耳慣れない言葉がたくさん登場するサッカー。
サッカー用語の中でも使われることは比較的少なく、しかし重要な言葉が「アタッキングサード」です。
「今日はアタッキングサードでプレーをさせてもらえず完敗だった」などと使うこの言葉、いったいどのような意味があるのでしょうか。
今回は、サッカー用語「アタッキングサード」をご紹介。
その意味や使い方、アタッキングサードを意識したサッカー観戦の楽しみ方などを解説します。
アタッキングサードとは
そもそもアタッキングサードとは何を表す言葉なのでしょうか。
まずはその定義から解説します。
サード・オブ・ザ・ピッチ
アタッキングサードは、「サード・オブ・ザ・ピッチ」という考え方に登場する用語です。
このサード・オブ・ザ・ピッチは、コートを前後に三等分するピッチゾーンの考え方。こうすることでそれぞれのゾーンで行うべきことを整理します。
三等分したうち、相手ゴールに近い3分の1が「アタッキングサード」。
ハーフライン前後の真ん中のゾーンは「ミドルサード」、自陣ゴール近くの3分の1は「ディフェンシブサード」となります。
アタッキングサードの意味
アタッキングサードは相手ゴールに向かって攻め込む最後のゾーン。そのため別名「ファイナルサード」とも呼ばれます。
味方側にとっては相手ゴールに迫る攻撃ゾーン。
同じゾーンが相手チームにとっては「ディフェンシブサード」になります。
アタッキングサードでの展開
ピッチをわざわざ3分割するのは、それぞれのゾーンで行うべきプレーが大きく異なるから。
具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
ディフェンシブサードでのプレー
自陣のゴールに近いディフェンシブサードはとにかく守りを固めるべきゾーン。
しっかりと相手をマークしなければなりません。
一方で危険な位置でファウルをすればフリーキックやPKを与えて失点につながりますから、ディフェンシブサードでは相手にプレッシャーをかけつつ、クリーンな守備が求められます。
ミドルサードでのプレー
ミドルサードはオフェンス、ディフェンスの両方で非常に重要なゾーン。
攻撃する際には多くの選手が密集するため、ここでボールを失って抜かれてしまうと、すぐに失点につながってしまいます。
そのためミスをせずにどう攻撃のリズムを作り出すかが重要なゾーンとなるのです。
アタッキングサードでのプレー
今回のテーマであるアタッキングサードは、積極的に相手ゴールを奪いにいくゾーン。ゴールを決めるためにどのようなプレーをするか、各チームの戦術が重要なゾーンとなります。
相手にとってのディフェンシブサードですから、ディフェンスからのプレッシャーはきつくなることに。
その中でゴールを決める技術とアイデア、得点感覚が求められます。
50・70・100
サッカーで言われる言葉に「50・70・100」があります。
これは3つのゾーンで目指すべきプレイの成功率のこと。
それぞれアタッキングサードでは50%、ミドルサードでは70%、ディフェンシブサードでは100%の成功率を目指すべきだと言われます。
これは選手の意識を表すもので、つまり「ディフェンシブサードでは失敗は絶対できないぞ!」ということ。
一方、アタッキングサードでは「リスクがあっても成功すれば得点に繋がるプレイにチャレンジしよう!」ということになります。
バイタルエリアとの違い
攻撃にとって重要なゾーンであるアタッキングサード。
同じような言葉に「バイタルエリア」があります。
アタッキングサードとバイタルエリアの主な違いはその広さ。
アタッキングサードは単純に相手ゴールに近い側3分の1のエリアになります。
一方のバイタルエリアは「得点につながりやすい重要なエリア」という意味では似ていますが、エリアはずっと狭いのが特徴です。
具体的には、横の幅はペナルティエリア、縦の幅はディフェンダーとミッドフィルダーの間のエリア。
つまりバイタルエリアの大きさは試合中に常に変化していることになります。
アタッキングサードと比較してより決定的チャンスにつながりやすいのは「バイタルエリアで攻撃側が前向きにボールを持ったとき」です。
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・【サッカー】バイタルエリアはどこ?崩し方と守り方も調査!
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アタッキングサードの楽しみ方
アタッキングサードではゴールを決めるための技術とアイデアが求められますが、それだけにチーム戦術の特徴が現れやすいのもこのゾーンです。
チーム戦術の違い
アタッキングサードではチーム戦術の優先順位が表に出やすくなります。
例えばポゼッションを重視するチームでは一人の選手がドリブルで一気にゴールに迫ることは稀。アタッキングサードでも選手が連動してショートパスを繋ぎ、相手の陣形を崩すスタイルが多くなります。
一方、ヘディングが得意なストライカーなどフィジカルの強いフォワードがいる場合、多くなるのは両サイドからクロスを上げる戦術です。
このようにアタッキングサードでの戦術に注目すれば、チームの特徴を見極めやすくなります。
個人の能力・アイデア
アタッキングサードは相手がしっかりと守備を固めているゾーン。
相手が慣れた攻撃パターンでは簡単に止められてしまいます。
つまりアタッキングサードで守備ブロックを崩すには、卓越した個人技と相手の意表をつくアイデアが求められるということ。
そのためアタッキングサードではファンタジスタと呼ばれる選手の華麗なプレーが堪能できるのです。
試合展開
アタッキングサードでの動きを見れば終盤の戦術もよく分かります。
試合終盤でリードしているチームは、アタッキングサードにボールを運んだとしても相手にボールを奪われることを避けるため攻撃を避けることがあるのです。
こうなると、このまま試合終了を狙っていると判断可能。
例えばクロスを上げられる場面でもそれを避けたり、コーナーキックを狙ってわざとコーナーフラッグ付近でボールキープしたりするようなら、時間稼ぎだといえます。
まとめ
サード・オブ・ザ・ピッチのそれぞれのゾーンには、異なる楽しみ方があります。
その中でも相手ゴール付近のアタッキングサードは、素人目にも凄さが分かりやすいゾーン。
サード・オブ・ザ・ピッチを意識するとき、まずはアタッキングサードから注目してみると良いかもしれません。
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