バレーボールのポジションの1つ、セッター。
セッターといえばトスを上げる人で、スパイカーなどと比べて少し地味な印象がありますが、試合中にはトスを上げる以外にどのような役割を担っているのでしょうか。
今回は、バレーボールのセッターについて解説。
実は重要なその役割をご紹介します。
【バレーボール】セッターとは
セッター(setter)は、直訳すると「セットする人」という意味。
なぜセットする人なのでしょうか。
バレーボール発祥の地アメリカで「セットする」と言えば、日本語での「トスを上げる」と同じ意味。
つまり「トスを上げる人」のアメリカ流の言い方なのです。
そしてこの呼び方の違いには実は少し深い意味があります。
英語でトス(toss)と言うと、「放る、投げる」という意味。
しかしスパイクで得点を上げるためには、「放り投げる」というイメージよりももっと正確なボールを上げることが大切になります。
スパイカーが打ちやすい位置にボールを置きにいく=セットする、という意味でセッターなのです。
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【バレーボール】セッターの役割
セッターの役割は、その名の通りトスを上げること・・・ですが、実はその役割は大きく2つあると言われています。
それはどのようなものでしょうか。
トス
まず目に見えるものでは、ご存知の通りスパイクを打つためのトスを上げることが最大の役割になります。
味方がレシーブしたボールを繋ぎ、スパイカーが打ちやすいトスを上げることがポイントで、地味な役割ですが、得点を上げるためにはとても重要。
実はセッターはほぼ全ての得点に絡み、最もボールに触れる機会が多いポジションであるとも言えるのです。
司令塔
速い攻撃や遅い攻撃、縦の変化や横の変化など、スパイクの種類はトスで決まります。
つまり攻撃の起点となり、戦術を組み立てるのはセッターの仕事。
トスを上げるセッターはチームの司令塔の役割も担っているのです。
冷静に相手を観察し、相手に有効な攻撃を見つけること、その攻撃に誰をどう使うかを判断することが重要な仕事になります。
セッターに求められる能力
地味に見えてもチームの中心的な役割を担っているセッター。
ではセッターに求められる能力にはどのようなものがあるのでしょうか。
オーバーハンドパスの正確性
正確なトスはセッターにとって最低限必要な能力。
チームにどれほど優れたスパイカーがいても、良いトスが上がらなければ得点を上げることはできません。
具体的にはオーバーハンドパスの正確性が必要で、しかもどこからでも狙ったところに上げるだけのパワーも求められます。
そのために欠かせないのは指と手首の筋力。
距離があってもトスを届かせるよう、筋トレなどで指と手首を鍛える必要があります。
またさまざまな位置から正確にトスを上るためには、指と手首の柔軟性もあった方が有利です。
一方であまり必要ないとされているのは身長。
実際のチーム編成でも、例えば日本代表の男子では、選手全体の平均に比べてセッターは5cmほど低く、ブロッカーと比べれば13cmも低くなっています。
アジリティ
厳しいボールを拾うことが多いレシーブではボールが遠くへ行ってしまうこともよくあります。
そのようなときでもボールの下に走り込んでオーバーハンドパスを上げるのがセッターの役割。
そのためにはアジリティが必須となります。
アジリティは、日本語で「敏捷性」のこと。絶対的なスピードに加えて、加減速や方向転換の速さなども指す言葉です。
日頃からアジリティを鍛え、同時にフットワークも磨いておけば、ボールに素早く反応して真下に入ることができ、余裕を持ってトスを上げられるようになります。
判断力とゲームメイク力
セッターは味方がレシーブしたボールをトスしますが、そのトスは1種類ではありません。
基本のオープントスに加えて、クイックトス、並行トス、バックトス、ジャンプトス、バックアタックへのトスなどさまざまなトスを使い分けます。
しかも味方がレシーブを受けてからの一瞬の間に状況を判断し、打たせたい選手に対して的確なトスを上げるのです。
このトスを状況によって使い分ける能力が重要。
そのためには瞬時に正確な判断ができる能力と、バラエティ豊かな攻撃を生み出すゲームメイク力が求められるのです。
これはかなり難易度が高い能力。
バレーボールの理論をよく知り、反射的に戦術を選べなければ務まらない役割になります。
コミュニケーション力
ゲームメイクをするためには、味方の選手の特徴を把握しておく必要があります。
そのためにポイントとなるのが、積極的にコミュニケーションを取る能力。
いくらオーバーハンドパスが上手くても一匹狼の性格では味方の攻撃力を引き出すことはできません。
しかもスパイカーにとっての「打ちやすいトス」は、人によって違うもの。
それぞれのスパイカーが打ちやすいトスを把握し、相手によって変えるためにも、普段の練習から深くコミュニケーションを取るべきなのです。
そして試合ではセッターが「次はこの攻撃で行こう」などと指示を出すことになります。
セッターは第2の監督のような役割。
その意味でもコミュニケーション力があり、信頼される人物であることが望まれます。
まとめ
自ら得点を挙げることはなく、地味な存在に見えるセッター。
しかし実はチームの司令塔であり、全ての得点に絡む重要なポジションなのです。
バレーボールを観戦するときは、セッターからのトスの正確さや多彩な攻撃の展開にも注目してみると、より楽しめるかもしれません。
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