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【野球】ピッチコムとは?メリット・デメリットをご紹介!

ピッチコムはメジャーリーグ(MLB)で使用が広がっているシステム。
大谷翔平投手も使用し、ある試合ではピッチコムの調子が悪くなった回に打ち込まれたことが話題になりました。
ところがこのピッチコム、日本のプロ野球では使われていないため、仕組みがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、ピッチコムとはどういうモノなのかをじっくり解説。
その仕組みやメリット・デメリットをご紹介し、日本プロ野球への導入についても考察します。

【野球】ピッチコムとは

ピッチコム(PitchCom)は、サイン交換に使う電子機械のこと。
発信機と受信機を身につけ、投球のサイン伝達に使います。
マイナーリーグでの試用期間を経て、MLBでも2022年シーズンから使用がスタート。1年目は捕手から投手へのサイン伝達に限定されていましたが、2023年シーズンからは投手から捕手へのサイン伝達も解禁されました。

仕組み

ピッチコムは、真ん中に5、その周りの8方向に8つ、合計9つのボタンやキャンセルボタンなどが並んだ発信機と、音声を出す受信機で構成されています。
発信機の各ボタンに球種を割り当て、コースはボタンの位置で指定。
ボタンを押して球種とコースを選択し送信すると、受信機から音声でサインが伝達されます
データ送信は暗号化されていて、盗聴はまず不可能。
音声は英語以外の言語にも対応していて、さらに男性・女性・ロボットの3種類から選ぶことができます。

使い方

ピッチコムの使い方は、ボタンを2回押して球種・コースを伝達するのが主流。
最初に押すと球種を伝え、2回目に押すとコースを伝えます
例えば発信機側でキャッチャーがボタンを3→4と押したら、受信機側には音声で「カーブ、内角低め」と聞こえることに。
シンプルで使いやすいと評判です。

装着場所

発信機は捕手や投手が操作しやすい場所に装着することができます
捕手の場合は腕か膝のレガースに装着する選手が多く、投手の場合はグローブ側の手首や二の腕に装着するのが一般的。
そして受信機は帽子に装着します

ルール

ピッチコムの発信機は捕手または投手だけが持つことができ、送信できるのは1人だけと決まっています。
これは2023年に投手もピッチコムを持てるようになってから加わったルール。
球種が多い投手や捕手のサインに首を振る可能性が高い投手は、最初から自分で送信機を持つことが多く、大谷投手も自分から送信していることがあります。
一方、受信機は投手、捕手以外に最大3名の野手が持てるというルール。
一般的には牽制などのサインプレーが多いセンターラインのセカンド、ショート、センターの選手が受信機を装着します。

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【野球】ピッチコムのメリット

今までの野球にはなかったハイテク機器であるピッチコム。
そのメリットは何なのでしょうか。

時間の短縮

これまでの手によるサイン交換は、試合時間が長くなる大きな原因となっていました。
その対策として2023年シーズンからはピッチクロックのルールが導入されましたが、球種の多い投手はサイン交換がとても間に合わない事態に。
しかしピッチコムを使えばサイン交換の時間を大幅に短縮でき、ピッチクロックにも間に合うのです。

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サイン盗みの防止

MLBでは不正なサイン盗みも問題になっていました。
特に2017年のアストロズ、2018年のレッドソックスと、ワールドシリーズを制覇したチームに相次いでサイン盗みが発覚したことはMLBの汚点。
サイン盗み防止を大きな目的として2020年にピッチコムが提案されました。
またこれまではランナーが2塁にいる場合、サイン盗みを防止するために偽サインを出すなどサインを複雑化させることが多く、これも試合時間が無駄に伸びる原因となっていました
ピッチコムはその両方の問題を解決したのです。

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プレーに集中できる

投手の中にはサインがなかなか覚えられない人や、視力が低くてサインが見にくい人もいます。そのような投手でもサインに煩わされず、プレーに集中できるのは大きなメリット。
サイン交換の時間が短縮できることで、投球前に集中力を高める時間も少しだけ長く持てることになります。

【野球】ピッチコムのデメリット

サインミスが減る、ポジショニングの指示が出しやすくなる、サイン交換の時間短縮で観客も中身の濃い観戦時間になるなどメリットが多いピッチコム。
しかし少ないながらもデメリットも指摘されています。

駆け引きが減る

サイン交換の時間は無駄なようでも、投手と打者の駆け引きの時間でもありました。
ピッチコムによってサイン交換がなくなったことで、駆け引きや読み合いが希薄になり、淡泊な試合展開が増えたと言われています。

投手の負担が増える

球種が豊富な投手の場合、ピッチクロックに間に合わせるため前述のように自ら送信側を受け持つことが多くなっています。
その結果、投手が球種やコースを自分で決めることに。これが投手の負担になっているという指摘もあります。
またこのパターンが増えれば、捕手はただ指示に従って受けるだけの役割になるのではないかという懸念もあるのです。

【野球】ピッチコムは日本プロ野球に導入される?

今のところ日本のプロ野球には導入されていないピッチコム。今後導入されることはあるのでしょうか?

導入の可能性は高い?

日本のプロ野球は過去にもMLBに追随する形でさまざまなシステムを導入してきました。
例えばドラフト制度は、MLBが導入した翌年の1965年に採用。
一方でピッチクロックに関しては2023年のオフに導入の検討がスタートしましたが、今は必要ないとして2024年シーズンの導入は見送られています。
これはピッチクロックで定められている時間を、すでにほとんどの投手がクリアしているから。
一方で、MLBではピッチコムの導入後に試合時間が平均28分も短縮されたというデータがあります。
日本のプロ野球でも試合時間の短縮は緊急の課題となっていますから、今後は導入に向けて準備が進められる可能性が高いかもしれません。

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まとめ

MLBではもはや普通に使いこなしている感があるピッチコム。
ピッチクロックが投手には不評であるのに対して、ピッチコムはおおむね好評ですから、今後は日本でも見られるようになるかもしれません。
そしてそのときには、ハイテク大国日本ならではの新機能が搭載されるかもしれませんね。

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でかむ

スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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