過激なまでのパンチ、そしてキックでの攻防が繰り広げられるイメージで知られるムエタイ。
普段はあまり身近な競技ではないかもしれませんが、本場であるタイでは国技であり、競技としての魅力は世界中に伝わっています。
今回はそんなムエタイという競技について、詳しく説明していきたいと思います。
ムエタイの起源・歴史について
現代で行われているムエタイの起源は、インドの格闘技「カラリパヤット」がタイに伝えられ発展し「古代ムエタイ」が生まれたと言われています(年代は不明ですがおよそ500年前とも伝えられています)。
元々は素手・素足で行われていましたが、1900年代に入ると木綿布を巻くようになり、その後はグローブ着用が義務付けられるなどスポーツとしての要素を強めるようになり、近代ムエタイとして知られる現在の形になっていきました。
日本におけるムエタイの歴史について
ムエタイが日本国内に伝わったのが1960年代と言われています。その後、日本ではムエタイを「キックボクシング」の名称で定着させる動きがみられたと言います。
しかし、これについてタイ国内では国民が大きな不満を覚えたこともあり、日本で「ムエタイ」と「キックボクシング」は分けられて行われるようになったと伝えられています。
因みに、日本人では1978年に藤原敏男さんが初めてタイ国内のタイトルを獲得しています。
ムエタイと関連のあるスポーツ
打撃系の格闘技として様々な影響を格闘界に及ぼしているムエタイ。
特に1960年代の日本では、空手やボクシングといった格闘技が最も有名でしたが、ムエタイの魅力やルールを基にした、「キックボクシング」が生まれています。キックボクシングは当時の日本国内でテレビ放映が盛んに行われる等、大ブームとなりました。
さらに、キックボクシングがベースとなった立ち技の格闘技では、その後に「K-1」なども日本で行われるようになっています。
K-1は1990年代から2000年代初めにかけてこちらも大きなブームとなり、競技として世界中で行われるビッグイベントとなりました。
現在でもイベントは継続されていることからも、日本ではムエタイが格闘技界で様々な影響を及ぼしたことは間違いありません。
ムエタイの競技人口について
ムエタイの日本国内での競技人口は、現在のところはっきりとした数字はわかっていません。
国技として行われているタイ国内でも競技人口ははっきりした数字はわからないようです。ただ、タイでは幼少期よりムエタイに触れる機会も多く、ムエタイを習う子どもも珍しくないようです。
一説では正式に競技者として登録されている数字はタイ国内で6千人程度とも言われています。
ムエタイのルールについて
世界ムエタイ連盟が定める公式ルールにはアマチュアとプロでラウンド数などが、若干異なる部分がみられます。アマチュアは2分3ラウンド制、プロは3分5ラウンド制で試合が行われます。
キックやパンチでのポイントなどで優劣が付けられますが、その他、首を掴んでの首相撲もルールとして認められていて、その状態からの肘打ちや膝蹴りでの攻撃が可能な点もムエタイの特徴の一つです。
ムエタイの国際的な大会について
ムエタイはタイで主に行われていることもあり、大規模でメジャーな世界大会などはあまり知られていません。
国際的な評価や選手の名声については、タイに本部が置かれる世界ムエタイ評議会(WMC)の世界王座になることが現在では最も高い価値があるとされています。
また、タイで試合が行われるスタジアム毎にもランキングやタイトルが定められており、そのなかでもルンピニー・スタジアムやラジャダムナン・スタジアムのタイトルなどが高い権威であると言われています。
世界から見た日本のムエタイの強さのレベル
1978年に藤原敏男が日本人で初めてムエタイ王者(ラジャダムナン・スタジアムライト級)のタイトルを獲得して以降、現在まで男女合わせて29人がタイ国内の王者となっています。
ラジャダムナンスタジアムで、チャンピオンになった日本人選手は7人に上りましたが、ルンピニー・スタジアムで王者になった日本人選手は、未だかつて存在しません。
ですが2000年代に入りほぼ毎年、各階級でのタイトルに日本人が登り詰めていることからも、日本人のムエタイのレベルは決して低いとは言えないでしょう。
ボクシングやキックボクシングが盛んなことからも、日本でもムエタイのチャンピオンを目指すことは十分可能と言えるのではないでしょうか。
まとめ
タイ国内において、最も盛んに行われているムエタイですが、何人もの日本人王者が誕生していることや、日本では様々な格闘技も広く行われていることから、格闘技界では広く認知されています。
ムエタイは今後、五輪競技として採用される可能性もあり、日本ではもちろんのこと、世界中でさらに競技人口が増えていくスポーツかもしれません。
タイ国内のみならず、世界に羽ばたくスポーツの一部になる可能性のあるムエタイに、これからも注目していきましょう。
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