クローザーは、野球の試合の終盤でよく聞く言葉。
9回裏、守備側がわずかにリードの場面でクローザーが登板、などということがありますが、このクローザー、どのような定義なのでしょうか。
ここではクローザーの意味と役割、クローザーに求められる能力などを解説します。
野球のクローザーとは
クローザーは最終回のリードしている場面に登場する投手のこと。
閉じるという意味の「close」に人を表す「er」が付いた言葉で、「試合を勝利で閉じる人」という意味がある英語です。
クローザーの類義語
クローザーと同じ意味の日本語は「抑え投手」。和製英語では「ストッパー」とも言います。
またクローザーとして絶対的な信頼を得ると「守護神」とも呼ばれます。
クローザーとリリーフの意味の違い
クローザーと同じように使われる言葉に「リリーフ」があります。
しかしその意味は大きく違い、「リリーフ」は先発投手以外の総称。中継ぎとクローザーを合わせた大きなくくりとなります。
これに対して中継ぎやクローザーは役割を表す言葉。中継ぎには「ワンポイント」「セットアッパー」「ロングリリーフ」「敗戦処理」といった種類があります。
クローザーは先発投手や中継ぎに続いて最後に登場し、試合を締めくくる役割です。
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野球にクローザーが必要となった背景
かつての投手は先発した投手が完投を目指すのが一般的でした。
しかし投手の故障が多くなることや、試合後半に球威が落ちて打たれやすくなることから、プロ野球は徐々に投手分業制に変わってきました。
近年では先発投手が100球前後を投げ、セットアッパー、クローザーと継投していく形が定着。まだ投げられるという状況でも先発投手が交代する形が普通になっています。
このような変化の中で、リードした試合を確実に勝ち切るクローザーの役割が非常に重要になっているのです。
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クローザーの役割
クローザーはリードした場面で登場しますから、リードを保ったまま勝つことがその役割となります。
チームの調子が良いシーズンには毎試合のように登板。
この人が登場したら絶対に負けないという勝ちパターンを作ることがクローザーの理想です。
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クローザーに求められる能力
クローザーが登場するのは試合の終盤。それも大量リードではない緊迫した場面で投げることが多くなります。
そのためクローザーには、先発投手や中継ぎ投手にはない特別な能力が求められます。
確実な決め球
クローザーにまず求められるのは、打たせて取るのではなく三振を奪う力があること。
なぜならクローザーが登場する場面では犠牲フライや内野ゴロの間の1点、エラー絡みの1点も許されないことがほとんどなのです。
そのためクローザーには速いストレートやよく落ちるフォークなど、確実に空振りを奪える決め球が必要となります。
強力な決め球があればバッターは球種を絞る必要があり、他の球種も活きてきます。
結果として無失点で逃げ切れる可能性も上がるのです。
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メンタルの強さ
クローザーが登場するのはほとんどが勝っている試合。
抑えて勝つのが当然で失敗はできないという場面になるため、かなりのプレッシャーになります。精神的に追い詰められる場面でも動じない図太いメンタルが求められるのです。
またクローザーは自分が失敗して試合に負けた翌日にまた登板ということも。
失敗を引きずらず、気持ちを切り替えられる強さも必要になります。
体力
クローザーは投げても1イニング以内ということが多く、先発投手と比べて体力は必要ないという気がしますが、これは間違い。
毎日のように登板機会があるクローザーは、常に万全の準備をしておかなければなりません。
短い投球や、投球がない日でさえもかなりの体力を消耗しているのです。
そのような日々がワンシーズン続くのですから、前日の疲れを次の試合に持ち越さない長期的な体力とスタミナが求められます。
対応力
クローザーは毎回違った場面で投げることになります。
これまでのゲーム展開、点差、アウトカウント、走者の有無、相手の打順など、千差万別となる状況にすぐに合わせる対応力は必須。
場面に合わせた投球をして点を取らせないことが重要です。
フィールディング
ピッチャーにとっても守備のうまさは重要ですが、クローザーは前述のように1点も許せない場面が多いため、フィールディング能力が特に求められます。
自分のところに打ってきたら確実にアウト1つが取れると思えればピッチングに集中できるもの。
逆にフィールディングに自信がないとピッチングにも悪影響が出やすくなります。
絶対的信頼感
実際に勝つことも重要ですが、先発投手陣に「あいつまで繋げれば勝てる」と信頼してもらえることも大切。
安心して後を任せられるクローザーがいれば先発投手は試合前半に実力を出し切れます。
そのためには実力と同時に人柄も重要となります。
日本プロ野球の名クローザー
プロ野球の常勝チームに必要な守護神。ではこれまでにどのような投手が守護神=絶対的クローザーとして活躍しているのでしょうか。
セーブ数ランキング
クローザーの能力を示す最大の指標が「セーブ数」。チーム事情などに影響される面もあるとはいえ、セーブ数が歴代ランキングに入るような投手は間違いなく守護神だといえます。
ここでは2023年シーズン終了時点の歴代セーブ数ランキングをご紹介します。
順位 | 名前 | セーブ数 | 現役期間(※は現役) |
1位 | 岩瀬仁紀 | 407 | 1999〜2018 |
2位 | 高津臣吾 | 286 | 1991〜2007 |
3位 | 佐々木主浩 | 252 | 1990〜2005 |
4位 | 藤川球児 | 243 | 2000〜2020 |
5位 | 平野佳寿 | 242 | 2006〜2023※ |
6位 | 松井裕樹 | 236 | 2014〜2023※ |
7位 | サファテ | 234 | 2011〜2018 |
8位 | 小林雅英 | 228 | 1999〜2011 |
9位 | 山﨑康晃 | 227 | 2015〜2023※ |
10位 | 益田直也 | 218 | 2012〜2023※ |
現役投手がランキングトップ10に4人も入っていますから、今後、ランキングが大きく変わってくかもしれません。
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まとめ
プロ野球で日本一となるチームにはほぼ確実に理想的なクローザーがいます。
「絶対的守護神がいれば常勝チームになれる」と言われるほどクローザーは重要。
中学や高校の野球でも投手の分業制が進んでいますから、これからは部活レベルでもクローザーの存在が注目されるかもしれません。
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