日本では高校時代のサッカーといえば部活動が一般的。
そしてもうひとつ、プロのサッカー選手を目指す上で有望なのが、ユースです。
では具体的にユースとはどのような制度で、年齢基準はどうなっているのでしょうか。
また部活動との違いはあるのでしょうか。
今回は、サッカーのユースについて解説します。
【サッカー】ユースとは
サッカーのユースは、プロのクラブが運営する育成組織。
例えばJリーグのクラブは、クラブユースやアカデミーといった下部組織の育成チームを持っていて、そこで育成した選手をトップチームに昇格させるシステムを持っているのです。
年齢基準
ユースの年齢基準は国によっても違います。
Jリーグのクラブユースは、U12、U15、U18という区分が一般的。
その中でU12は「ジュニア」と呼ばれる小学生の年代、U15は「ジュニアユース」と呼ばれる中学生の年代、U18は「ユース」と呼ばれる高校生の年代になります。
そしてピラミッド型と呼ばれるシステムになっているのが特徴。
上の世代になるにしたがって、昇格審査で人数が絞られていきます。
昇格し続ければ最終的にはクラブのトップチームに入ることに。クラブのユースで育てた選手は、そのクラブが優先的にプロ契約する権利を持っています。
ちなみにヨーロッパのクラブではU12、U15、U18、U23の年齢区分が一般的です。
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【サッカー】ユースと部活動の違い
南米やヨーロッパのサッカー大国では、プロサッカー選手は幼い頃からプロクラブの下部組織であるクラブユースで育成されるのが一般的です。
学校の部活動は、実は日本独特のスポーツ文化。
そのため日本ではユースと部活動の両方がサッカー選手の育成ルートとなっています。
プロ入りの人数
では部活動とユース、どちらがプロへの近道なのでしょうか。
毎年のJリーグプロ内定と新加入選手の推移を集めたデータから、5年ごとの変化をご紹介します。
加入年度 | ユース | 高校 | 大学 | その他 | 合計 |
2002年 | 31 | 47 | 39 | 2 | 119 |
2007年 | 51 | 39 | 46 | 7 | 143 |
2012年 | 45 | 15 | 54 | 0 | 114 |
2017年 | 47 | 20 | 80 | 0 | 147 |
2022年 | 49 | 38 | 140 | 0 | 227 |
ユースは毎年安定していて、ほぼ40人から50人台。
高校の部活動出身は不安定で、少ない時には10人台となっています。
実は最も増えているのは大学のサッカー部出身。
近年のサッカーではインテンシティ(強度)の高い選手が求められる傾向にあるため、体のできあがった大学出身者が増えているのです。
ユースのメリット
ユースに入るメリットは、なんといってもプロになるために最短ルートであること。
大学出身者のプロ入りが増えていて、高校からのプロ入りも多いとはいっても、そもそも所属している人数が桁違い。
もちろん簡単なことではありませんが、ユースで勝ち残る方がプロになれる可能性は高いと言えます。
またユースのチームは地元で最もレベルの高い子どもたちを、元プロ選手がJリーグクラブの育成メソッドで指導する場。ゴールがプロと決まっているため、年代ごとにプロになるために必要なトレーニングを受けることができます。
プロチームとの練習や練習試合でプロのレベルを間近に感じられるのも大きなメリット。
さらにユースから昇格すればトップチームの選手と顔見知りになっていて、1年目からチームに溶け込みやすいというメリットもあります。
2種登録制度
ユースの大きなメリットが、2種登録制度。
練習試合などで監督に認められると、U18でも飛び級でプロの試合に出場できる制度です。
後に国際的な活躍をすることになる選手は2種登録で若いうちからJリーグデビューしていることが多く、高校の部活にはないユースの大きな特徴となっています。
部活動との違い
一般的にユースの方が技術や戦術面で優れていると言われますが、今では全国大会レベルの高校なら部活動でもユースに負けないほどの指導ができるようになっています。
では部活動とユースは何が違うのかというと、主に人数と上下関係です。
ユースは少数精鋭で上下関係が希薄なことが一般的。
一方、高校の部活は大人数で、強豪校の場合は部員数が100人を超えることもあります。そして学年ごとの上下関係の意識が強いため厳しい面はあるものの、精神的にも鍛えられると言われています。
実際の進路
それぞれに特徴があるクラブユースと部活動。
実際にはどのようなコースでJリーグに入ることが多いのでしょうか。
もちろんユースからそのままプロになる選手も多いのですが、実はかなり多いのが、ジュニアユースから高校、またはユースから大学の部活動に入るパターンです。
Jリーグの育成チームでは年代が上がるごとに人数が絞られていくため、小学生のときにジュニアに所属していても、ジュニアユースへの昇格が認められないのは非常によくあること。ジュニアユースからユースへの昇格も同様です。そのためジュニアやジュニアユースを卒業となった子どもが中学や高校のサッカー部へ進むことがとても多くなります。
例えば本田圭佑選手はガンバ大阪のジュニアユースからユースへの昇格が認められなかったため、石川県の強豪である星稜高校へ進学。高校卒業時に名古屋グランスパスエイトと契約しました。
同じようにユースからトップチームに上がれずに大学のサッカー部に入る選手も大勢いて、前述のように近年は大学からプロへと進む選手が増えているのです。
まとめ
プロへの近道であるユース。
とはいえジュニアからジュニアユース、そしてユースへと昇格し続け、プロになることができるのはごく一握りの選手だけです。
しかしそこで脱落しても、日本には部活動というチャンスがあります。
その意味では南米やヨーロッパのサッカー大国と比べて、日本は夢を追える機会に恵まれた国だと言えるかもしれません。
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