プロ野球のシーズン終盤になると頻繁に目にするのが「M5」などのマジック。
順調に減っていくかと思ったら、突然消滅することも。
いったいどのような仕組みになっているのでしょうか。
今回は、混乱することも多いマジックのルールや計算方法を解説します。
【野球】マジックとは
プロ野球のマジックは「優勝マジック」と呼ばれることもありますが、その正式名称は「マジックナンバー」。
プロ野球中継や新聞などではMagicの頭文字をとって「M4」などと表記します。
これは他のチームの試合結果に関わらずあと何勝すれば優勝が決定するかを表す数字で、マジック0となったら優勝決定です。
マジックナンバーの由来
マジックナンバーは直訳すると「魔法の数字」。
これは実はビンゴゲームに由来する言葉です。
ビンゴゲームではあと一つ特定の数字が出たらビンゴが完成するという状態を「リーチ」と言います。その特定の数字がマジックナンバー。
リーチの人は「マジックナンバーが出て!」と祈ります。
それがいつしか優勝するために必要な数字という意味に変化。残りの勝ち数を表す言葉になったのです。
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【野球】マジックの仕組み
ではマジックの仕組みや計算方法はどのようになっているのでしょうか?
マジック点灯の条件
日本のプロ野球でマジックが点灯するのは、他の全チームの自力優勝の可能性が消滅したとき。
「自力優勝の可能性が消滅する」とは、そのチームが残りの全試合を勝ったとしても優勝できないという意味です。
この定義があるため、いくら僅差でも2チーム以上に同時にマジックが点灯することはありません。
また残り試合数に差があれば、2位のチームにマジックが点灯することもあります。
そしてマジック点灯したチームが多く負け、他のチームに自力優勝の可能性が復活したら、マジック消滅ということも。
逆に1チームが独走するとかなり早い段階でマジックが点灯することもあります。
1965年には南海ホークスが7月6日に「M62」というマジックナンバーを点灯させて長い間日本記録となっていましたが、2022年にはヤクルトがその記録を更新。7月2日にM53を点灯させて話題となりました。
ちなみにアメリカの野球では「他チームの自力優勝の消滅」という条件が満たされない場合でもマジックナンバーを用いるのが慣例。そのためマジック点灯という概念がそもそも存在しません。
マジックの計算方法
プロ野球のマジックナンバーはどのように算出されるのでしょうか。
その式は以下のようになります。
(対象チームの勝利数+残試合数)ー(マジック点灯チームの勝利数)+1
「対象チーム」とは、マジック点灯チーム以外で、残り試合を全勝した場合に1番勝率が高くなるチームのこと。
多くの場合は2位のチームになりますが、残りの試合数によっては3位や4位のチームが対象チームになることもあります。
「勝利数」に入るのは現在の勝利数です。
マジックの計算例
例えば、マジック点灯チームの勝利数が85で残りの試合数が10、マジック対象チームである2位のチームが勝利数80で残りの試合数10だった場合の式は以下のようになります。
(80+10)-85+1=6
この計算から、1位チームのマジックは6となります。
マジックが減る仕組み
マジックはそのまま、または減っていくもので、点灯チームが負けてもマジックが増えることはありません。
マジックが1つ減るのは、以下の場合です。
・マジック点灯チーム・対象チームともに勝利
・マジック点灯チーム・対象チームともに敗戦
・マジック点灯チーム・対象チームともに引き分け
・マジック点灯チームは勝利・対象チームは試合なし
・マジック点灯チームは試合なし・対象チームは敗戦
以下の場合にはマジックは一気に2つ減ります。
・マジック点灯チームが勝利・対象チームは敗戦
直接対決でマジック点灯チームが勝利すればマジックは一気に2つ減ることに。
逆に対象チームが勝てばマジックは足踏み状態となります。
そして一般的にマジックは最高で2つしか減りませんが、「勝率が同じ場合、チーム同士の対戦勝率が高い方が上位」というルールもあり、これにぴったり当てはまるとごくまれにマジックが3減ることも。
このときには多くの野球ファンが「計算間違いか?」と目を疑うことになります。
クリンチナンバー
マジックナンバーほどメジャーではありませんが、最近聞くようになった言葉がクリンチナンバーです。
これはどういう意味なのでしょうか。
クリンチナンバーとは
クリンチナンバーはリーグ戦で優勝やプレーオフ進出などに必要な勝利数のこと。
残り試合で考えられるパターンを勝ち負け引き分け全てでシミュレーションして算出するもので、マジックナンバーが他チームの勝敗に影響される相対的な数値であるのに対して、クリンチナンバーは他チームに影響されない絶対的な数値となります。
このクリンチナンバーが近年注目されているのは、CSクリンチナンバーとしてクライマックスシリーズ進出までに必要な勝利数に使われるからです。
つまりクライマックスシリーズ進出を争う3位や4位のチームにとって重要な数字。シーズン中に「クリンチナンバー」でネット検索すれば、各チームの数字を見ることができます。
まとめ
点灯すると優勝も間近!という気分になるマジックナンバー。
しかし2008年には阪神が7月22日という早さでM46を点灯させながら2位の巨人に逆転優勝されています。
その数字に一喜一憂できるマジックナンバー。
どういう仕組み?と聞かれたらドヤ顔で説明できるよう、ぜひ仕組みと式を覚えてください。
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