サッカーの試合で皆が興奮するハットトリック。
「ハットトリック達成〜!」とアナウンサーも思わず叫んでしまいますが、ちょっとお待ちください。
なぜハットのトリックなのでしょうか。
帽子や手品が関係あるのでしょうか。
今回はサッカーのハットトリックの意味や由来、記録について調査してみました。
【サッカー】ハットトリックの意味
ハットトリックとは、1試合に1人の選手が3点以上をあげること。
3得点以上なので4点や5点でもハットトリックという名前は変わらず、特に呼び名はありません。
ただし6点あげるとダブルハットトリック、9点あげるとトリプルハットトリックという名前に。
3、4、5点はハットトリックで、3点おきに名前が変わると覚えておくとよいかもしれません。
パーフェクトハットトリック
ハットトリックの中でもパーフェクトハットトリックと呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。
これは右足、左足、頭でそれぞれ最低1回ゴールを決めること。
難易度は格段に上がりますが、サッカーをやっている人なら一生に1度は狙ってみたい記録です。
【サッカー】ハットトリックの由来と広がり
ハットトリックという名前の由来となったのは、サッカーではなくクリケットです。
イギリス発祥でインドでは国民的スポーツであるクリケットは、野球のように投手がボールを投げ、打者が打つ競技。
なかなかアウトが取れないため、試合が長くなることで知られています。
クリケットでは、3人の打者を連続でアウトに取るのは至難の業。
そこで打者3人を連続でアウトに取った投手は、そのすごいこと(トリック)を褒め称えられて、上等な帽子(ハット)を贈られました。
これがハットトリックの由来です。
ちなみにクリケットのハットトリックはサッカーより達成が難しいと言われています。
サッカーのワールドカップでは21大会で52人ですが、クリケットでは12大会で11人しか達成していないのです。
サッカー以外のハットトリック
クリケット由来のハットトリックという言葉は日本ではほとんどサッカー用語のように思われていますが、実は他のスポーツでも使われています。
アイスホッケーも得点することが難しい競技。
そこで1試合に1人が3得点以上あげることをハットトリックと呼びます。
フィールドホッケーでも同じです。
ラグビーの場合は、1試合に1人が3回のトライかドロップゴールを決めることをハットトリックと呼びます。
ダーツでは1スローの3本が全てブルエリアに入るのがハットトリックです。
ただしもっと上もあり、ブルのさらに内側のインブルに3本入ると「スリー・イン・ザ・ブラック」と呼ばれます。
モータースポーツのF1では、1つのレースでポールポジション・本戦の優勝・ファステストラップを取るのがハットトリック。
加えて全ての周回で1位だとグランドスラムと呼ばれます。
登山では1年間に8000m級の山3つに登ることがハットトリック。
また1日の登山行で3つの山を縦走したときに3座ハットトリックと称する人もいます。
野球では連続3人アウトは全く珍しくありません。
しかし3人連続3球三振を取ると、ハットトリックと称されます。
またメジャーリーグでは1日に3本のホームランを打った選手に対してファンが帽子を投げ込んで祝福したこともあります。
【サッカー】ハットトリックの風習
クリケットではハットトリックを達成した選手には帽子を贈るのが習わしとなっていましたが、サッカーにもそれに代わる伝統があります。
それは、ハットトリックを達成した試合のボールをもらえること。
チームメイト全員がサインをしてくれて、そのボールを持ち帰ることができます。
1試合で2人が達成したときには喧嘩になりそうですが、近年はマルチボールシステムが定着しているため大丈夫だそうです。
【サッカー】ハットトリックの記録
ワールドカップでハットトリックを初めて達成したのは強豪の南米やヨーロッパではなく、意外なことにアメリカの選手。
1930年にバート・パテノード選手がパラグアイ戦で3得点を挙げています。
ハットトリックの記録には、他にどのようなものがあるのでしょうか。
ワールドカップ最多得点記録
ワールドカップでは、ダブルハットトリックは達成されているのでしょうか。
残念ながら答えはNoです。
ワールドカップ1試合での最多得点は1994年のロシア、オレグ・サレンコ選手がカメルーン戦で記録した5得点。
続いて6人が4得点を記録しています。
日本人のギネス記録
ハットトリックのギネス記録を持っている日本人として挙げられるのが、中山雅史選手。
国際試合におけるハットトリック最速記録を持っています。
達成したのは2000年アジアカップ予選のブルネイ戦。
なんと前半3分15秒までに3本のゴールを決め、世界最速記録を60年ぶりに更新しました。
なお中山選手はリーグ戦での4試合連続ハットトリックというギネス記録も持っていましたが、これは2016年にクロアチア東部地域リーグのステファン・ルチヤニッチ選手が5試合連続を記録して塗り替えています。
パーフェクトハットトリックオウンゴール
2022年2月、女子サッカー国際大会のアメリカ対ニュージーランド戦で、世にも珍しいオウンゴールのハットトリックが達成されました。
ニュージーランドのディフェンダー、メイケイラ・ムーア選手が必死にゴールを守ったプレーは、不運にも3度オウンゴールに。
しかもそれぞれ左足、右足、頭に当たってゴールに入ったため、パーフェクトハットトリックオウンゴールとなってしまったのでした。
まとめ
達成するとニュースにもなるサッカーのハットトリック。実はクリケットから生まれ、多くのスポーツに伝わった言葉でした。
サッカー以外のハットトリックにも、ぜひ注目してみてください。
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