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ゲーリックフットボールの歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】

この世界で今もなお生まれ続けている、たくさんのスポーツたち。

今日も私達をテレビで、ネットニュースで、動画配信で楽しませてくれています。スポーツと言葉にすれば、多くの人はオリンピックやワールドカップで行われるような、世界的人気スポーツの数々を思い浮かべることでしょう。

しかし、世の中には日本人がまだ知らない、そして逆に世界の人々が知らない日本だけのスポーツも様々存在しています。

それぞれの国の国技と呼ばれるスポーツなどは、当初はその国だけで親しまれて愛されていたものが殆どであることでしょう。

それがいつの間にか改良や正式ルールの制定を得て、世界中に広まった結果オリンピックなどで採用されるメジャー競技に進化することもあります。

そんな、さらなる飛躍が期待できるスポーツがアイルランドにあります。

それがアイルランドの国技とも言われるスポーツ、ゲーリックフットボールです。

今回は、そんな“手を使うサッカー”とも言われる競技を紹介していきます。

ゲーリックフットボールの起源・歴史について

”手を使うサッカー”、と言われてもピンと来ない人は多いのではないでしょうか。実際、サッカーは手を使ってはいけないとされるスポーツの代表格です。

ボールを手で触っていいのはキーパー(それも特定のエリアでのみ)だけ、それ以外の選手が触れたらハンドという反則を取られてしまう、というのはもはや周知の事実であることでしょう。

しかし、このゲーリックフットボールは全くの逆です。何故ならば足でドリブルして運ぶサッカーとは違い、ボールは基本手で抱えて持って走るものであるからです。その様子は、サッカーよりラグビーに似ていると感じるかもしれません。

そんなゲーリックフットボールが生まれたのは、先述したようにアイルランドでのことです。

起源は16世紀から17世紀頃にあるとされ、フットボール発祥時の形に一番近い競技であるとも言われています。

実際に今の形で初めてプレイされたのは1884年のことだとされています。

同年にクレア県出身のマイケル・キューザックによって、ゲーリック体育協会が設立されました。

ゲーリック体育協会は、ゲーリック・ゲームズと呼ばれる伝統的なアイルランドのスポーツの統括と普及を目的とした団体です。本部はアイルランド共和国のダブリン市のクローク・パークにあります。

ゲーリックゲームにはゲーリックフットボール以外にも、ハーリングカモギゲーリックハンドボールラウンダーズなどがあり、会員は現在約80万人もいるそうです。人口500万人ほどのアイルランド島で最大の組織と言えます

ちなみにゲーリックとはゲール語(アイルランド語)という意味であるそうです。

日本におけるゲーリックフットボールの歴史について

正式に日本にやってきたのがいつかはわかっていません。

しかし、JapanGAA(日本ゲーリック体育協会)がボランティアによる非営利団体としてスタートしたのは、90年代半ばのことだったとされています。

公式ホームページによると「日本、そしてアジアで、主にゲール由来のスポーツとアイルランド文化を通して、国際交流や相互理解を進めて行くことを目的として活動しています」とのこと。

メンバーは国際色豊かであるといい、アイルランドと日本のみならず、中国、マレーシア、イングランド、スコットランド、ウェールズ、USA、オーストラリア、スウェーデン、ニュージーランド、カナダなど様々な人々が集って交流を楽しんでいるそうです

近年は少しずつ日本の会員が増え、日本代表としてアジア大会に参加するようになったとのこと。

その活動は日本での文化関連イベント以外にも広がっています。

ゲーリックフットボールと関連のあるスポーツ

先述したように、ゲーリックフットボールは原初の“フットボール”の姿を最も強く残したスポーツの一つと言われています。

現在ではフットボールと一言で言ってもその種類は多岐に渡り、ルールも形状も非常にまちまちです。

日本では“サッカー”の名称で親しまれているこのスポーツもフットボールの一種であり、そもそも世界的にはフットボールと言った場合サッカーを示すことが多いのです。

特に、イギリスでフットボールと言えばまずサッカーを指しています。

しかし、アメリカでは国技の一つとも言うべきスポーツであるアメリカンフットボールを指すことが基本であり、カナダではカナディアンフットボールも表し、オーストラリアでは、地域によってラグビーまたはオーストラリアン・ルールズ・フットボールを表すこともあります。

それほどまでに、原型のフットボールから進化したスポーツは数多く存在するのです。

フットボールの語源は、主に二つの説が有力視されています。

「football」(あるいはfoot ball)はボール (ball) を足 (foot) で蹴る動作を意味しているという説。

そして中世ヨーロッパにおいて「徒歩で (on foot)」で行われていた様々な競技を元々意味しているという説です。

しかし、少なくとも現在のフットボールは足で蹴る動作をするものばかりではなく、徒歩で行うものは極めて少ないと言えます。

語源と現在の競技内容がやや異なるという点も、各種フットボールの面白い点なのかもしれません。

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サッカーの歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】
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ゲーリックフットボールの競技人口について

