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【サッカー】連帯貢献金とは?仕組みや制度について詳しく解説!

サッカーでは、所属クラブとの契約期間が残っている状況で、他クラブに移籍することがあります。
そのときの違約金のようなものが移籍金。
これについてはよく知られていますが、同時に発生することがある「連帯貢献金」については知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、大きな金額が動くこともあるサッカーの連帯貢献金について解説します。

【サッカー】連帯貢献金とは

あまり耳馴染みのない言葉である連帯貢献金とはいったい何でしょうか。
これについてFIFAの規約には以下のように書かれています。

プロ選手が契約年数が残っている期間に移籍する場合、所属元クラブに支払われる移籍金(※育成補償金を除く)の5%を「連帯貢献金」として選手の育成に関わったクラブに分配しなければならない。連帯貢献金は、12歳から23歳の誕生日を迎えるシーズンまで登録されていた年数によって決まる。

これは2001年にFIFAが定めたもの。
国際移籍をするような優秀な選手を育てたクラブがその対価を得られる制度として制定されました。

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【サッカー】連帯貢献金の仕組みや制度

そもそもサッカーの移籍金は、新所属クラブから元所属クラブへ支払われるもの。移籍する選手には全く分配されません。
一方で、FIFAの規約にある通り、移籍金の5%は移籍金を得た元所属クラブからその選手が12歳から23歳まで過ごした各クラブへ分配されることになります。これが連帯貢献金の仕組み。
「クラブが育てた選手のおかげで利益を上げたので、一部そのお返しをする」という形で、選手を育成したクラブにも報いることになるのです。

連帯貢献金に関する制度

この連帯貢献金はJリーグから海外のクラブに移籍した場合に適応されますが、国内移籍では発生しません
連帯貢献金を得るためには海外で通用する選手を育てる必要があるのです。
そして連帯貢献金は育成したクラブ側の申告制であるところが特徴。
申告しなければ貰うことはできず、所属したクラブが公立の中高校だった場合には申告しないこともあります。

金額の算出方法

12歳から23歳までの長い期間が対象になるため、連帯貢献金はいくつかの所属クラブで分配することになるのが一般的。
その場合、分配金の算出方法は所属していた年齢によって2つに分けられます。

12歳~15歳の所属
移籍金の0.25%×在籍年数分(最大4年)=最大で1%

16歳~23歳での所属
移籍金の0.5%×在籍年数分(最大8年)=最大で4%

この結果、もし12歳から23歳までずっと同じクラブに在籍していたら、移籍金全体の5%が育成クラブに支払われることに。
所属クラブが複数ある場合は、所属年数に応じて各クラブに分配されます

実際の例・岡崎慎司選手

では実際の連帯貢献金の一例を見てみましょう。
2015年夏、岡崎慎司選手がマインツからレスターへ移籍しました。
その際の移籍金は13億2000万円。
その5%の6500万円が連帯貢献金となりました。
そして計算をすると分配は以下のようになります。

宝塚ジュニアフットボールクラブ(12歳〜15歳):0.25%×4年=1300万円
滝川二高(16歳〜18歳):0.5%×3年=1950万円
清水エスパルス(19歳〜23歳):0.5%×5年=3250万円

連帯貢献金の利用法

選手を育てたクラブに数千万円もの利益をもたらす連帯貢献金。
このお金は多くの場合、さらに次世代の選手を育てるために活用されます。
例えば2020年にザルツブルクからリバプールに移籍した南野拓実選手は、輩出したセレッソ大阪に連帯貢献金として推定約3380万円をもたらしました。
さらに2022年に南野拓実選手は、モナコに移籍。この際には約8400万円の連帯貢献金が発生したと推定されています。
セレッソ大阪はこの資金を選手育成の強化費として活用。
「育成型クラブ」を目指すクラブにとって大きな力となっているのです。

【サッカー】育成補償金

FIFAの連帯貢献金の規約には育成補償金という言葉が出てきました。
この育成補償金とは何のことでしょうか?

育成補償金とは

育成補償金(トレーニングコンペンセーション)は、移籍金が発生しなくても育成クラブにお金が支払われる制度
こちらもFIFAが定めた国際的なルールとなります。
選手が初めてプロ契約を結んだ際や、23歳の誕生日を迎えるシーズンまでの間に国際間移籍が行われた場合に、育成クラブに支払われることに。
受け取る資格のあるクラブは、初めてのプロ契約の場合は、12歳になるシーズンから21歳になるシーズンの10年間に育成・教育に関わったクラブです。
また国際間移籍の場合は、その移籍の直前に所属していたクラブのみが対象。
育成補償金は強豪リーグほど高くなっていて、最高額のUEFAのカテゴリー1に移籍した場合、年間9万ユーロ×在籍年数。12歳〜15歳はカテゴリー4扱いで年間1万ユーロ×在籍年数になります。
またこちらはJリーグ内での移籍でも発生。
高校や大学からJリーグ入りした場合にも、それぞれ支払われます。
高校や大学に入る育成補償金は数十万円程度ですが、海外への移籍では高額になることも。
例えば2010年にセレッソ大阪からドルトムントへ香川真司選手が移籍した際には移籍金は0円で連帯貢献金はありませんでしたが、香川選手は当時21歳だったため、育成補償金が発生。
4年間在籍したセレッソ大阪には約4000万円の育成補償金が入りました。

まとめ

選手にお金が入るわけではない連帯貢献金や育成補償金という制度。
一見すると不思議な制度ですが、各クラブは金銭的なメリットが大きいため、下部組織での選手育成に力を入れることができます。
結果的に少年サッカーの育成環境が向上することに。
サッカーが発展していくためにも、連帯貢献金や育成補償金は大きな意味を持っているのです。

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