楕円形のボールを奪い合うスポーツ。そう言った時、皆さんが思い浮かべるのはどんなスポーツでしょうか?
恐らく、ラグビーかアメリカンフットボールの名前を挙げる人が殆どなのではないでしょうか。
この二つのスポーツは日本では往々にして混同されがちです。
試合風景を見ても、どっちがどっちかわからない!なんて声も時々聞こえてきます。
しかし実は、この二つのスポーツは多くの点で違いがあり、同時にそれぞれ別の魅力を備え持つ最高に戦略的な競技なのです。
今回は、間違えられがちな二つの競技の違いをお伝えします。
ラグビーとアメフトの違い―見た目―
まず、ラグビーとアメリカンフットボール、通称アメフトは選手の装備が異なります。
実は選手の防具のあるなしだけで、この二つの競技を見分けることができるのです。
ラグビー選手の装備は、アメフトと違って軽装備です。最大の防具は選手の筋肉!だと言う人もいるほど。
というのも、防具というものも存在するものの、大学生以上では殆どの着用が任意となっているからです。
ラグビージャージ、ラグビーパンツなどは他の選手に引っ張られて転ぶことがないように、体にぴったりとフィットするものを選ぶのが基本です。
肩を保護するショルダーパットもありますが、着用義務がないため「肩を保護できるけど、それ以上に動きづらくて邪魔」という人は着けていません。
また、先述したように高校生以下はヘッドギアとマウスガードの着用が義務づけられています。これは頭と顎を保護する役目があります。ただ、ヘッドギアは声が聞こえづらい、視界が狭くなるなどのデメリットもあるため、大学生以上ではつけない人が多いそうです。
対してアメフト選手は、頭から足先までがっつりと重装備。ヘルメットはもちろんのこと、肩や胸を保護するショルダーパッド。肘を保護するエルボーパッドに、足を保護するニーパッド、ハイパッドなど。
動きやすさを優先するラグビー選手に対し、アメフトでは着用しなければいけない防具が大量にあります。
これは、後述するルールの違いによるもの。どちらの競技も選手同士でのぶつかり合いは多いですが、アメフトはラグビーよりもさらに輪をかけて選手同士で激突する場面が多いのです。
中にはアメリカンフットボールを、”球技の中の格闘技”と称する人も。そしてそんな鎧を彷彿させる重装備だからこそ、日本語で表記する場合には“鎧球”と記載されるのです。
また、選手の外見以外にボールも差があります。楕円形のボールを使うのは両競技とも同じですが、ラグビーは白いボール、アメフトは茶色のボールを使うという規定があるのです。
さも、ラグビーは410~460gで、アメフトは397~425g。ボールだけ見れば、ラグビーの方が軽い傾向にあります。
ラグビーとアメフトの違い―人数―
広いフィールドを縦横無尽に駆け回ることは共通していますが、実はラグビーとアメフトでは参加する人数そのものが違うのです。
ラグビーでは、13人制と15人制が基本。前者をラグビーリーグ、後者をラグビーユニオンと言います。
日本は15人制のラグビーユニオンが基本です。ただし、ラグビーにはいくつも派生ルールや競技が存在し、ラグビーユニオンでは通常の15人制に加えて10人制。
ラグビーリーグでは、なんと13人制以外に9人制や7人制までさまざまなルールのものが存在するのです。それぞれ人気があり、7人制ラグビーユニオンはオリンピックの正式種目にもなったほど。
それに対してアメフトの場合は人数が固定されています。攻撃で11人、守備で11人、合計で最大22人です。
ただし、攻撃と守備で明確にターンが切り替わることもあり、22人が同時にフィールドに出てプレイするわけではありません。
あくまで最大22人であるので、攻撃と守備の両面に同一の選手が出場することも可能です。
ラグビーとアメフトの違い―ルール―
二つの競技最大の違いは、なんといってもそのルールでしょう。
先ほど防具の違いについて説明しましたが、アメフトの方が重装備であるのはそのルールの違いに起因しています。
点数の入り方、ハドル(作戦会議)を試合中に入れられるかどうかなども異なりますが、一番の差はやはり、パスとブロックでしょう。
例えばラグビーの場合、パスは必ず真横か後ろに投げなければいけません。前にパスを出すのは反則になるからです。
また、敵選手の行動を妨害する“ブロック”は、ラグビーの場合ボールを持っている選手にしか行ってはいけません。これは多くの球技と同じ特徴であると言えるでしょう。
しかし、アメリカンフットボールは違います。パスはワンプレーにつき一度なら前に投げてよし。
それどころか、パスを出す専門の選手(クオーターバックといいます。投手、と称されることも)もあるほど。どのタイミングで前方へのパスを投げるか、も勝負の鍵となります。
また、ガチガチの防具からもわかるように、ボールを持っていない選手をブロックすることも反則にならないのがアメフト最大の特徴でしょう。ラグビーと違って、基本的に“まったくボールに触らず、敵選手にぶつかって妨害する”ことの専門職もいるほどです。
タックルする、受ける場面がボールを持っているいないにかかわらず多いため、アメフトでは重装備が必須とされているのです。
ラグビーとアメフトの違い―人気の国・競技人口―
どちらもフットボールに該当する競技ですが、発祥の国も違えば競技人口の多い国も異なります。
ラグビーは1971年に、サッカーのフットボール・アソシエーションに対抗する形で、ラグビーフットボール連合が設立されたことが正式な競技の始まりとされています。
発祥の土地であるイングランドでは、昔から上流・中流階級中心のスポーツとして根強い人気があります。
欧州以外でも、オーストラリアやニュージーランド、南アフリカなどを中心に人気を誇っているようです。
意外にも現在では発祥の土地であるイングランドより南アフリカの選手が多く、競技人口は63万人以上に上るとか。
ただし、日本ではまだまだ競技人口が多いとはいえず、2019年3月時点で日本ラグビーフットボール協会の登録選手数は10万人未満とのことです。
一方アメフトは、その名の通りアメリカ発祥の比較的新しいスポーツと言えます。
現在のルールで正式にスタートしたのが、1906年のこと。
アメリカでは今や、国技と言っても過言ではない一番人気のスポーツとして不動の地位を築いており、競技人口は国内だけで脅威の900万人という数字を誇ります。
一方日本ではマイナーなスポーツというイメージを持たれがちで、現在の競技人口は約2万人。
しかし、近年は週刊少年ジャンプに掲載された人気漫画『アイシールド21』の影響もあり、競技人口は増加傾向にあるようです。
特に高校生は、十年ほどのあいだに倍以上の伸びを見せているとのこと。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
よく似たイメージの二つの競技ですが、見た目もルールもたくさんの違いがあり、同じだけまったく異なる魅力があります。
興味がありましたら是非、テレビで国内外の試合を見てみることをおすすめします。
それぞれ違った、新しいドキドキとワクワクを皆さんに届けてくれることでしょう。
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