ペタンクは、パラリンピックで有名になったボッチャの原型になったスポーツ。
ボッチャは革などで包まれた柔らかいボールを使うのに対して、ペタンクは金属球を投げるのが特徴です。
マイナーに思えるスポーツですが、それは間違い。
日本では40万人、発祥国のフランスでは500万人が楽しんでいると言われています。
このペタンク、実は友人同士のレジャーや、生涯スポーツとしてもお勧め。
今回は、知って得するペタンクの魅力をご紹介します。
ペタンクとは
画像のように金属のボールを下手で投げてプレーするペタンク。
初めて見た方はいったい何をしているかよく分からないのではないでしょうか。
しかしそのルールはとても簡単です。
ペタンクのルール
ペタンクはカーリングに似たルールのスポーツ。
1人対1人、または2人対2人、3人対3人のチームで対戦します。
目標に向かってペタンクボールと呼ばれる金属球を投げ合い、決まった数を投げ終わった後に目標に最も近いボールの方が勝ちというルール。
ポイントは、負けた側の最も近いボールより内側にあるボールの数で、ここもカーリングに似ています。
1番目と2番目に近いペタンクボールが自分のチームで、3番目に近いのが相手チームのボールなら、自分たちに2点入ります。
違うのはカーリングのように目標の位置が決まっているのではなく、目標物としてビュットという小さな球を最初に投げることです。
上の画像では黄色い球がビュット。
ここがポイントで、場合によってはペタンクボールを当ててビュットを動かしてしまうこともできるため、一発逆転が可能となるのです。
また最初に交互に1球目を投げたら、次からは一番近いボールがあるチームではない方が投げるのも特徴。一番近くなるまではそのチームが投げ続けます。
そして両チームの持ちボールがなくなったら終了。
これもカーリングのように、最終的に最も近くなるよう、組み立てを考えながら投げることになります。
これを繰り返して得点を加算していき、先に13点に到達した方が勝ち。
一度やればすぐに覚えられるほどルールはシンプルです。
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フランス生まれの優しいスポーツ
このペタンクが生まれたのは1910年の南フランス。
ボールを投げて目標に近づけるスポーツは昔から世界各地にありましたが、ペタンクはそれを誰でも楽しめるよう改良したものなのです。
そもそも「ペタンク」という名前は、「両足を揃える」という意味。
それ以前の似た競技は助走をつけて遠くに投げるもので、体力やパワーが勝敗を左右していました。
ペタンクはそれを、足を揃えて金属球を近くに投げる競技に改良。
これはリウマチを患った選手が足を地面につけたまま投げやすいように変更されたと言われています。
この優しさが、フランスでサッカーに次ぐ競技人口とも言われるユニバーサルスポーツを生んだのです。
日本にはあの映画監督が持ち込んだ?
ペタンクが日本に伝わった経緯には諸説ありますが、最も有力とされているのは昭和40年代に俳優で映画監督の伊丹十三氏が持ち込んだという説です。
伊丹氏はフランスでペタンクを楽しんでいる人を見て興味を持ち、ペタンクボールを買って帰ったそう。
そして仲間と始めたところとても面白かった上に誰でも楽しめるスポーツだったため、日本でも徐々に浸透したと言われています。
ペタンクの魅力
発祥国のフランスだけでなく、世界中で人気となっているペタンク。
その魅力はどこにあるのでしょうか。
場所を問わない
伊丹十三監督がボールを買って帰り日本で楽しんだというエピソードからも分かる通り、専用のコートがなくてもどこでも楽しめるのがペタンクの大きな魅力。
ちょっとしたスペースがあればそこがコートになり、しかも公園のグラウンドでも、砂浜でも、場合によっては小石や草に覆われていてもOK。
自然な地面に対応することも勝負の一部なので、コートを整える必要もないのです。
実際にフランスではあちこちの公園や海岸などで気軽にペタンクを楽しんでいる姿を見ることができます。
年齢を問わず楽しめる
ペタンクは高齢者のオリンピックと言われる「ねんりんピック」の正式種目にもなっているスポーツ。
ゲートボールと同じで、激しく動き回ることなくプレーできるため、年齢を問わず楽しめるのです。
それどころかパワーが必要ないため、体力に溢れた10代20代の若者と80代のシニアが対等に勝負することが可能。
3世代が互いに遠慮することなく全力でプレーできるのも魅力です。
知的に奥が深い
戦略性に富んでいて奥が深いのもペタンクの大きな特徴。
初心者は単純にビュットに近づけるだけでも楽しめますが、上達してくると近づけるだけでなく、相手のボールに当てる、転がす、飛び越える、滑らせるなど、局面によって一球ごとに投げ方を変えることもできます。
またどのタイミングで相手の邪魔をして、いつ近づけるかなど、全体の組み立てを考えることも大切。しかもカーリングは平面ですが、ペタンクでは上級者になるとバウンドも計算した立体的な思考が必要になるのです。
このようにペタンクはかなり頭を使う知的スポーツ。
認知症予防のために続けている方も多いと言われています。
まとめ
優しさから生まれたユニバーサルスポーツ、ペタンク。
パワーは必要ない代わりに、先を読んだ戦術を立てる楽しみがあり、その作戦を実現するためのテクニックを磨く喜びもある、とても奥深いスポーツです。
またそこまでのめり込まなくても、金属球がカーン!と当たると爽快感があるところも人気の秘密。
ルールの説明も簡単で、ちょっとした空き地があれば楽しめますから、家族や友人とのレジャーに始めてみるのも良いかもしれません。
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