短距離走が苦手な子どもは、運動会の時期になると憂鬱になるもの。
でも自分は足が遅いからとあきらめているとしたら、それはまだ早いかもしれません。
短距離走には、簡単に実践できるコツがあるのです。
ポイントを押さえて正しい練習をすれば、もっと速く走れるはず。
ここでは、短距離走のコツと練習法をご紹介します。
【短距離走】速く走るコツ
短距離走を速く走るとき、とにかくスタートを早くしようと緊張する人がいますが、実はその必要はあまりありません。
体力テストにあるような50m走ではスタートはとても重要ですが、100m走や小学校低学年の50m走では、スタートダッシュが一瞬遅れても追いつくことは可能です。
それよりも問題なのは、スタートダッシュで地面を蹴ることに力が入りすぎてその後のフォームが乱れること。
短距離走で重要なのは、スタートではなくその直後の加速なのです。
コツ① 正しい加速姿勢
スタートで大切なのは地面を強く蹴ることではなく、前に倒れること。
スタンディングスタートでもクラウチングスタートでも、身体を斜め前に倒すようにスタートします。
そして加速は身体全体が前に倒れようとするのを前に出した足が支えるようにして行います。
背中が曲がると力が逃げてしまいますから、頭から地面を蹴る足先までが斜め45度の一直線のラインになるフォームをイメージします。
コツ② 強く蹴らない
速く走るためには地面を強く蹴り、身体を前に運ぶと思われがちですが、実はこれは間違い。
身体を前に運ぶのではなく、脚を前に出すことの方が重要で、実は着地した時点でそのための地面からの反動は十分に得ているのです。
ここで足先から足裏がバネになったとイメージ。
後ろに蹴るのではなく、着地した反動を使って膝を前に運びます。
この「膝を前に運ぶ」という動きが大切。
軸になっている足と前に出ている足で三角形を作ることを意識すると、膝が前に出やすくなるはずです。
コツ③ かかとをつけない
短距離走に慣れていない人がやりがちなのが、かかとや足裏全体で着地する走り方。
これでは地面の反動を生かすことはできません。
着地するときには親指の付け根の母指球を意識するのがコツ。
ここで着地した力を足先のバネで跳ね返し、膝が前に出るイメージです。
コツ④ 腕は後ろに引く
脚を前に出すためには、連動する腕の振りが重要というのは有名な話。
しかし腕を振ることを意識して前に向かって振ってしまうと、猫背になってバランスが崩れてしまいます。
実は腕を振る大きな理由は、バランスをとって体幹を安定させること。
そのためのコツは、肘を90度に曲げて腕を後ろに引くことです。
こうすれば胸を張って上体がまっすぐになった姿勢を作ることができ、体幹が安定します。
肩甲骨から大きく動かし、鋭く後ろに引くことが重要。
肩甲骨を意識すれば、連動して骨盤が動きやすくなり、脚が楽に前に出るようになるはずです。
また脚の回転数を上げるときにも腕の振りは重要。
脚のピッチを上げるよりも、腕の振りの速度を上げることを意識した方が、結果的に脚の回転数も上げやすくなります。
コツ⑤ 力を抜くところは抜く
速く走るためには力を抜くところは抜くことも必要。
例えばつま先がガチガチに硬くなっていたらバネが固まっているようなもので、地面からの反発をうまく使うことができません。
膝を前に運ぶために太ももの力は使いますが、膝から下はリラックスしていることが重要です。
また手を強く握って走ると腕や肩まで硬くなって、腕振りがスムースにできなくなってしまいます。
手の力も抜くのがコツ。
生卵を優しく持っているようなイメージで軽く握り、柔らかく使うことを意識してください。
【関連記事はこちら】⇩
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【短距離走】速く走る練習
つま先ジャンプ
かかとから着地してしまう人がタイムアップする最も手っ取り早い方法が、つま先着地を身につけること。
その練習は、直立したまま、つま先でジャンプするだけです。
親指の下の母指球で着地し、足のバネを柔らかく使ってジャンプ。
縄跳びのジャンプのイメージで行います。
これを続けながら身体全体を前に倒せば前に進みます。
それが短距離走の足先の使い方なのです。
登り坂道ダッシュ
速く走るためには膝を前に運び、軸足と前に出る足で三角形を作ることが重要ですが、そのためには接地したタイミングでもう一方の足の膝が軸足を追い越している必要があります。
実はこのタイミングは走りに慣れていない人にとってはけっこう早いもの。
タイミングが遅れるといわゆる「足が流れている」状態になり、失速の原因になってしまいます。
この足の切り返しを身につけるためには
登り坂道ダッシュが効果的。
登りの坂道を走れば平地よりスピードが落ちるため、足を切り返すタイミングを意識しやすくなります。
また傾斜があることで切り返し自体もやりやすいのがメリット。
ここで足運びのタイミングを身につけます。
下り坂道ダッシュ
速く走るためには歩幅を広くし、さらにピッチを上げることが必要です。
しかし無理をして脚の回転数を上げようとするとフォームが崩れがち。
早いピッチに身体を慣らす必要があるのです。
そのための練習が下り坂道ダッシュ。
緩い下り坂を走ることで平地では出せないスピードを体感し、早いピッチでもフォームが崩れないように身体を慣らすのです。
ただしスピードが上がりますから、いきなり全力は転びやすく、危険。
地面が柔らかい安全な場所で、徐々に慣れていくことが重要です。
まとめ
短距離走は正しいフォームとコツを身につけることが大切。
ほとんどの子どもは練習をせずに自己流で走っていますから、伸び代はとても大きいのです。
まずは身体の使い方を覚えて、タイムアップを目指してください。
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