マット運動の中で一番簡単なはずなのにうまくできない子どもも多いのが、前転。いわゆる「でんぐり返し」です。
きれいに回れずに背中から落ちてしまう……
うまく起き上がれず後ろに倒れてしまう……
まっすぐ行かずに横に転がってしまう……などなど。
前転でつまずくと、マット運動全体が苦手になってしまいがちです。
そうならないためにも、コツをつかんで効果的な練習をすることが大切。
今回は、キレイな前転をマスターするためのコツと、簡単な練習法をご紹介します。
キレイな前転に必要なポイント
正しい前転には、簡単なチェックポイントがあります。
それは、マットにつく体の位置。
1:頭の後ろ
2:背中
3:腰
この順にマットにつけ、体を丸めて転がることで、キレイな前転になります。
まずはこれができているか、チェックしてみてください。
キレイな前転にならないよくある失敗①頭頂部をついてしまう
前転は最初の入り方が特に重要。
転がり初めに頭頂部をマットについてしまうとうまく回ることはできません。
そうなってしまう理由は以下の2つです。
・お尻の位置が低い
・手が遠い
低くしゃがみ込み、膝が床につくくらいの高さからスタートする子どもはよく見られます。
前転は小さく回るというイメージからこうなりがちなのですが、しゃがみ込んでお尻の位置が低いと、自然に手の位置が遠くなってしまいます。
その結果、前転したときに頭の後ろではなく、頭頂部がマットについてしまうのです。
するとスムースに前に転がることができず、背中からバタンと倒れてしまいます。
お尻と手の正しい位置
お尻は、しゃがんだ位置よりずっと高くするのが第一のポイント。
イメージとしては膝を軽く曲げる程度でも大丈夫です。
そして手は体の近くにつき、自分のおへそを見るようにします。
こうすると頭の後ろがマットにつくようになり、体を楽に回転させられるのです。
お尻と手の位置の練習法
お尻を高く、手を近くにするイメージを練習するには、「キリン歩き」が効果的。
キリン歩きはよつんばいになって動物の歩き方を真似るもののひとつで、膝をなるべく伸ばして行います。
膝を伸ばすとお尻は上がり、手は体の近くにつくしかないため、前転の最初のフォームの練習になるのです。
キレイな前転にならないよくある失敗②体が伸びる
最初に頭の後ろをマットにつければ体は回転しやすくなりますが、それでも途中で体が伸び切ってしまい、起き上がれないことがあります。
その大きな原因は、お腹の力を使って体を丸め続けていないことです。
体が伸びないコツ
体が伸びないようにするコツは、膝と胸を近づけること。
前転では、最初に床をしっかり蹴って膝を伸ばしてから、一気に膝を曲げて小さな回転にする必要があります。
この膝の引き付けがうまくできていないと、体が伸びたままになってしまうのです。
そしてここでもおへそを見ることを意識すると、体をうまく丸めることができます。
体が伸びない練習法
体を丸めて回転させる感覚を覚えるには、「ゆりかご」が効果的です。
ゆりかごは、体育座りをして、そのまま体を前後にゆするという動き。
腹筋を使って体を小さく丸める感覚が身に付きます。
キレイな前転にならないよくある失敗③起き上がれない
前転の最後にありがちなのは、回転はできてもうまく起き上がれないという失敗。
その理由は2つあります。
・最初のキックが弱く、勢いが足りない
・足首が硬い
このどちらかの理由で、体は前に転がりきらず、後ろに戻ってしまうのです。
うまく起き上がるためのコツ
キレイに起き上がるためには、最初のキックに勢いが必要。
両手で体を支えつつ、足をしっかり伸ばして床を力強く蹴ります。
十分な勢いがあれば、体は最後まで回転してくれます。
勢いをつけるためのコツは、回転の途中にもあります。
それは回転の後半でかかとをお尻の方にグッと引くこと。
こうすることで回転に勢いがつき、体を起こしやすくなります。
また足が左右に開いてしまうとキレイに見えない上、勢いを止めてしまうため、膝をしっかり閉じておくことも重要です。
うまく起き上がる練習法
スタートから回転までのフォームが身に付いてきたら、あとは練習を繰り返せば勢いを上げていくのは難しいことではありません。
最初は補助をつけて起き上がるのを助けつつ、自分の勢いでうまく起き上がれるよう練習します。
一方、足首が硬いため起き上がれなくなっているのは、現代っ子の特徴。
昔と比べてしゃがむ動作が減っているため、平均して足首の柔軟性が落ちていると言われています。
これを改善するために良いとされているのが「ひよこ歩き」です。
ひよこ歩きは手を後ろに組み、しゃがんだまま前進するもの。
かかとを床につけ、お尻とかかとをなるべく近づけて行うことで、足首の柔軟性を上げることができると言われています。
まとめ
覚えるポイントは多そうですが、前転でまず意識すべきなのは以下の3つです。
・お尻を高い位置で始め、手を近くにつく
・勢いよく床を蹴る
・体をしっかり丸め、膝をしっかり引き寄せる
ここまでがうまくできれば、勢いできれいに回転できるはずです。細かな部分はその後の練習で修正すればOK。
まずは「頭頂部ではなく頭の後ろをマットについているか」をチェックして、基本から練習してみてください。
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