チェスは西洋の将棋のようなゲーム。
かなり知的で上品な印象がありますが、ルールが難しそうと敬遠している方も多いのではないでしょうか。
とはいえ日本人の多くが知っている将棋の基本を覚えていれば、チェスは難しいゲームではありません。
ここでは、ぜひチャレンジしてみたいチェスのルールをご紹介。
基本的な考え方や、将棋との違い、駒の動かし方、チェスならではの特殊なルールについて解説します。
【チェス】の基本ルール
チェスは基本的には将棋とほぼ同じゲーム。
どちらもインドのチャトランガというゲームがその発祥で、考え方はとても似ています。
それぞれに特徴的な動きをする駒を一手ずつ交互に動かし、相手と同じマスに入れば相手の駒を取ることができ、相手のキング(将棋の「王将」)を絶対に逃げられない状況(将棋の「詰み」)に追い詰めれば勝ち。
違いは以下のような部分になります。
将棋 | チェス | |
駒の数 | 1人20個 | 1人16個 |
駒の種類 | 8種類 | 6種類 |
マスの数 | 9×9 | 8×8 |
取った駒の扱い 自分の駒として | 使える | 使えない |
引き分け | なし | あり |
最も大きな違いは、相手から取った駒を自分の駒として使えるかどうか。
これができるため将棋は考えるべき作戦が非常に複雑になりますが、チェスにはこのルールはありません。
そのためゲームとしての難易度はチェスの方がはるかに低いと言われているのです。
また将棋は終盤に向かうほど駒を再利用してどんどん相手を攻めていきますが、駒が減る一方のチェスは終盤になるほどシンプルで静かな攻防になっていきます。
大きな違いはこの程度。
あとはそれぞれの駒の動き方と、ほんの少しの特殊ルールを覚えるだけです。
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【チェス】ルール 各コマの並べ方と動かし方
まずは盤の上に駒を並べます。
盤のマスは白と黒(カラー)が交互に並んでいますが、白いマスが右下。
手前から2列目にはポーン8つを並べ、最も手前の一列に残りの駒を並べます。
両端から順に、ルーク、 ナイト、 ビショップ。
中心のキングとクイーンは特徴的で、白クイーンは白マス、黒クイーンは黒マスに置きます。
こうしてキングとクイーンは相手と向かい合う形にするのです。
次にそれぞれの駒の特徴を、将棋と比較しながら解説します。
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キング
キングは将棋の「王将」にあたる駒。
この駒が詰められると負けになる、最も大切な駒です。
将棋の王将と同じで、縦横斜めに1マスずつ移動できます。
クイーン
クイーンは将棋の「飛車」と「角」を合わせた最も強力な駒。
縦横斜めのどの方向にも、何マスでも移動できます。
ルーク
ルークは「塔」、「城 」という意味で、塔のような形をしています。
将棋の「飛車」にあたる駒。
縦横の方向には何マスでも移動できます。
ビショップ
ビショップは「僧正」という意味で、キリスト教の司祭の冠に似た形の駒です。
将棋の「角」にあたる駒。
斜めの方向には何マスでも移動できます。
ナイト
ナイトは「騎士」という意味で、馬の形の駒です。
将棋の「桂馬」に似ているのですが、2つ前進して1つ左右に移動する動きを、桂馬のように前だけでなく、前後左右に行えるのが特徴。
さらにナイトは、移動途中に他の駒があっても飛び越えることができます。
ポーン
ポーンは「兵隊」という意味。
将棋の「歩」に似ているのですが、違いもあるため注意が必要な駒です。
ポーンは以下のような特徴を持っています。
・前に1マス移動できる
・ただし1マス前に相手の駒がいると、取れないし動けない
・相手の駒が斜め1マス前にいるときのみ、その駒を取って斜め前に動ける
・最初に動くときだけ2マス前に移動できる
【チェス】ルール チェックとチェックメイト
チェスでは最終的にどのようにして勝敗が決まるのでしょうか。
チェック
チェックはキングを攻撃し、次の一手で取れるようにすること。
将棋の「王手」にあたります。
こうなると相手はキングを取られないように動くことに。
ただしこのチェックは相手に防ぐ方法がある段階なので、ゲーム終了ではありません。
チェックメイト
チェックでは勝敗は決まりませんが、相手がどうしても防げないチェックができたら、そこで勝利が確定します。
これがチェックメイト。メイトと呼ぶこともあります。
これは将棋の「詰み」にあたるものです。
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【チェス】ルール 特殊なルール
基本的な駒の動きを覚えればOKとはいえ、チェスには覚えておきたい特殊なルールが4つあります。
プロモーション
プロモーションは、将棋の「成り」に似たもの。
ポーンは敵陣地まで進むと、強い駒に変身できます。
将棋と違うのは、将棋の歩は「金」になるのに対して、チェスのポーンはクイーン・ルーク・ビショップ・ナイトのどれにでも変身可能ということ。
とはいえ最も強力な駒であるクイーンになるのが一般的です。
プロモーションを行うとき、普通は相手に取られたクイーンを再使用します。
もし取られていないときは、ルークの駒を逆さまに置いてクイーンの代わりにするのが一般的です。
アンパッサン
アンパッサンもポーンだけの特殊ルール。
これは最初の位置からポーンが2マス進んだときのみ、その真後ろに相手のポーンが斜めに入ると取られてしまうというルールです。
相手のポーンが自陣の2つ手前まで進んできて、かつ自分のポーンが2マス進んでその真横に並んでしまったときだけ起こります。
キャスリング
キャスリング(入城)は、1手でキングとルークを同時に動かす特殊なルール。
キングは1マスしか進めないルールですが、ある条件が整えば2マス横移動が可能になり、さらにルークが逆側に移動して一気に守りを固めることができるのです。
その条件は以下の通り。
・キングと、キャスリングをするルークがともに一度も動いていない
・キングと、キャスリングをするルークの間に、他の駒がない
・チェックされていない
・キングが通過するマスと、到達するマスが攻撃されていない
現実的な場面では、序盤のまだ自陣が攻撃されていないときに、ナイトとビショップが前に移動し、キングとルークの間にスペースが開けばキャスリング可能となります。
ステイルメイト
チェスでは相手のキングが取れる状態を「チェック(王手)」と言い、どうやっても逃げ場がない状態でチェックをかけると「チェックメイト(詰み)」になります。
これがチェスの勝利条件。
ところがチェスでは引き分けになることも多く、戦略的に引き分けに持ち込むことも可能です。
その代表が「ステイルメイト」。
これはキングにチェックがかかっていない状態で、動かせる駒が一つもなくなること。
チェスにはパスがないため、この状態になると引き分け終了となります。
駒の数が減っていくチェスでは終盤に起こりやすいため、勝っている方はステイルメイトに持ち込まれないよう、注意が必要です。
まとめ
チェスのルールでややこしいのは4つの特殊ルールだけ。
しかしこれも実際に駒を動かしながら覚えれば難しいものではありません。
国によっては学校教育にも取り入れられ、世界の競技人口は7億人とも言われるチェス。
一方、日本でのチェスの競技人口はわずか2万人ほどで、約500万人以上の将棋人口に比べて非常に少なくなっています。
入口は簡単で奥は深いチェスの世界、一度足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
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