サッカーの用語で近年よく聞かれるようになったのが、「デュエル」です。
2017年ごろにハリルホジッチ監督が日本代表に対して「デュエルが重要」と話したことで注目度が高まったこの言葉、いったいどのような意味があるのでしょうか。
今回は、サッカーのデュエルを解説。
その意味やデュエル最強と言われる選手をご紹介します。
【サッカー】デュエルとは
デュエル(DUEL)はフランス語。
「2人」を意味するラテン語の「DUO」から変化した「DUELLUM」という単語が直接の語源で、これは「2人の戦い」「2人の決闘」などの意味を持っています。
つまりデュエルは「勝負」、「決闘」といった意味。
日本サッカー協会(JFA)では、「デュエルはルーズボールの競り合いだけでなく、1対1のボールの奪い合い、相手のボールを奪う、マイボールに相手が激しく来ても取られないフィジカルコンタクトの強さ」と解説しています。
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デュエルの具体例
「球際の攻防」とも訳されるデュエルは、敵同士1対1の状況、つまり選手2人が争っている場面を表します。
具体的には、例えば以下のような場面がデュエルです。
・1対1でボールを奪い合うとき
・体で押し合うフィジカルコンタクトでボールの競り合いをするとき
・自分と相手の間に入ってきたルーズボールの攻防をするとき
サッカーの能力に関する話題で「デュエル」というときには、上記のようなボールの奪い合いで勝つ能力の高さを指しています。
デュエルの重要性
このデュエルで競り勝てるかどうかは試合の勝敗にも直結する要素。
競り勝ってマイボールの時間と回数を増やせばシュートチャンスも増加しますが、デュエルに負けることが多いと相手にボールを奪われ、守備に回る局面ばかりになってしまいます。
現代のサッカーはボールをなるべくキープするボールポゼッションを重視しますが、ハリルホジッチ監督は「ボールポゼッションだけなら何の意味もない」と発言。いくらパス回しでボールをキープしても、肝心な場面でのデュエルに負けてしまっては勝てないと力説しました。
特に高い位置で相手のボールを奪って攻撃を仕掛けるためにはデュエルが重要。日本人は弱いと言われてきましたが、やはり絶対に伸ばしたい要素なのです。
デュエル数
各国のリーグの中で伝統的にデュエルを重視してきたのがドイツのブンデスリーガ。デュエルが成功した時の回数を記録し、シーズンで1位になるとデュエル王と称えられます。
ドイツリーグ連盟(DFL) によると、記録とされるデュエルの定義は、「両チームの異なる選手がフィジカルコンタクトの可能性がある状況において、自分/自分たちのボール保持のためにしようとするアクション」のこと。
ボールを保持している選手は奪われずにキープ、突破、味方へのパス、あるいはシュートに持ち込んだ場合に成功とされます。
逆にボールを持っていない選手なら、ボールを奪い取る、カットする、あるいは相手のパスやシュートアクションを不成立にした場合に勝ちとしてカウント。
ただしヘディングでの競り合いは別項目でカウントされているため、デュエル数には加えられないとしています。
【サッカー】デュエル最強の選手
では数多くのサッカー選手の中でデュエル王と呼ばれる選手、また記録には残っていなくてもデュエル最強と呼ばれる選手は誰なのでしょうか。
遠藤航
シュツットガルトに所属する日本代表ミッドフィルダーの遠藤航選手は、2020~2021シーズンにデュエル勝利数476を記録し、見事ブンデスリーガの1位に輝きました。さらには翌2021〜2022シーズンにも448回を記録して2年連続のデュエル王に。フィジカルが弱いと言われた日本人選手のイメージを一新しました。
そして2022年11月には自身のサッカー観を綴った著書を発表。そのタイトルもズバリ「DUEL(デュエル)」でした。
ブンデスリーガにはフィジカル的に遠藤選手より強く、速い選手も大勢います。
しかし遠藤選手は相手のチェックを受けながらも次のアクションを考えるインテリジェンスレベルの高さが特徴。さらに身体を巧みに使ってボールとの距離を適切に作り出す能力、相手とぶつかった後の勢いを次のプレーにつなげる技術に長けています。
そのため屈強な選手が多いドイツでデュエルキングとして君臨できるのです。
今野泰幸
「日本のトップ・オブ・センターバック」とも言われ、日本代表でも活躍した今野泰幸選手は、守備のデュエル最強と恐れられた選手。
高校2年生当時のスクワットの計測値206kgはその世代で全国トップ3に入るほどで、決して当たり負けすることがなかったという伝説を持っています。
攻撃側のボールを取りにきたときのパワーとしつこさが持ち味。ファウルにならずにボールを奪い切る上手さもありました。
エンゴロ・カンテ
プレミアリーグのチェルシーに所属するフランス代表のミッドフィルダー、カンテ選手は、「潰し屋」として知られるデュエル最強選手。
168cmと小柄な身体を巧みに使って相手のボールを奪取します。
一方、攻撃の場面では腕を上手に使って相手を寄せ付けないドリブルが得意。
攻守両方のデュエルで強いという特徴を持っています。
さらに「肺が15個ある」と言われるほどのスタミナの持ち主。長時間、広範囲でデュエルの強さを発揮できることから、対戦相手に恐れられています。
まとめ
ボールポゼッションに優れた強豪チームならそもそもデュエルの場面をあまり作らないということもあり、単純に回数だけでは語れないデュエルの能力。
しかし実際のデュエルの場面で勝てるかどうかは、チームの勝敗にも直結します。
サッカー選手ならフィジカルと判断力を磨いて、デュエルキングを目指したいものです。
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