サッカーを他のスポーツと比較するとき、よく話題に出るのが、「サッカー選手は痛がりすぎ問題」です。
特にラグビーが人気になって以降、なぜサッカー選手はあんなに簡単に転んで痛がるのかと疑問を持つ人が増えました。
その究極の行為が、シミュレーション。
相手に足をかけられたかのように転ぶなど、ファールされたフリをすることです。
今回は、サッカーのシミュレーションをご紹介。
暗い敵にはどういう反則なのか、どのようなパターンがあるのかなど、解説します。
【サッカー】シミュレーションとは
シミュレーションは、ファールを受けたふりをして、主審を騙そうとする行為です。
具定例
具体的にはシミュレーションとして以下のような行為がよく見られます。
・攻撃側選手が守備側選手の足に引っ掛けられたようにわざと転ぶ
・攻撃側選手が守備側選手の足に当たるようにわざと走るコースを変える
・守備側選手の手が触れただけなのに引っ張られたかのように転ぶ
・転んだ後、立ち上がるときに踏みつけられたふりをする
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行う理由
シミュレーションはプレーの中で嘘を見せること。
スポーツマンシップに反した行為ですが、なぜサッカーではシミュレーションのようなことを行うのでしょうか。
それは、決定的なチャンスを得られる可能性があるから。
相手のファールが認められればフリーキックやペナルティキックを獲得でき、その場所によっては高確率で1点が入ることになります。1点の重みが大きいサッカーでは、得られるものがあまりにも大きいため、ついシミュレーションを行なってしまうのです。
そしてそもそもサッカーには「マリーシア」という言葉があります。
これは「ずる賢さ」という意味のポルトガル語。
ブラジル発祥の言葉で、試合を狡猾に進めることを表しています。
例えば、相手のファールを誘うこと、審判に対してアピールすること、時間を稼ぐためにボールをキープすることもマリーシア。
これはサッカーで勝つためには必要な技術だと考えられています。
そしてシミュレーションはマリーシアの延長だと考えることも。海外ではシミュレーションを攻撃スキルのひとつととらえ、得意としている選手も少なくありません。
シミュレーション判定の難しさ
シミュレーションが行われるもう一つの理由は、判定が難しいから。
ジャッジを下す審判は不自然な動きだったかどうかを見破る必要があるのですが、これは非常に難しいのです。
特に判断を難しくしているのは、危険な接触から身を守るためにわざとジャンプして転倒する「エスケープ」という行為もあるため。
接触していないのに転倒するのは同じですが、怪我を防ぐために行ったのならシミュレーションではないと判断する必要があります。
またシミュレーションが上手な選手は、審判からどう見えているかも考えてプレーするため、どうしても騙し通せてしまうことがあるのです。
審判の着目点
シミュレーションかどうかの難しい判断をするため、審判は以下のような部分を見ています。
・攻撃側選手と守備側選手の間での接触はあったかどうか
・その接触は互いにフェアなプレー中に不可抗力で起こったかどうか
・攻撃側選手が些細な接触を利用して転倒したかどうか
・攻撃側選手が守備側選手と接触する状況を自分から作り出したかどうか
・攻撃側選手が守備側選手との接触を予想できたかどうか
・攻撃側選手が守備側選手の反則を誇張しているかどうか
・フリーキックやペナルティーキックを得るための行為であるかどうか
審判は状況を見てこれらを瞬時に判断しなければなりません。
【サッカー】シミュレーションの罰則
シミュレーションではないとして相手の反則が認められた場合、攻撃側はフリーキックやペナルティキックを与えられて大きなチャンスを得ることができます。
一方でシミュレーションであると判断された場合には、罰則があります。
罰則
審判にシミュレーションと判断されたると、警告としてイエローカードが出されます。
またあまりにもわざとらしいなど悪質な場合にはレッドカードが出されることも。
これは「反スポーツ的行為に対する罰則」です。
反スポーツ的行為は、スポーツマンシップに反していてアンフェアであるとされる行為。反スポーツ的行為には、他に「奇声を発して相手のプレーを邪魔する」「フィールドにマークをつける」「不要な動きをして相手のプレーを妨げる」などがあります。
世間の非難
イエローカードやレッドカードが出る以上に選手にとって痛手となるのは、世間の非難かもしれません。
基本的にシミュレーションはスポーツマンシップに反した忌むべき行為。審判を欺けたとしてもその後にシミュレーションが発覚した場合、世間からは白い目で見られ、ダーティーなイメージがつくことがよくあります。
VARで減少
近年、プロのリーグや国際的な大会ではシミュレーションは減っています。
その理由は、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入。
審判をうまく騙してPKの判定を得たとしても、主審がVARをチェックして発覚すればその判定は訂正されます。
リアルタイムで審判を騙せてもVARを騙すのはほぼ不可能。
VARの導入でシミュレーションを行うことの危険性が増え、メリットがほとんどなくなっているのです。
まとめ
1点が遠い試合でなんとしても得点したいとき、選手はついシミュレーションを行いがち。VAR導入で発覚する可能性が高まっても、これまでの習性でついわざと転んでしまう行為は完全には無くなっていません。
しかし今後全てのプレーがハイテクで監視されるのが当たり前になれば、反スポーツ的行為は自然に消えていくかも。
いつか「昔はシミュレーションっていう反則があったんだよね」と話せるようになるかもしれません。
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