リベロはバレーボールの選手の中でも特殊なポジション。
チームで1人だけユニフォームが違うことからも、リベロが特別であることが分かります。
最近のバレーボールをよく知らない人は戸惑うことも多いリベロというポジション。
いったいどのような役割を担っているのでしょうか。
今回は、バレーボールのリベロをご紹介。
その役割と必要な能力、またリベロ不要論についても解説します。
【バレーボール】リベロとは
リベロというと、サッカーのポジションにもある名前。
そもそもどういう意味で、バレーボールではどのような意味を持つのでしょうか?
言葉の意味
リベロは、イタリア語で「自由」という意味の言葉。
しかしサッカーのリベロが「コート内で自由にプレーする」というニュアンスであるのに対して、バレーボールのリベロはプレーに関してはかなり不自由なポジションです。
バレーボールのリベロ
バレーボールのリベロは何が自由なのかというと、それは「交代」。
バレーボールのメンバーチェンジは審判に申告し、主審が認めることで可能になります。そしてその回数は1セットに6回まで。
しかしリベロに関しては審判の指示なしに何回でも交代できることになっています。
【バレーボール】リベロの役割
バレーボールにリベロという制度が登場したのは1997年。
バレーボールワールドグランドチャンピオンズカップで試験的に導入され、その後1998年に正式な国際ルールとして導入されました。
では交代自由なリベロの役割とは、どのようなものなのでしょうか。
レシーブ
交代は自由ですが、リベロは後衛でレシーブだけをするポジション。
後衛の選手とだけ交代して入ることができ、攻撃はできないという、完全に守備に特化したポジションです。
なぜこのようなポジションが必要なのでしょう?
それはバレーボールで最も重要なプレーがレシーブだから。
相手のサーブやアタックをうまく拾えなければ失点してしまうのはもちろんですが、セッターにチャンスボールを返すことができなければ攻撃を始めることもできません。
レシーブがうまくできないと、チームは屋台骨から崩れることに。
逆に優秀なリベロがいれば、チームの総合力が大きくアップするのです。
またレシーブをリベロに任せることで、スパイカーやセッターは自らの仕事に専念することができます。
そのため守備専門に投入されるリベロはとても広い範囲を守るのです。
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伝令
バレーボールでは選手のメンバー交代は1セットに6回。しかも交代してベンチに戻った選手は、一度だけ元のポジションに復帰できると決まっています。
しかしリベロだけはいつでも、そして何度でも交代してコートを出入りできるため、監督やコーチの指示をチームに伝える伝令の役割も担います。
第2の司令塔
バレーボールでは、セッターが司令塔を務めます。
それはセッターのトスワークでスパイカーなど他の選手の特性を生かし、多彩な攻撃を生み出すから。
一方でリベロは基本的にアタックラインの後ろのバックゾーンからコート全体を見渡すことができるポジションです。
そのためコート内の選手に指示を出すことができ、第二の司令塔といわれます。
ラリー中にはチーム内のポジショニングに関して指令を出すのもリベロの役割。
特に自らが守備の専門家であるリベロは相手の攻撃パターンのデータを事前に予習しておき、レシーブやブロックの位置など、ディフェンスに関する指示を積極的に行います。
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【バレーボール】リベロに関するルール
特殊な役割となるリベロ。それだけにリベロには特別に定められたルール(制限)があります。
守備専門ということで後衛の選手と何度でも交代できる特権があるため、代わりに攻撃とその補助は禁止とされているのです。
具体的にはどのような動作が反則となるのでしょうか。
スパイク
リベロは①スパイクを打つのは禁止。
厳密には「ボール全体がネット上端より高い位置にあるときは、アタックヒットができない」とされています。
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サーブ
リベロはレシーブ専門。当然ながらサーブはできません。
ブロック
リベロはブロックも禁止。
実際に手に当たるかどうかに関わらず、ブロックに参加することも禁止されています。
オーバーハンドでのトス
リベロがオーバーハンドのパスをすること自体は禁止されていません。しかし④オーバーハンドでのトスはバック限定となっています。
リフロントゾーンでオーバーハンドのパスをすることはOK。
しかしリベロが上げたボールを別の選手がネット上端より高い位置でスパイクを打つと、これも反則になります。
ただしバックゾーンからならトスもOK。そのためリベロはバックゾーンから前方にジャンプしながらトスをすることがよくあります。
またアンダーハンドでのトスはどこからでもOK。
つまり攻撃の補助に関しては、セッターのようにフロントゾーンでオーバーハンドトスをすることのみが反則とされます。
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【バレーボール】リベロに必要な能力
レシーブ専門のポジションとはいえ、第2の司令塔としての役割も担うリベロ。
必要な能力も幅広いものになります。
粘り強さと度胸と攻撃性
どんなボールも絶対に落とさないというレシーブ力がリベロの絶対条件。
そのためには最後まで諦めない粘り強さと、強烈なアタックにも負けない度胸が求められます。
また守備の専門とはいいつつ、攻撃的で負けず嫌いな性格であることも重要。
そういった資質があれば、誰もが取れないと諦めそうなボールにも食らいついていくことができ、チームの士気も上がるのです。
判断力と分析力とコミュニケーション力
相手のスパイクのコースを読むためには一瞬の判断力が必要。
また後衛から戦況を見て味方に指示を出すためには高い分析力も求められます。
監督やコーチとチームメイトの橋渡しをする際には、互いの意思を正確に伝えるコミュニケーション力も欠かせません。
バレーボール】リベロ廃止論
今では当然の存在になったリベロですが、実は近年、「リベロ廃止論」も持ち上がっています。
それはそもそもバレーボールにはリベロという存在がなかったこと、そしてリベロには弊害もあることが理由です。
リベロの弊害
リベロの弊害としてよく論じられるのが、ミドルブロッカーの育成。
レシーブの専門家であるリベロがいるため、ミドルブロッカーにはレシーブの技術は不要という育て方が一般的になっているのです。
ミドルブロッカーはアタックとブロックだけを強化するという偏った方針が、本来のバレーボールの在り方とは違うのではないかと問題になっています。
まとめ
現在のバレーボールは、背の高い選手が圧倒的に有利という状況です。
背の高い選手は攻撃力の強化に力を入れるため、レシーブがおろそかに。
そこにリベロの存在意義があります。
リベロは身長が低くても務まるポジション。
不要論もありますが、バレーボールが好きで人一倍練習しているけど背が低いためにスタメンになれないという選手にとっては、大きな救いにもなっているのです。
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