まわし一枚を身に纏い、力と技でパワフルに戦う格闘技、相撲。
日本の国技として名高い相撲ですが、大相撲中継を一度でも見たことのある人ならば、外国人力士の多さに驚かされることでしょう。
今や日本の大相撲の世界を目指し、諸外国から力自慢たちが集まってくる時代。
特に白鵬関をはじめとした、モンゴル人力士たちの活躍は目を見張るものがあります。
しかし、我々がテレビで熱狂する力士、特に横綱に至るまでには、数多くの試練を乗り越えなくてはいけません。
そもそも力士とは、どういった人たちのことを指すのでしょうか?
そして、その頂点に君臨する、横綱という称号を得るためにはどうすれば良いのでしょうか?
今回は、そのトップ・オブ・トップ、横綱に至る道をご紹介します。
力士とは?
力士とは、いわゆる相撲をする人全般を言いますが、厳密には相撲部屋に所属して四股名を持ち、プロとして大相撲に参加している選手達のことを言います。
この場合、いわゆる“関取=十両以上”の選手である必要はなく、序二段などの階級の選手であっても力士とは呼ばれます。
つまり、厳密にはプロではない高校相撲の選手や、大学相撲などのアマチュアで活躍する選手のことは力士とは呼ばれないのです。
また幕下以下の選手の場合は、力士養成員と呼ばれることもあります。
元々は、農作物の実りなどを祈り、神様に感謝を捧げるための神事としての側面が強かった相撲。
古事記などにおいては、かのタケミカヅチとタケミナカタなどの神々が、国譲りを巡って相撲を取ったという記述も残されているほどです。
化粧まわしが、神社の注連縄(しめなわ)に似ていると思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
それらはつまり、神様の依り代(よりしろ)になって神通力を備え、そのご利益を受け取る特別な存在として扱われていたという証でもあるのです。
まずは力士になるために
横綱になるためには、まず第一に力士として認められなければなりません。
新弟子検査に合格して、部屋入りを果たすことから全てが始まります。
日本大相撲協会によれば、新弟子検査の基準は「義務教育を修了した健康な男子であり、所定の身長・体重の基準を満たした上で、一般的には23歳未満。
指定の社会人や大学のアマチュア大会で、一定の成績を残した人については25歳未満であること」が条件であるとされています。
この所定の身長と体重というのは、身長167cm以上、体重67kg以上を指します。
例外として、三月場所の新弟子検査受験者の中で、中学卒業見込み者に限り少しハードルが下がり、身長165cm以上、体重65kg以上となっています。
何故、身長と体重が一定以上なければ、力士になることさえできないとされているのでしょうか。
それは日本の大相撲が無差別級だからこそ。一定以上の身長と体重なくしては、危険が避けられないためと言われています。
力士と関取
力士と関取。二つの名前は混同されがちですが、実は全く意味が異なります。
そもそも関取というのは元来、大関のことを指す異称であったのだとか。
名乗っただけで関所を通ることができる、ということに由来していると言われています。
現在は、先述した通り十両以上の力士のみを関取と呼ぶのが一般的です。
十両以上の関取と、幕下以下の力士たちとでは待遇が大きく異なります。
何よりもまず、関取には日本相撲協会からきちんと月給が出るということ。
場所ごとに与えられることになる力士褒賞金、引退時の退職金も関取とそれ以外では大きく異なります。
化粧まわしが用意され、本場所で毎日土俵入りを行うのも関取のみ。他にも多くの待遇の差があります。
また、これは案外知られていないものですが、結婚を許されていたり、ファンにサインを書くことが許されているのも実は関取のみだったりします。
では、その関取になるためにはどのようにすればよいのでしょうか。
大会などで大きな成果を挙げた一部の力士のみ、最初から一定の階級からのスタートになりますが、多くの力士は一番下の“序ノ口”から階級を駆け上がっていかなくてはなりません。
力士の階級は、毎場所後に行われる番付編成会議で地位が上下することになります。
場所ごとに良い成績を残せば残すほど、次第に階級が上がっていくことになります。
階級は上から順に、横綱、大関、関脇、小結、前頭。
ここまでが幕内。次に十両があり、力士養成員として幕下、三段目、序二段、序ノ口とあります。
十両になるまでに、まず長い道のりがあるのです。
横綱になるには
その長い長い階級の頂点にあるものこそ、横綱という称号です。
十両を越え、さらに幕内の中で勝ち続けることだけでも非常にハードな試練であることでしょう。
その名称は、横綱だけが腰に締めることを許されている白麻製(しろあさせい)の綱に由来するのだそうです。
その横綱になれるのは、どんな力士なのでしょうか。
大相撲の横綱審議委員会が定める横綱推薦の内規によれば、品格、力量が抜群であることが大前提とされています。
また、横綱の一つ下の階級である大関であること、大関で二場所連続優勝することが原則とされています。
大関まで登りつめた上、二場所連続での優勝ともなれば、最高位の名を冠するに相応しいと言っても過言ではないでしょう。
他には、出席委員の3分の2以上の決議を必要とし、品格に関しても日本相撲協会の確認に基づき十分に審議することがあります。
横綱と呼ばれる存在は、ただ強いのみならず、多くの力士達の手本となる品格、相撲への強い責任感などが求められるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
長い長い道のりを経て、その腰に横綱を巻く関取は、やはり風格も重みも段違いであるようです。
大相撲中継を見る時、そして横綱の取り組みを見る時はぜひ、その地位の重みと歴史に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
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