空手の技はいくつくらい存在するの?
空手を見ていてそのような疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
例えば大相撲なら決まり手は82。
柔道の技は現在では禁じ手となったものを含めるとちょうど100になります。
では空手は?
実はその答えはとても曖昧なのです。
今回は、空手の技を解説。
基本技から近年流行の技、禁止技までご紹介します。
【空手】生まれては消える技
空手はそもそも琉球王国の「唐手」をルーツとする武道。
「唐手」の頃から数種の流派があった上、それが発展して空手になってからも多くの流派が登場しました。
現在では分かっているだけで流派の数は200以上。
世界の道場まで含めれば、把握できないほどの流派があるため、技の数も把握できないと言われています。
また空手が競技となってからは、伝統的な技の中にも消滅したものがあり、一方で次々に新たな技も登場。そのため把握することがさらに難しくなっているのです。
とはいえ多くの流派に共通して受け継がれている基本的な技も存在します。
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【空手】手技一覧
手技は手のどの部分で打つかによって分類され、狙う位置などによってもそれぞれに技の名前が変わります。
正拳
正拳(せいけん)は、拳の正面を使う打撃。
基本の技としては上段突き、中段突き、アゴ打ち、回し打ちなどがあり、組手でも直突き、下突き、レバー打ち、鎖骨打ちなど、幅広く使われます。
また踏み込む足が手と同じなら刻み突き、逆の足なら逆突きという名に。
その組み合わせでワンツー(刻み突き+逆突き)、逆逆(逆突き+逆突き)などの連続攻撃もあります。
裏拳
裏拳(うらけん)は、拳の背面を使い、上に突き上げるように当てる打撃。
正面打ち、左右打ち、脾臓打ちなどがあります。
手刀
手刀(しゅとう)は開手の小指側側面を使う打撃。
開くといっても指の間に空間があると指を傷めることになるため、密着させておくことが重要です。
顔面打ち、鎖骨打ち、鎖骨打ち込み、内打ち、脾臓打ちなどがあります。
その他の手技
その他の手技には以下のようなものがあります。
・背刀:開いた手の親指側側面を使う
・貫手:指先を使う。四本指、二本指、一本指がある
・一本拳:親指、人差し指、中指の第二関節を突き出す
・鶏口:指先を揃えて突く
・掌底:手首に近い掌で打つ
・平拳:指先を折り曲げ、掌を広げて打つ
・刀峰:開手の親指と人差指の股で喉を攻める
・弧拳:手首を内側に曲げ、手首の硬い部分で打つ
・鉄槌:拳の小指側側面で打つ
禁止技
伝統空手の形では上記の基本技を使いますが、組手では禁止されている技も数多くあります。
そもそも伝統空手は直接打撃をしない寸止めのため、指先を使うなどの技はほぼ無意味。
しかも怪我の危険性があるため、貫手による顔面攻撃は明確に禁止行為とされています。
また肘を使った攻撃も基本技にはありますが、組手では禁止。
喉への接触技も禁止のため、刀峰を使うこともありません。
ただしこの禁止事項も流派によって変わってきます。
【空手】蹴り技一覧
蹴り技は伝統的な技が比較的少なかったのが特徴。
中足で前方に蹴る「前蹴り」や、足刀で側方に蹴る「横蹴り」、かかとで後方に蹴る「後蹴り」などが主な技でした。
しかし現在は技の数が非常に多彩になっています。
回し蹴り
回し蹴りは、かつては存在しなかった技。
今では空手の代表的な技になっているだけでなく、キックボクシングやムエタイ、テコンドーなど多くの格闘技で使われています。
空手の回し蹴りの特徴は、膝を抱えて体全体を使って蹴ること。
蹴った後は足を引く「引き足」を行うことで、連続技として使うこともできます。
また空手の回し蹴りは上半身がほとんど動かないため、モーションから動きを読みにくいのも強みです。
前蹴り
前蹴りは、曲げた膝を一気に伸ばして前に蹴る技。
蹴り技の基本で、形によく登場する技ですが、試合で使うことはあまりありません。
それは攻撃が直線的で、しかも足が伸び切った瞬間しか技が決まらないから。
そのため試合での蹴りは回し蹴り系が主流になっているのです。
裏回し蹴り
裏回し蹴りは、回し蹴りとは逆に内側から回り、足の裏で相手を攻撃する技。
2000年以降に流行ってきた新しい技で、掛け蹴りとも呼ばれています。
カウンターにも単発技にも使え、出している間は太ももの裏で相手の攻撃を防ぐことにできる便利な技。
ただし軸足を刈り取って投げられることがあるのは弱点です。
回し蹴りには他にも多くの種類があります。
その他の蹴り技
その他の蹴り技には、以下のようなものがあります。
・前蹴上げ:足を伸ばしたまま前に蹴り上げる
・横蹴上げ:足を伸ばしたまま側方に蹴り上げる
・跳び蹴り:跳び後ろ蹴り、跳び後ろ回し蹴り、跳び膝蹴りなどがある
・胴回し回転蹴り:前方に回転して蹴る
・カカト落とし:足を振り上げて踵を落とす技
・子安キック:カポエイラにもある、片手で逆立ちする蹴り
禁止技
蹴り技の主な禁止技には膝蹴りがあります。
基本技や形には膝蹴りもあるのですが、伝統空手の組手では禁止。
またかつては金的蹴りも技の一つでしたが、今ははっきりと禁止されています。
その他の禁止技
伝統空手の組み手では、その他にもいくつもの禁止技があります。
その多くは攻撃する部位に関する禁止技。
例えば以下のような部位は禁止技とされています。
・喉への接触技
・腕への攻撃
・脚部への攻撃
・股間部への攻撃
・関節への攻撃
・足の甲への攻撃
禁止技を使うと、忠告、警告、反則注意、反則、失格の5段階の懲罰が与えられます。
まとめ
次々に新しい技が生まれ、また古い技が淘汰されてきた空手。
そのため伝統を守る「形」と、相手と戦う「組み手」では技の種類も違うものになってきています。
これからも空手は伝統を守りつつ進化していくはず。
数年後にはまた新しい技が流行しているかもしれません。
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