「氷の上を華麗に滑るスポーツ」と聞いた時、皆さんが思い浮かべるのはどのようなスポーツでしょう?
その中でも、フィギュアスケートとスピードスケートを想像する人は多いのではないでしょうか。
音楽に合わせて華麗なダンスをし、人々を魅了するフィギュアスケート。
氷の上でライバルと速さを競い合う、爽快なスピードスケート。どちらの競技でもオリンピックで活躍するような、有名な選手がたくさんいます。
特にフィギュアスケートの羽生結弦選手のことは、スケートに詳しくない人であっても名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、氷上の代表的スポーツとはいえ、フィギュアスケートとスピードスケートの違いを詳しく知っている方はあまり多くないかもしれません。
競技性の違いはなんとなくわかるけれど、それ以外にも違いはあるの?という方向けに、今回は二つの競技の違いを詳しくご紹介します。
とにかく華やか!フィギュアスケートの魅力
ここでは、フィギュアスケートのはじまりや、現在の主流種目、競技するうえでの重要になるポイントについて解説していきます。
フィギュアスケートのはじまり
そもそも、フィギュアスケートのフィギュアとはどういう意味なのでしょうか。
それは、この競技が元々はダンスではなく、氷上でスケート靴を用いていかに綺麗な図形を描けるか?を競っていたスポーツであることに由来しています。
フィギュアスケートのフィギュアは英語で「図形」を意味する「figure」から来ているのです。
この図形を描くという競技は「コンパルソリー」という種目として残ってはいますが、現在オリンピックの指定種目には入っていません。
現在の主流はフリースケーティング
基本的に皆さんがフィギュアスケートと言って想像するのは、いわゆるフリースケーティングのことになるでしょう。
アメリカのバレエ教師であったジャクソン・ヘインズが「氷の上でバレエを踊ってみるのはどうだろう?」と提案したことがきかっけであったとされています。
バレエを元にしたダンスの動きの華やかさがフリースケーティングにはあり、次第に“テレビ映えしない”という理由もあって、コンパルソリーよりもフリースケーティングの方がフィギュアスケートの主流となっていったようです。
表現力が重要
フィギュアスケートは、ジャンプやスピンなどの技の難易度&完成度の高さによって評価されることになる「技術点」、いかに楽曲に合った滑りや、美しい表現ができているかで評価されることになる「演技構成点」の二つを合計した点数で順位が決まります。
男子シングル、女子シングルなどのほかに男女のペアで行われるペアスケーティングや、氷上での社交ダンスと称されるアイスダンスなどがあります。
フィギュアスケートの見どころは、なんといってもダイナミックなジャンプなどの技の数々ですが、それと同時にいかに曲の世界観を表現できるのか?などのアーティストとしての側面も重要になってきます。
演技を見ながら、この選手はどのような意図でこのステップを踏んでいるのか?ジャンプで何を表現しているのか?
そんなことを想像しながら、鑑賞するのも面白いかもしれません。
氷上を駆け抜けろ!スピードスケートの魅力
一方、スピードスケートはフィギュアスケートよりもシンプルです。氷の上で行う短距離走、というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
元々スピードスケートは競技ではなく、オランダ発祥の交通手段だったと言われています。凍った川や湖を安全に渡るため、ブレードのついた靴を使って滑るように移動したのが最初の由来であるとのこと。
それが競技として“スピードスケート”と認識されるようになったのは、1763年にイギリスにて世界初の競技会が開催されたことであるそうです。
日本で初めてスケートが行われたのは、北海道の札幌だと言われています。
1877年に、札幌農学校(現・北海道大学)の教師として来日した、アメリカ人のブルックスがスケート靴を持参していたのがきっかけだったようです。
彼がスケートを紹介し、それが日本におけるスピードスケートの始まりだったと言われています。
スピードスケートはなんと言ってもその速さ、爽快感が最大の魅力でしょう。氷の上で、ライバルとのタイムを競います。その瞬間時速は脅威の時速60キロ、自動車並です。
風を切って氷の上を滑る姿は、見る人間達を圧倒すること間違いありません。
違いその1ースケート靴
フィギュアスケートとスピードスケートは、その競技性の違いから使用される靴が大きく異なります。
フィギュアスケートは氷の上でダンスをし、人々を魅了するスポーツであるので、とにかく氷上でスピードなどをコントロールすることが、要求されることでしょう。
ブレード(靴の下に付いている刃)は、ほぼ靴のサイズと同じ長さであり、全体的に分厚く安定性があります。
小回りも効くため、一般人や素人でも使いやすいと言われており、多くの場合スケートリンクで一般人が使用するのはこのフィギュアスケート用の靴になっています。
一方スピードスケートは、とにかく速く滑ることが要求されるため、靴にもその機能性が求められます。フィギュアの靴と比べればその違いは一目瞭然でしょう。全体的にブレードが靴の大きさに対して長く、細いのです。
また、丸くて曲線状になっているのも特徴の一つ。一般のスケートリンクでは、使用が制限されている場合があります。
違いその2ー競技性と人気
同じ氷の上で滑るスポーツであるのに、その競技性は大きく異なると言っても過言ではありません。
スピードスケートは氷の上でとにかく速さを競う“競争するスポーツ”としてのイメージが強いことでしょう。
一方、フィギュアスケートはスポーツと言うよりもショーのイメージが強いという人もいるかもしれません。
見ている人がその速さから爽快感を得るのがスピードスケートならば、華やかさで目を楽しませてくれるのがフィギュアと言ってもいいでしょう。競争が求められるか、芸術性と技術力が求められるかの違いと言ってもいいかもしれません。
惜しむべくは、どちらも魅力的なスポーツであるにも関わらず、各メディアの扱い方には差がつきがちなことでしょうか。
フィギュアスケートはテレビでも映像つきでニュースで紹介されることが多いのに対して、スピードスケートは扱いがやや小さいことも多いとされています。
同時に、日本における競技人口はフィギュアが4000人程度であるのに対して、スピードスケートの方は2500人程度であるとのこと。
多くの優秀な選手を輩出しているにも関わらず、まだまだ競技人口の少ないスポーツであるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。オリンピックなどの多くの世界大会で、観客を魅了してやまない二つのスポーツ。
競技人口はまだまだ少ないですが、羽生選手をはじめとして日本では数多くの優秀な選手達が、世界に羽ばたき活躍しているのも事実です。
多くのスケートリンクが整備され、多くの人材を育てる環境が整うことで、より一層日本人の躍進が期待できるのは間違いないことでしょう。
興味を持った人はぜひ、テレビやニュースで選手達の活躍をチェックすると同時に、近くのスケートリンクにも足を運んでみるといいかもしれません。
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