武道には囲碁や将棋と同じように段位制度があります。
この段位制度を最初に武道に取り入れたのは、実は柔道です。
では柔道の段位は何段まであって、その最高位の難度はどのくらいなのでしょうか?
今回は柔道の段位についてご紹介します。
【柔道】段位一覧
柔道には段位だけでなく、その下の級位もあります。
一般に強い柔道家のことを「黒帯」と言いますが、最高段位が黒帯ということなのでしょうか?
そして級位から段位まで、それぞれの帯の色はどのようになっているのでしょうか?
最高段位
柔道の創始者である嘉納治五郎氏は「初段より昇段して10段に至り、なお進ましむるに足る実力あるものは11段12段と進ましむること際限あるなし」と述べています。
つまり柔道の段位に上限は決められていないのです。
しかし過去に10段よりも上へ昇段した例はなく、現実的には10段が最高段位となっています。
これまでに国内の講道館柔道10段に到達した人数はわずか15名。
実力だけでなく名誉段位的な意味合いもあると言われる10段の帯は、黒帯ではなく、赤帯です。
大きな大会で赤帯を見ることがないのは、かなりの高齢になっているから。
国際大会などの現役をはるか以前に引退して指導者になっているため、赤帯を試合で目にすることはないのです。
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級位・段位と帯の色
ではその他の級位と段位の帯の色はどのように決まっているのでしょうか。
まず級の帯の色には全国的に統一されたルールはありません。
しかし代表的な講道館の級の帯色は以下のようになっています。
級位 | 無級 | 7級 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 |
帯色 | 白 | 水色 | 黄色 | オレンジ | 緑色 | 紫色 | 茶色 |
そして有段者になると、帯の色は全国的に統一されます。
段位 | 初段〜5段 | 6段〜8段 | 9段・10段 |
帯色 | 黒 | 紅白 | 赤 |
実際の試合で紅白の帯を見ることもほとんどありません。
それは紅白帯も名誉的な色合いが強いから。
そのため6段以上の柔道家でも試合の際には黒帯を締めることが多いのです。
【柔道】昇段に関するルールと難易度
柔道の昇段試験は、剣道と同じように修行期間を重視します。
つまりある年齢に達しないと上の段に挑戦できないということ。
さらに柔道では、昇段試験での審査以外にもう一つ、条件が加わっています。
年齢制限
柔道の昇段試験を受けられる最少年齢は、初段から4段までは満14歳以上です。
5段以上は年齢が上がっていき、5段は満20歳以上、6段は満27歳以上、7段は満33歳以上。
8段は満42歳以上しか資格を得ることはできないのです。
しかも全ての段位に、前の段位を取得してからの修行年限が設けられていて、昇段後すぐに上の段に挑戦することはできなくなっています。
抜群昇段と特別昇段
年齢制限と修行年限はありますが、柔道の昇段には抜群昇段、特別昇段という制度があります。
これは講道館春季・秋季紅白試合や、講道館大阪国際柔道センター前期・後期紅白試合で、一度に連続して勝ち抜いた得点が6点以上あり、しかもその中に「一本勝ち」が5点以上ある4段以下の人は、抜群として修行年限と昇段最少年齢にかかわらず即日昇段が認められるというもの。
また全日本柔道選手権大会、世界柔道選手権大会、またはオリンピックの柔道競技で特に優秀な成績を挙げた四段以下の人も同じく特別に昇段させることができると決まっています。
大会成績
柔道の昇段試験で大きな意味を持つのが、大会成績。
これは講道館や全日本柔道連盟、講道館段位推薦委託団体が主催か後援した大会で得点を獲得するもので、得点が多ければ修行年限が短縮されます。
得点は以下の通り。
・2階級以上の上位段者に勝てば、2点
・1階級の上位段者に勝てば、1.5点
・同段者に勝てば、1点
・1階級の下位段者に勝てば、0.5点
・2階級の下位段者に勝てば、0.3点
・2階級以上の上位段者と引き分ければ、1点
・1階級の上位段者と引き分ければ、0.75点
・同段者と引き分ければ、0.5点
このルールに沿って得点を集め、例えば2段の昇進試験を受ける場合、3点なら修行年限が3年のところ、10点以上になれば半年に短縮されます。
試験内容
昇段試験を受ける資格を得ることができた人は、各段位に合わせた形の審査を受けます。
形の審査内容は、以下のようになっています。
・初段:投の形のうち手技・腰技・足技
・2段:投の形
・3段:固の形
・4段:柔の形
・5段:極の形
・6段:講道館護身術
・7段:五の形
・8段:古式の形
例えば2段の「投の形」の場合、手技、腰技、足技、真捨身技、横捨身技の形を各3本ずつ披露します。
手技は具体的には手技は、浮落、背負投、肩車の3本。
このようにして計15本の投げ技の形を審査されるのです。
試験では形の審査に加えて筆記と口頭試問も行われて、昇段の可否が決まります。
難易度
段位の難易度に関しては、高校の柔道部なら初段、大学の柔道部なら2段までは比較的簡単です。
それは前述のように昇段試合での点数という項目があるから。
高校や大学で大会に出ていれば、その成績の点数が加わるため、昇段試験の資格を得やすいのです。
しかし社会人になってからだといきなり大変に。
大会に出ても部活動で練習を頑張っている現役の大学生や高校生と対戦することになるため、試合で点数を稼ぐことが難しくなります。
また昇段の難易度は3段以上になると一気に上昇。
それは2段までと比べて受ける人の本気度が段違いになるからです。
運悪く大学生の強豪などに当たったら1回戦で瞬殺ということも当たり前に。
昇段試合で点数を取ることがいきなり難しくなってしまうのです。
まとめ
年齢制限があるため、オリンピックなどで活躍する現役選手のほとんどは3段から5段。
そのため「黒帯は強い」というイメージにつながっていますが、実は同じ黒帯でも初段と2段の難易度はそれほど高くないのが実情です。
一方、7段以上になると単純な強さだけではなく、指導実績や柔道の普及発展に尽くした功績も加味されることに。
最高位の10段ともなると、入門者の12万人に1人しかなれる可能性はないとも言われています。
柔道で最高段位を目指すには、とてつもない修行と柔道への情熱、そして献身的姿勢が必要なのです。
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