の棋戦で優勝すれば、最高7段まで昇段することができます。
この規定は2009年に追加されました。
全棋士参加棋戦優勝 = 5段
5段昇段後、全棋士参加棋戦優勝 = 6段
6段昇段後、全棋士参加棋戦優勝 = 7段
昇段の最短ルートは?
さまざまな条件がある昇段。
では最も早く一気に昇段する方法はどれでしょうか。
それは「竜王挑戦」です。
竜王戦の4組から6組に在籍している4段の棋士がもし竜王への挑戦権を獲得できれば、5段と6段を飛ばして一気に7段に昇段することができます。
そしてもし勝利して竜王位を奪取すれば、その時点で8段になれるのです。
もちろん簡単なことではありませんが、これが8段までの最短ルートとなります。
【将棋】女流棋士の昇段条件
女流棋士も女流順位戦やさまざまな大会で勝利することで段級位を上げていきます。
女流1級昇級後60勝や女流順位戦B級入り、女流名人リーグ入り、特定の大会でのベスト4以上の成績などで、女流初段に。
その後は以下のような条件で昇段していきます。
女流2段 | 女流初段昇段後70勝 女流順位戦A級入り タイトル挑戦 |
女流3段 | 女流2段昇段後100勝 タイトル1期 |
女流4段 | 女流3段昇段後130勝 タイトル3期 |
女流5段 | 女流4段昇段後160勝 タイトル7期 |
女流6段以上 | 抜群の成績と実績を理事会で審議の上、決定することがある |
この勝利数は、女流棋士の対局数が増えたことで2021年に増加したもの。
それまではそれぞれ10勝ずつ少ない条件で昇段できていました。
【将棋】アマチュア公認段位の昇段条件
アマチュアの段級位は、実はかなり曖昧です。
最も難しいのは大会の成績による認定。
日本将棋連盟が主催するアマチュア棋戦で一定の成績を収めると段位を認定されます。
例えば以下のような条件です。
・主要アマ棋戦で県代表 = 4段
・アマ竜王戦で県代表 = 5段
・主要アマ棋戦で全国優勝 = 6段
・アマ竜王戦で全国優勝 = 7段
・主要アマ棋戦で3回全国優勝(同一大会で) = 7段
・アマ竜王戦で3回全国優勝 = 8段
また棋士や指導棋士、女流棋士はアマチュアの段位を認定する権限を持っていて、将棋教室や指導対局で認定を受けることが可能。
また3段までなら将棋普及指導員の認定によっても取得できます。
さらに日本将棋連盟発行の月刊誌「将棋世界」や、インターネット・新聞などの認定問題を解いて認定を受けるという方法も。
最も手軽なのは、日本将棋連盟公認の「将棋倶楽部24」や「将棋ウォーズ」などの将棋対戦サイトやアプリでの取得。
難易度もアマ棋戦などと比べて格段に簡単と言われています。
まとめ
さまざまな種類があり、アマには公認と非公認まである段級位。
その中でも棋士の段位は別格にレベルが高いものとなっています。
年齢制限まであり、昇段していくのは至難の業。
挑戦するだけでも尊敬に値する世界なのです。
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