東京オリンピックの正式種目としても注目を集めた空手。
世界では柔道の競技人口が数百万人であるのに対して、空手の競技人口は6000万人、愛好者は1億3000万人以上存在すると言われています。
しかし空手には数多くの流派があることは、愛好者以外にはあまり知られていないのではないでしょうか。
その流派は分かっているだけで200前後。世界的には枝分かれした流派が多すぎて、もはや把握できないとも言われています。
ここでは、代表的な空手の流派をご紹介。
その特徴や違いを解説します。
【空手】流派① 伝統空手
そもそも空手は琉球王国の戦士階級が習っていた「手(ティー) 」が源流となっている武術。
そこから派生してたくさんの流派がある空手ですが、大きく分けると伝統空手と実践空手に分類されます。
伝統空手は別名ノンコンタクト空手とも呼ばれるもの。
直接打撃を避けて寸止めする空手の総称で、伝統という名の通り、古流の技術に基づいて試合や稽古を行います。
その特徴は、型の練習や哲学、礼節を重視することや、単純な強さではなく習熟度を評価する段級位制を採用していること。
また間合いが広く、ローキックをしないなどの決まりもあります。
オリンピックに採用されているのは、この伝統空手。
「松濤館流」「剛柔流」「糸東流」「和道流」が四大流派と呼ばれています。
松濤館流
開祖は船越義珍氏。
全世界で最も多くの人が学んでいる流派で、テコンドーの元になったとも言われています。
「型に忠実であれ、空手に試合はない」という船越師の遺訓を遵守して、型の稽古を重視するのが伝統的な姿。
一方で技術的な特徴は、遠い間合いからの一撃必殺です。
ダイナミックで迫力ある技の重みで人気を集めています。
剛柔流
開祖は宮城長順氏。
琉球伝統の武術に加えて、中国南部民族の舟を漕ぐ姿勢を取り入れた足運びが特徴です。
近い間合いからの打撃や掴み投げなどが強みで、相手に打たれても耐えられる強靭な体と、呼吸法によって内部を鍛えることが鍛錬の基礎。
そのような特徴から「守りの空手」と呼ばれています。
糸東流
開祖は摩文仁賢和氏。
首里手と那覇手という2つの流れをくんだ流派で、型の美しさが特徴です。
しかも摩文仁が多くの武術を学んだ末に完成した流派なので、型や技の種類がとても豊富。
突きや蹴りの他に投げや逆技もあり、総合格闘技に近い流派となります。
また守りを特に重視し、相手の攻撃を受け流してから反撃するのも特徴です。
和道流
開祖は大塚博紀氏。
松濤館の船越義珍氏から学んだ彼は、その教えを元に柔術や剣術の要素を加えて昭和初期にこの流派を完成させました。
柔術の動きを取り入れた投技や足技がとても多いのが特徴。
相手を倒してから関節技に似た攻撃を行うこともあります。
千唐流
開祖は千歳強直氏。
空手に医学的知識も加えて作り上げた流派で、投げ技も行います。
伝統空手は直接打撃をしないことが特徴ですが、千唐流は防具を着けて直接打撃を行う伝統空手という珍しい存在です。
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【空手】流派② 実践空手
寸止めをする伝統空手に対して、実践空手は、直接打撃するルールを採用した空手の総称。
その特徴からフルコンタクト空手とも呼ばれます。
顔面など、一部禁止された部分以外への蹴りや突きを行い、そのダメージで勝敗を決めるのが特徴。
伝統空手より間合いが短く、コンビネーション技も多彩になります。
極真会館
フルコンタクト空手の本家。
創始者の大山倍達氏が直接打撃を提唱して誕生したもので、フルコンタクト空手の多くはこの極真会館から派生しました。
練習は基本稽古を重視。
移動稽古、型の練習、約束組手に加えてスパーリングも行います。
「新極真会」や「極真館」は極真会館の分裂組織。
大会が細分化されていて幅広い人が空手に親しめる新極真会、顔面攻撃を認めている極真館など、分裂して生まれた組織にもそれぞれに特徴があります。
芦原会館
ケンカ十段の異名で知られた芦原英幸氏が極真会館から独立して創設した流派。
「誰にでも安心してでき、楽しみ楽しめる空手」が理念で、レベルに合わせて無理なく練習を重ねるのが特徴。
技術的には、相手の攻撃を受けて崩す、相手の死角に回り込むなどの「サバキ」を追求しています。
正道会館
芦原会館から石井和義氏が独立して生まれた団体。
一般的なフルコンタクト空手の技術に加えて、片手を使った一瞬の掴みや掛けも認め、より実践的な技を繰り出します。
掴んで崩す技術や、相手のサイドに入って攻撃するポジショニングなど、理論的であることも特徴です。
空道
大道塾という団体による流派で、総合格闘技のパイオニアと呼ばれる空手。
もともとは格闘空手という名前でしたが、空道に改名しています。
透明のシールドで顔も覆う防具を使用。
顔面への攻撃や頭突き、投げ技、寝技も取り入れ、体格差がある場合には金的攻撃も認められます。
高い実践性と安全性が大きな特徴。
階級はリーチの長さも考慮して身長+体重で分けられています。
まとめ
沖縄の「手(ティー)」から始まり、数えきれないほどの流派が生まれている空手。
これから空手を始めてみたい方は、まずはノンコンタクトの伝統空手か、フルコンタクトの実践空手かを選び、その中からそれぞれの流派の特徴を調べていくのが近道。
自分に最も合った流派をぜひ発見してください。
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