50歳まで現役を続けた山本昌投手、西武の黄金期を支えた潮崎哲也投手、史上最高のアンダースローと称えられた山田久志投手など、名だたるピッチャーが武器にした変化球がシンカーです。
「消える魔球」と呼ばれることもあるシンカーは、どうやって投げるのでしょうか?
今回はシンカーの投げ方や握り方をご紹介。
どのような場面で使われるのかも解説します。
【シンカー】とは
シンカーは英語でもそのまま「Sinker」。
この言葉の「Sink」は沈むという意味で、シンカーは沈むボールということになります。
球速が遅いのも特徴です。
フォークボールとの違い
同じように沈むボールの代表にフォークボールがあります。
フォークボールはまっすぐ落ちるボール。
これに対してシンカーは利き手側に曲がりながら落ちるのが特徴です。
利き手側に曲がる変化球といえばシュートがありますが、シンカーはシュートとフォークを合わせたような軌道になります。
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スクリューボールとの違い
シンカーと同じような変化球にスクリューボールがあります。
右ピッチャーが投げればシンカー、左ピッチャーが投げればスクリューと呼ぶ人もいますが、厳密にはこれは間違い。
シンカーとスクリューの両方を武器にしているピッチャーもいます。
一般的には、利き手側に曲がりながら沈むボールがシンカーで、利き手側に曲がりながら緩やかに落ちるボールがスクリューという定義です。
しかしその線引きは曖昧で、同じ球種に分類されることも。
投げたピッチャーがシンカーだといえばシンカー、スクリューだといえばスクリューになります。
【シンカー】投げ方
多くの変化球に言えることですが、シンカーの投げ方は1つだけではありません。
ボールの握り方、腕の振り方それぞれにいくつかの種類があり、ピッチャーそれぞれが最もやりやすい投げ方を選ぶことに。
ここでは代表的な方法をご紹介します。
ボールの握り方
ストレートの握り方は、人差し指と中指が上で親指が下になる二等辺三角形でボールを支え、薬指と小指は折り曲げてボールに添えるだけです。
これに対してシンカーのボールの握り方には、以下のような特徴があります。
・薬指と小指も伸ばして鷲掴みに近い握りになる
・中指を縫い目に掛ける
・人差し指と小指にはほとんど力をいれない
・事実上ボールを支えるのは中指・薬指、親指の3本
・投げるときには中指と薬指の間からボールを出す
そして指が長めの人は5本の指を正五角形に配置するイメージで握りますが、指が短めの人は中指と薬指の間を大きく開けて握ります。
他に親指をほとんど使わず、人差し指、中指、薬指の3本で握る方法や、中指の外側と親指だけ縫い目に掛ける握り方も。
自分にとって最もシンカー回転をかけやすい握り方を見つけることがポイントになります。
投げ方① サイドスロー・アンダースローでの投げ方
腕を横に振るサイドスローやアンダースローは横向きの回転をかけやすい投げ方。
手のひらを下に向け、中指と薬指の間からボールを抜きつつ、ボールを撫でるように投げればシンカー回転がかかります。
卓球のスマッシュを打つイメージで振るのがコツ。
このとき手の甲を顔の方に向ければ横の変化が大きくなり、手の甲を空に向ければ縦の変化が大きくなります。
投げ方② オーバースローでの投げ方
オーバースローは縦の振りになるため、シンカー回転はかけにくい投法。
スリークォーター気味の方がより投げやすくなります。
ポイントは腕を外側に向け、ボールの上部を切るように投げること。
手の甲を自分の顔の方に向け、縫い目に引っ掛けた中指で回転を与えながらリリースします。
どの投げ方でも変化球であることが一目瞭然にならないよう、腕の振りはストレートと同じにすることが重要です。
【シンカー】使うべき場面
ではシンカーはどういった場面で何を狙って投げる変化球なのでしょうか。
シンカーは速度が遅くなる変化球。
三振を狙いたい場面では使いにくいボールです。
一方で打ち取りたい場面ではとても有効。
ストレートとの速度差を生かし、緩急と内外の使い分けによって打たせて取るボールとなります。
利き腕側のバッターに対して
右ピッチャー対右バッター、左ピッチャー対左バッターの対決では、シンカーはバッターの内角に向かって落ちていきます。
バッターに近づいていくため、甘いコースに投げると簡単に打たれる可能性も。
組み立てで外角を意識させ、踏み込んできたところでシンカーを投げて詰まらせるのが定石となります。
速球を意識させたところで遅いシンカーを投げ、引っ掛けさせるのも有効です。
利き腕と反対側のバッターに対して
右ピッチャー対左バッター、左ピッチャー対右バッターの対決では、シンカーはバッターの外角側に向かって逃げながら落ちていきます。
バットが届かないコースに投げることができますから、外角のボールになるシンカーを投げて空振りを取るのが有効。
逆に内角のボール球からストライクゾーンに入るシンカーを投げれば、腰を引いた状態でバットを振らせ、打ち取ることもできます。
まとめ
利き手側に曲がりながら落ちるシンカーはカーブやチェンジアップ、スライダーと比べて習得が難しい変化球です。
それだけに投げるピッチャーは比較的少なく、バッターが慣れることもできないため、身につければ強い武器になる可能性も。
プロにもシンカーを習得して一気に開花したピッチャーがたくさんいます。
ピッチャー志望の方は、自分に向いているかどうか、一度練習に取り入れてみるとよいかもしれません。
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