世界的にはまだマイナースポーツの域を出ないゲーリックフットボールですが、アイルランドでは4つの国技の一つとして数えられ、その中でも最も人気のあるスポーツだと言われています。

アイルランドの人口は約500万人程度であり、広さは北海道程度ですが、なんとその面積の中に2400以上のクラブが存在しています。

これはどの町にも一つはゲーリックフットボールのクラブがあるのでは、というほどの数です。

当然試合も毎回大盛り上がりを見せ、国内で開催される試合では1試合で8万人以上を動員することもあるのだそうです。

これは、日本国内で最大の収容人数を誇るスタジアムである横浜・日産スタジアムの72,000席を上回る数字であり、いかにこのスポーツがアイルランド人に愛されているかがよくわかることでしょう。

アイルランドから多くの移民が移り住んだとされているアメリカでも広がりを見せており、ニューヨークを中心に全部で123クラブがあるとのこと。

ヨーロッパにも多くのクラブが存在し、またアジアでは全部で22のクラブがあるそうです。

アイルランド以外の国には、合計して400ほどのクラブがあると言われ、世界的にも人気が高まりつつあるスポーツなのです。

ゲーリックフットボールのルールについて

2チームに分かれて得点を競う、攻守混合型のゲームとなっています。

ゲーリックフットボールで使用するボールは見た目だけならバレーボールに似ていますが、バレーボールよりも若干大きく、バレーボールと比べると遥かに重いのが特徴です。

バレーボールが重さ260~280gとされているのに対して、なんとゲーリックフットボールのボールは480~500gもあります。

これは、410~450gとされるサッカーボールよりもさらに重い数字です。

そしてフィールドも、サッカーより広く設定されています。

全体的に非常に縦長であり、全長も全幅もサッカーフィールドを上回っているのです。

さらに特徴的なのがゴールの形状で、使用しているのはサッカーゴールと同様の物ですが、ゴール上部にラグビーで使用されるようなH型のクロスバーが設置されているのです。

このゴールの前でゴールキーパーが立ちふさがるのは、サッカーと同じです。

違いは、得点が異なること。ゴール部分に入った場合は3点が入り、H型バーの上を通過した場合は、1点を獲得することができるのです。

ラグビー同様、1チームは15名。しかしラグビーと違うのは、ボールを持って進める歩数が決まっているということ。

ボールを所持したまま進めるのは4歩までと決められており、更に1回ボールをバウンドさせると追加で4歩進むことができます。

つまり、一度に一人のプレイヤーが進むことができるのは最大8歩まで。8歩以内に、パスやシュートといったアクションを起こさなければいけません。

ただし、ボールを投げることは禁止されています。パスを出すためには、拳でボールを打つ(フィスト)必要があるのです。

また、ラグビーなどのようにタックルは禁止されています。

ゲーリックフットボールの国際的な大会について

現在もアイルランドには数え切れないくらいの大会やリーグがあり、中でも年1回夏に行われる「オールアイルランドチャンピオンシップ」が最大の大会として盛り上がりを見せています。

アイルランドにある32郡それぞれで選抜された代表チームがトップを目指して優勝を競う大会だそうです。

世界的には、8つに分割された地域それぞれで大会が開かれているとのこと。

アメリカ、イギリス、オーストラリアなどで規模の大きい大会が開催されているようです。

大きな世界大会はまだ多く開催されていませんが、その中で世界にある400のクラブを対象とした「ワールドゲームス」という世界大会が、3年に1度開かれています。

2019年に行われた際は、100チーム1,300人が参加したそうです。

世界から見た日本のゲーリックフットボールの強さのレベル

日本人の選手達も、ゲーリックフットボールの数々の大会に出場を果たしています。

世界での実力は未知数ですが、日本ゲーリック体育協会に所属する女子チームは2016年のオールアジア大会にて女子チームはジュニアカップ・トーナメント優勝するに至りました。

男子チームは、2016年の北アジア大会にて優勝するという実績を収めています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

まだまだ日本での大会が開催されておらず、日本での認知度が低いスポーツであるのは確かです。

しかし、世界では祖国アイルランドを飛び出し、多くの国のクラブチームで愛される競技へと日々進化を遂げています。

タックルがないので安全に行うことができるというのも、このスポーツの魅力のひとつ。興味を持った方は、是非さらに詳しくチェックしてみてください!

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初音

初音

おうちでまったり、頑張る人達を応援するのが好きです。

インドア派ですが、スポーツをはじめ頑張っている人達をおうちで応援してる系ライターです。子供の頃は水泳大好き少女でした。運動音痴だけどスポーツ見るのは大好きです!

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